22:00
昼に起こった沙樹の事が頭にありながらも、仕事をしていると休憩中にメッセージが来た。
家出少女の天ちゃんからだ。
『夏さん!浴衣完成したので試着してほしいです!』
どうやら、1週間も経たずに浴衣を作ってくれたらしい。
その熱意に俺は胸がいっぱいになる。
『ありがとう!』
『明日の朝、いつもの公園でいいかな?』
少ししてメッセージが返ってくる。
『はい!私は何時でも大丈夫です(*´-`)』
俺は時間を設定し、メッセージのやりとりを終えて次の仕事の準備をする。
今からミサさんと夜デートコース。
ピクニックぶりだからいつもより少し早いリピート。
俺に会いたいって思ってくれる事に嬉しさを感じながら準備を終えて、時間に間に合うように待ち合わせ場所に行く。
今から5時間だと終電逃しちゃうけどどうするんだろう?と思いながらミサさんを待っていると、俺めがけて駆け寄ってくる影に気づき見ると笑顔で手を振っているミサさんだった。
俺は手を振り返してミサさんに歩み寄る。
ミサ「優治、おはよ。」
夏「おはよ。夜はお仕事じゃないの?」
ミサ「今日はお休みしたぁ。」
借金返済のためにたくさん仕事に入らないといけないといけないって前に言ってたけど、少し余裕ができたのかな。
夏「今日はどこ行きたいの?」
ミサ「んー…、あっち。」
と、大通りの方を指すミサさん。
夏「じゃあ、行こっか。」
ミサ「うん。」
俺はミサさんが思うように歩いていく方向についていく。
それにしても大概の人は触れたり、話したりするのが楽しいから指名してキャストを呼ぶのにミサさんはただ俺の存在を自分1人の時間に置いてるような感覚になる。
ミサさんは俺の何が良くて一緒にいたいって思ってくれるんだろうな。
ミサさんは1時間近く夜の街を徘徊して、3回通りすがったバッティングセンターに入りUFOキャッチャーを始める。
ミサ「んー…、取れない。」
ミサさんはもちもちの白い犬のぬいぐるみが欲しいらしい。
苦戦しながら口を開けっぱで操作をするのでよだれを垂らすミサさん。
俺は持ってきていたタオルを使って台が汚れないように口元を拭き続ける。
夏「重そうだもんね。持ち上げるの諦めて少しずつ引っ張ってみたら?」
ミサ「うん。」
そうして、ミサさんは5000円近くかけてぬいぐるみをゲットして満足する。
夏「良かったね。またベッドに置くの?」
ミサ「うん。みんなの新しいお友達だよ。」
夏「良かったね。」
ミサ「うん!写真撮ろ。」
夏「はーい。」
俺はミサさんに構えられた携帯で口元を隠しながら写真を撮られる。
ぬいぐるみを取った時はお決まりの流れになっている。
その後、ゲーセンであれば写真を印刷して俺の一言を書く流れになるけれど今日は印刷機がないらしい。
ミサ「ちぇー…、友達に見せたかったのに。」
夏「コンビニで出来るんじゃなかったっけ?」
俺は近くのコンビニで写真を印刷して、一言を書いたてミサさんに渡す。
ミサ「ありがとう!」
ミサさんはこの時いつも以上に幸せそうな顔をする。
夏「うん。次、どこ行く?」
ミサ「今日はこれでいいやぁ。」
ミサさんはカバンを漁って紙袋を出してきた。
ミサ「紅茶、もうすぐで無くなるかなって。」
夏「え!ありがとう。これ美味しいんだよね。」
いつもちょうどなくなりかけるとミサさんは俺に紅茶をくれる。
ミサ「楽しかった。またね。」
ミサさんは残り2時間も残して帰って行ってしまった。
これだったら終電の時間までに間に合うようにしてあげたかったなと思いつつ、俺はミサさんの背中を送って事務所に戻った。
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