7:00
俺は昨日瑠愛くんに教えてもらったことをずっと頭の中で考えていたけど、どんなに寂しくても辛くても自分を傷つける理由がどうしても理解できなかった。
けど、寂しくなったり辛くなったりする気持ちは分かるからちゃんと謝ろう。
俺は起きてからすぐ悠にメッセージを送ると思ったよりも早く返信が来た。
『電話じゃなくて遊ぼうよ。』
と、また遊びに誘われてしまった。
『分かった。悠の家の近くに行くよ。』
『ううん。夏くんの方行く。』
…自分の家から離れたいんだろうな。
俺は悠がしたいようにすることにした。
『分かった。駅に着いたら教えて。』
『はーい。』
俺は身支度を済ませて家を出る前に瑠愛くんにメッセージを入れとく。
『今から悠と遊ぶことになっちゃったから、時間あったら一緒に遊んでほしい。』
『おけぃ(๑˃̵ᴗ˂̵)♡』
『お昼前には合流出来るはずだから』
『その時電話するね(。・ω・。)』
『ありがとう。』
さすがに瑠愛くんもやることがあるから今から来れる訳ないよな。
俺は少し足取り重くゆっくり駅に向かっていると、メッセージが来たことを携帯が教えてくれ、開くとマサキさんからのメッセージだった。
見ると、今日どうしても会いたいと言うメッセージだった。
今日は休みのつもりだったけど、昨日のことが気がかりで店長に頼んでマサキさんだけのためにお泊りコース分の時間だけ出勤することにした。
20時からマサキさんと会うから夕方くらいには解散してゆっくりしたいな。
俺はそんなことを考えながら駅で悠のことを待っているとすっぴんの悠が普段の服装よりラフなシャツを着て現れたので驚く。
夏「悠ってブラウスしか着ないと思ってた。」
悠「友達の家で借りてきた。」
と、趣味の悪いプリントシャツに目を落とす悠。
夏「なるほどね。」
悠「…で?話ってなに?」
悠は駅前で本題に入ろうとする。
そんなに直球で来るとは思わなかった俺は言葉に詰まっていると悠が俺の手を取って歩き出した。
悠「こんな朝から呼んで何を話したかったの?」
悠は道を分かっていない中、とりあえず散歩を始めた。
夏「合宿の時さ…。」
悠「…ごめんね。嫌だよね、あんなの。」
嫌だけど…、と続けたかったけれどなるべく悠を傷つけたくない俺は嘘をついた。
夏「ううん、俺を頼ってくれてありがとう。あの時冷たくしてごめん。」
悠は首を横に振り少し俯きながら俺の手を離さずに歩く。
その悠の横顔はなんだか寂しそうな表情をしていた。
悠「学校が同じ子とは絶対そういうことしないようにしてたんだけど、最近どうしても寂しさが勝っちゃって自分でも抑えられないの。」
夏「…どんな時寂しくなるの?」
悠「何もしてないはずなのに急に気持ちがずぅんっとなって寂しくなるの。誰かに何されたって訳じゃないし、永海と暇電してる時も、夏くんと遊んでる時も、学校で勉強してる時も急に私を殺しに来るの。」
悠の熱い手がギュっと俺の手を握り、汗ばむ。
悠「彼氏といる時もなんでか分からないけどそうなるの。家にいるときは外にいる時よりもたくさんなるから帰りたくない。」
夏「…彼氏いたの?」
家に帰らない謎は解けたけれど俺は彼氏の存在に驚いてしまい、思わず聞いてしまった。
悠「いるよ。30歳で仕事忙しくて数ヶ月に1回しか会えないけど。」
夏「もっとデートしたくないの?」
悠「したいけど、いつも近くのBARで少し呑んで家に行くだけ。いろんな所に行こう、自分の家族に会いに旅行に行こうって言ってくれるけど1回も行ったことないの。」
夏「悠から誘ってみたら?」
悠「いっぱい誘ってるけど向こうの都合がいいタイミングがあまりないっぽい。…セフレみたいな関係だけどちゃんと告白されたから好きだよ。」
夏「…他の人から告白されたら好きになっちゃう?」
悠「彼氏がいるもん。ならないよ。」
悠はたまたま見つけた神社に入り、ベンチに座った。
悠「私は仕事が落ち着くまで待てるから待ってるの。結婚もしようねって言ってくれてるから彼氏の事信じてる。」
信じても、悠の寂しさを埋めてくれるのは彼氏ではなく見ず知らずの男で、今も俺の手を握って離さない悠はどこかで彼氏との別れを意識しているからなんだろう。
だから近場の優しさを求めてしまうんだろう。
俺は悠の求める誰かの代わりとして寂しさを埋めてあげられるのであればしてあげたいけど、あの2晩のような事は絶対しないと心に決めた。
→ Very Nice To Meet You




