7:00
あれからあまり筆が進まないキャンバスを押し入れから出す。
永海と電話して以降、どうしても上手くいかなくて筆を休ませていた。
この間みたいに永海と電話をしたらまた進むのかなと思ったけれど、沙樹のことがあるので気が引ける。
仕方なく俺は音楽をかけながら作業を始めるかと携帯に手をのばすとちょうど永海から電話が来た。
夏「もしもし。おはよ。」
永海『おはよー。』
夏「どうした?」
永海『暇電。愛海はデートに備えて昼まで寝るんだって。』
そっか。今日は祭り初日か。
夏「悠は?」
永海『悠は大体夕方からしか電話してくれないから朝はあんまりかけないかな。』
夏「そっか。…沙樹は?」
永海『今日は朝の4時からバイトしてる日だからかけてない。』
みんな意外と電話できない状況なんだなと1人納得していると、永海が少し不安そうに大丈夫そうか聞いてきた。
夏「今からJ ORICONNの作業するんだけど、それしながらでよかったらしよ。」
永海『ありがと。』
俺はイヤフォンをつけて両手を空け、作業する。
永海は今日妹たちが友達と親で公園に遊びに行くらしく、妹たちの希望で永海がお昼に食べるお弁当を作ることになっていた。
だんだんと美味しそうな音が聞こえてきて匂いまで俺の部屋に漂ってる気がする。
夏「何作ってるの?」
永海『今はだし巻きだよー。配分間違えて水っぽくなったぁ…。』
少しショックを受けている声が俺に伝わる。
出汁巻き作ろうって意気込みだけですごいけどなと思っていると、少し遠くから扉が開く音が聞こえて女性の声が聞こえる。
『ありがとうね。永海ちゃん。』
永海『いえ!ミクとメリのお願いなので!』
女性は少し申し訳なさそうにお礼を言って洗濯を干しに行った。
永海『ごめん、お母さん来てた。』
夏「大丈夫。だし巻きいい感じになった?」
永海『うん!ギリギリ巻けたよ。』
永海が写真を送ってきたので見ると店で売られてるのかと思うクオリティのだし巻きを送ってきた。
夏「すご!永海って料理得意なんだ?」
永海『まあ、一時期夜ご飯担当してたからね。』
嬉しそうに自慢げに話す永海。
妹たちがお願いする理由も分かるな。
永海『…あ、パパ。おはよ。』
『おはよう。弁当作ってくれてるんだってな、ありがとう。』
永海『うん。食べる?』
『ポテサラあるか?』
永海『きゅうり入っててもいいなら。』
『あー…、食べる。』
男性の声と永海の話し声がしばらく聞こえ、少しすると遠くの方でTVの音がつき賑やかになる。
永海『キッチンだから人いっぱい来ちゃう。』
夏「気にしないよ。 俺もお腹減ってきたな。」
俺はそのまま冷蔵庫に向かうが昨日から冷蔵庫に入れて忘れてたアイスしかない。
仕方なくそれをすすりながら作業を進める。
永海『ん?味噌汁?』
夏「レモンのアイス。溶けてジュースになってるけど。」
永海『…どういうこと?』
と、笑い俺の食事管理の心配をしてくれる。
いつも買い置きか外の店で食べてるから急に食べたくなった時はすぐに食べることが出来ない。
節約って言うのもあるけど、それにしてはなさすぎなのかもしれない。
永海『1人暮らしって色々管理難しそうだもんね。』
夏「うん。買っても使わなくて腐らせたら可哀想だし。」
永海『じゃあ、私と一緒に朝活しない?』
夏「…朝活?」
永海『夏が暇な時には一緒に朝ご飯食べに行こ!』
いいかもな。
最近人と一緒にいる時しかちゃんと食事取ってなかったから痩せてきちゃってるし。
夏「朝活しよ。永海はバイトとか大丈夫?」
永海『早くても10時からだからその前だったら大丈夫。』
夏「分かった。」
来週の月曜日、試しに朝活をしてみることにしたけど、電話を終えたあと沙樹を誘おうとしたが水泳サークルの旅行があることを思い出し、自分の馬鹿さに反省しながら仕事に出かける準備を始めた。
→ 怪獣の花唄




