22:00
俺は空き時間、店長がいる事務所に行き紙に書いたシフトを提出する。
店長「…あんまり、入れないのか?」
と、いつもの真っ黒なシフトじゃなくなった紙を見て、店長は座ったまま俺を見上げてくる。
夏「実はコンクールに出す絵の進みが悪くて、ある程度期間を決めて集中したいなと思いまして。」
店長「なるほどな。ラストまでの時間も減らすとだいぶ収入が変わってくるが学費の方は大丈夫か?」
夏「一応、学費以外の積み立てもしていたのでそれを使えば間に合います。」
店長「その積み立ては崩していいものなのか?」
夏「…多分、必要ではなくなるので。」
俺の言葉に不思議そうな顔をして首を傾げる店長。
一応貯金も積み立てもあるから大丈夫だけれど、未来の俺が少しきつくなるだけ。
まあ、そこはひとりになった俺が頑張ってくれるだろう。
店長「まあ、なるべく予約で埋まるよう努力する。」
夏「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
俺は事務所を出てラストコールの時間まで時間を潰すため、休憩室に戻った。
今日は瑠愛くんはお休みで待機してるキャストもほとんどいなく、今のところ俺ともう1人仮眠をとってる子しかいない。
あと1時間半待って電話が鳴ることがなければ今日は終わり。
あんまり稼げなかったけど、昼に出来なかった分の作業しないと。
俺はパーテーションだけで仕切られた仮眠部屋に入り、目を瞑っているとちょうど仕事を終えた2人が帰ってきたらしく会話が聞こえる。
「ツツミさんの銭湯で働くってマジ?」
「おう。ここよりは遥かに楽だからな。」
「って言っても女用のソープランドだろ?赤玉出そー。」
「銭湯の中にソープ、ピンサロ、オナクラがブース事に混じってる感じ。絶対摘発されるだろ。」
と、バカ笑いしながら会話を続ける2人。
この間、瑠愛くんが教えてくれたツツミさんの新店舗の話をしているらしい。
「お前は?稼ぐならソープだろ?」
「そのつもりだったけど、新人の研修しないといけないんだよなぁ。だるいから寝坊かまそうかな。」
「新人?別店の人?」
「いや、この業界初めてらしい。ツツミさんのお気に入りってレオから聞いた。」
…お気に入りか。
社長のお気に入りになってしまったツツミさんはスーパーマンになってしまったから、その子もゆくゆくはスーパーマンの右腕にでもされてしまうんだろうか。
俺は顔も知らないお気に入りさんに思いを馳せる。
「へぇー…、あのツツミさんのお気に入りなら研修しなくても良さそうだけどな。」
「そういう“お気に入り”じゃなくておもちゃ的な感じ?」
「あー、なるほど。」
2人は銭湯と新人の話を夢中でしていて、仮眠を取ってる人にはお構いなしで大騒ぎをする。
俺はその話を聴きながら時間を過ごしていると最後の最後でフリーのお客さんがつくことになり、荷物の準備をして指定されたホテルに向かった。
→ Love Not War




