12:00
「おまたぁっ!」
と、大きい声で瑠愛くんが駆け寄ってくる。
途中で携帯の充電が切れてしまったときはもう合流できないんじゃないかと思ってたけれど、瑠愛くんならではの土地勘で瑠愛くんのことを探そうとしていた俺たちを先に見つけてくれた。
瑠愛くんは俺と悠の間に入り、手を繋いで行きたいと言っていた串カツ屋に向かう。
瑠愛「悠ちゃん久しぶりだね。元気してた?」
悠「生きてたよ。瑠愛くんは?」
瑠愛「新しい事始めるためにお忙しって感じかな。」
悠「そっか。今日は遊んでいいの?」
瑠愛「いいの!メリハリって大事だし、来週でこの髪色卒業するんだー。」
瑠愛くんは軽く鼻で歌いながら嬉しそうに言った。
夏「次は何色にするの?」
瑠愛「いっくんとお揃いの色にするの。楽しみにしておいて。」
瑠愛くんはそう言ってお目当ての串カツ屋に入り、テーブル席に座る。
するとすぐにお通しのソースとキャベツが来て、おしぼりを渡された。
瑠愛「今日はみんな夜まで?」
悠「夜も暇。」
夏「夜から仕事。」
瑠愛「あれ?優くん休みじゃなかったっけ?」
夏「どうしても会いたいってお客さんがいたからその人だけ会ってくる。」
瑠愛「へー!優くん優しいね。俺そんな事したことないや。」
瑠愛くんは驚いた表情をしながら悠とメニュー表を見始め、数秒で食べたい物を決めた。
俺も数本選んで注文し、すぐに来た冷やしトマトとポテトサラダを食べながらこの後何して遊ぶかを考える。
瑠愛「そういえば悠ちゃんて服の趣味変わったー?」
と、急に朝の俺と同じことを聞く瑠愛くん。
悠「友達から借りた。」
瑠愛「学校の子?」
悠「そこら辺の人。」
悠がそう言うと瑠愛くんは唇を突き出し、不機嫌そうな顔をする。
瑠愛「なんで俺のこと呼ばないの?嫌い?」
悠「忙しいかなって。」
瑠愛「俺、どこにでも行くって言ったじゃん。」
悠「うん。」
瑠愛「そんなセンスのないシャツ選ぶ男より、俺と会った方が楽しいと思うよ。」
悠「うん。」
悠は頷くだけではっきりとした言葉を返さない。
それにしても瑠愛くんがこんなにしつこく女の子を誘ってるのは初めて見たな。
きっと、悠のことを心配に思ってるんだろうな。
瑠愛「そうだ。優くんは来週末に仕事入れないどいて。」
と、急に俺に話を振ってきた瑠愛くん。
週末は稼ぎどきってことを知っているはずなのにそう言ってるのは何か意味があるんだろうか。
夏「どうして?」
瑠愛「“あれ”のお祝い。」
パチンと指を頭のそばで鳴らせて、笑顔で俺の目をじっと見てアイコンタクトを取ろうとする瑠愛くん。
あれって起業のことかな?
それくらいしか思い当たることがない。
夏「分かった。金曜でいい?」
瑠愛「うん。いっくんも誘う予定だからみんなで呑み明かそうね。」
と、悠とも目を合わせ、瑠愛くんはその日のことを想像して楽しそうに笑う。
悠「来週の土曜から家族で旅行だから行けない。」
瑠愛「え!?家族旅行とか行くの?」
悠「行くよ。毎年1回は行ってる。」
瑠愛くんが落ち込んでテーブルにうなだれていると揚げたての串カツがやってきた。
俺は瑠愛くんを抱き起こしてテーブルに串カツを置いてもらい、瑠愛くんが全部食べてしまったキャベツをおかわりする。
瑠愛くんは悠の言葉に振り回されながらもこの時間が楽しくてしょうがないらしく、夕方近くまでずっと串カツ屋に居座ってしまった。
→ 僕の名前を




