12:00
今日の昼はデートのみの予約が入っていて、指定の駅に着くと浴衣姿の人がちらほらいて近くに祭りをやってることを知らせてくれる。
この時期はいろんなところで祭りをやってるからいろんな浴衣の柄を見れて目が楽しい。
「優くん、お待たせ。」
そうやってたくさんの色を楽しんでいると、旅行好きなカエデさんがやってきた。
今日は珍しく東京でデートのみを予約してくれた。
夏「久しぶりです。素敵なワンピースですね。」
淡い水色でサイダーのようにしゅわしゅわとしたレースが可愛らしいワンピースを着てるカエデさん。
カエデ「ありがとう。優くんと初めてお祭りデートするから買っちゃった。」
カエデさんはとても嬉しそうに話し、俺と腕を組む。
俺はカエデさんが遠慮しているのを感じてそのまま手を絡ませて握りしめる。
カエデ「…ドキドキするね。」
夏「俺もお祭りデートは初めてなのでドキドキします。」
お客さんとお祭りデートは初めて。
なんだか新鮮な感じがして仕事だとしても楽しい。
俺はカエデさんに案内されるまま、祭り会場に行くとそこではホタルを観れるイベントもやっていてとても賑わっていた。
カエデ「ホタル見てから屋台見よっか。」
カエデさんは大きな屋敷の門をくぐってそこに設立された真っ黒いテントに入って行く。
足元も真っ暗な中のテントでポツポツとホタルが光を放っていて、星空を歩いているような感覚になる。
カエデ「おじいちゃんと見たっきりだったから来れてよかった。」
夏「俺もカエデさんと見れてよかった。連れてきてくれてありがとうございます。」
俺たちはホタルの光の余韻に浸りながら外に出たけれど、まだ日中の太陽が眩しくて目がくらむ。
俺はカエデさんの目から日差しを避けながら他のお客さんに邪魔にならないよう端によると、同じようにカップルが光に目を慣らしている。
そのカップルは雑誌から出てきたようなモデル体型で綺麗に浴衣を着こなしている女性と、こんがりと肌が焼けて筋肉質な脚が甚平と下駄ととても合っている男性。
男性は俺を背にしているから顔が見えないけど、雰囲気がもうイケメンなので俺は目が眩みながらも2人の雰囲気に目を奪われてしまった。
カエデ「…もう、大丈夫そうかも。」
夏「良かった。何食べますか?」
若干まだ目が眩みながらも俺はカエデさんの手を取り、立ち上がると俺を背にしていた男性と目が合う。
「…夏?」
俺の目の前に愛海が1日目のデート相手と一緒にいた。
カエデ「ん?知り合い?」
夏「あ…、そ、そう。」
愛海「彼女?」
愛海がカエデさんを見て笑顔で聞いてくる。
本当は違うと言いたいけど、カエデさんに時間を買ってもらっている間は彼氏であり続けないといけない。
夏「うん。彼女。」
俺はカエデさんの手を取る。
愛海「おー!ラブラブだな。俺も彼女とデート。」
あれ?彼女いたのか。
彼女は作らないで色んな人とデートを繰り返してるんだと思った。
愛海の彼女は膝に置いていたうちわを握りしめ、何も喋らずに俺たちにお辞儀をする。
愛海「お互い、いい時間過ごそうな。」
と、愛海と彼女さんは立ち上がって屋台会場と違う方向に行ってしまった。
カエデ「…友達、だよね?ごめんね。」
カエデさんが申し訳なさそうに俺に謝る。
夏「ううん。ちょっと前に呑み屋で知り合った人。気にしてないよ。」
俺はカエデさんの気持ちを取り戻すために祭りを楽しめるよう笑顔を振り撒いた。
→ サイダーの泡、恋模様




