7:00
俺が目を覚ますとマサキさんはまだ寝ていて、腫れぼったい目のまま少し辛そうに眉を寄せている。
俺はそっとその場から離れ、まずは風呂の準備をする。
きっとデート後から入れていないだろうから気分を少しでも変えてもらうために、サッパリしてもらおう。
綺麗にされている風呂にお湯を溜め、その間になにか朝ご飯を作ろうと思ったけど調味料しかない冷蔵庫。
俺が頭を悩ましているとお湯張りの音でマサキさんを起こしてしまった。
夏「おはよう。マサキさんってご飯作らない人?」
マサキ「…うん。味噌汁…、だけ。」
そのワードでなにかまた思い出したのか、マサキさんの目が潤む。
夏「俺が買い出し行ってくるよ。何食べたい?」
俺は慌ててマサキさん側に寄り、頭を撫でる。
マサキ「…目玉焼きと白米とネギの味噌汁。」
夏「うん。分かった。」
マサキ「…あと、牛乳。」
夏「牛乳ね、後は大丈夫そう?」
マサキ「うん。」
俺はマサキさんからお金を貰って近くのコンビニで必要な物を買い、家に戻るとマサキさんはメイク落としをしていた。
夏「ただいま。台所借りるね。」
しかし、料理道具を探すが全く見つからない。
あるのは子ども用の丸みのある包丁とハサミ、ラップと数枚の皿くらい。
夏「フライパンとかない?」
マサキ「…ないよ。」
夏「そっか。」
どうしよう。目玉焼き作れないよ。
白米は温めるやつ、味噌汁はインスタントにカットねぎを入れようと思ってたけど肝心の目玉焼きを作るフライパンないなんて。
俺は卵を温めさせる道具がなにかあるもので出来ないかと考えながら、マサキさんを風呂に入れて頭を洗ってあげる。
夏「シャンプーいい匂いだね。」
マサキ「そうなの。美容院のちょっと高いやつなの。」
夏「こんなにいい匂いするんだ。俺、市販の安いやつしか使ったことないや。」
マサキ「だけどツヤツヤしてるね。羨ましい。」
夏「染めたことないからかも。」
マサキさんは少しずつ話してくれるようになった。
昨日よりも落ち着いてくれたみたいで良かった。
夏「今日は仕事?」
マサキ「…うん。さすがにもう休めない。」
夏「辛い時はちゃんと休もう?」
マサキ「…出勤時間少し短くしてみる。」
夏「うん。ちょっとずつ頑張ろう。」
マサキ「うん。」
俺はマサキさんの髪の毛をシャワーで洗い流し、先に風呂場から出て朝ご飯を作る。
マサキさんと話している間にふと思い出した温玉の作り方をやってみることにした。
俺はケトルでお湯を沸かし、白米を電子レンジで温めながら温玉のレシピを見て朝ご飯を作る。
全て出来上がる頃になるとマサキさんは風呂から出てきてさっぱりとした雰囲気で昨日より雰囲気が明るくなった気がする。
夏「目玉焼きは作れなかったから温玉にしたよ。」
マサキ「…うちでこんなまともな朝ご飯作れるんだ。」
マサキさんは少し切ない顔をすると、いただきますを言って牛乳を1口飲んでから食べ始めた。
ご飯をずっと食べてなかったのか、ゆっくりだけれどしっかり食べてくれたマサキさんはご馳走様を言いながら今日のように青く晴れた空のような笑顔になった。
マサキ「ありがとう。」
夏「うん。大丈夫そう?」
マサキ「昨日よりは大丈夫そう。」
夏「良かった。」
俺はマサキさんにハグをしてもっと元気になってもらおうと気を送る。
夏「いつでも呼んで。ちゃんと来るから。」
マサキ「…ありがとう。」
マサキさんは別れ際涙を流すことなく、俺を見送ってくれた。
マサキさんは元気になれたけど、マサキさんの好きなあの子は大丈夫何だろうか。
誰か側にいてくれる人がいるんだろうか。
俺は無駄に心配をしながら仕事を終えて家に帰った。
→ストロー




