22:00
カエデさんとのデートの時間が終わって数時間経ち、数件の仕事を終えて休憩室に戻ってきた。
俺は愛海の誤解を解きたいけど、それをどう説明しようか悩む。
ただ遊んでましたって言うのも俺らしくないし、この仕事をしてますって言うのも気が重い。
俺が悩んでいるとポケットに入っていた携帯の通知音が鳴り、メッセージを開く。
すると、愛海からメッセージが来ていた。
『さっきぶり!デート順調か?俺は今帰ったとこ。』
街中で愛海がデートしてるところには2、3度会ったことがあるけど、こんなメッセージを送られてくるのは初めてだった。
もしかしたら俺が“彼女”を連れてたせいかもしれない。
『今バイトの休憩中。』
1言送ったはいいが、カエデさんが彼女じゃないと送ろうか何度も送信ボタンを押そうと悩んでいると先に愛海からメッセージが届く。
『そうか!お疲れー。』
『あのさ、俺が美未とデートしてたこと誰にも言わないでくれないか?』
と、突然今日会ったことを口止めされる。
別に誰かに言おうってわけじゃないけど、なぜなのか気になってしまった。
『どうして?』
俺はちょっとした疑問でメッセージを送ると、すぐに愛海から電話がかかってきたので出る。
愛海『あ、もしもし。バイトお疲れー。』
夏「うん。ありがとう。」
愛海『んでー…、理由がさ。』
と、少し言いづらそうに愛海が話始める。
愛海『美未って美人じゃん?』
唐突に美未さんを褒める愛海。
どうしたんだろ。惚気たいのかな?
夏「うん。そうだね。」
愛海『実はちょっと…、ていうか…。だいぶ有名人なんだ。事務所にも所属しててだいぶ守られてる感じ?』
愛海らしくない、しどろもどろとした喋り方に俺が逆に不安になる。
愛海『今日も俺のわがままで外デートしてくれたもんで、わざわざマネージャーたちを撒いて来てくれたんだ。昼に祭りにいたのも人が少ないからで、うちわで顔隠しながら遊べばバレないで楽しめそうだったからなんだけど…。』
と、だんだん尻すぼんで行く語尾。
相当美未さんのことが大切らしい。
夏「うん。分かった。誰にも言わないよ。」
愛海『本当ありがとう。やらかしたかと思ったぁ…。』
愛海がため息混じりに安堵する。
夏「あ、あのさ。俺も言いたいことあって…。」
愛海『え?うん?』
夏「今日一緒にいた人、本当は彼女じゃないんだ。」
愛海『あー、やっぱりそうか。』
と、愛海は納得したような声で話す。
愛海『夏が「彼女です」って言った時、女の人驚いてたから不思議に思ってたんだよな。』
そうだったのか…。
言葉を返すのに必死でカエデさんの表情を見る余裕はなかった。
愛海『いつも連絡とってる中の1人って感じ?』
夏「あ…、そうそう。」
愛海『俺はあんなに管理しきれねぇよ。モテ男は違うな!』
愛海は笑いながら俺の不安を取り除いてくれる。
愛海『まあ、お互い遊び過ぎて刺されないように気をつけようなー。』
夏「うん。気をつけよ。」
愛海『じゃあ、また祭りで会おうな。』
と言って、愛海は電話を切った。
愛海が自己完結してくれたおかげで何とかなった。
俺は今日分の体力を全て電話で使い果たし、脱力しながら次の仕事の準備を始めた。
→ Fallin' All in You




