12:00
天ちゃんとご飯を食べて少し眠った後、仕事に向かう準備をのんびりとしていると、急に沙樹から電話が掛かってきて俺は学校に呼び出された。
なぜかこの炎天下で誰も来ない屋上の踊り場を待ち合わせ場所にした沙樹。
昼ご飯を食べるにしては環境がすごく悪いと思うけどいいのかな?
沙樹「バイト前にごめん。」
と、先に待っていた沙樹が紙パックのオレンジジュースと手作りのお弁当を俺に渡す。
夏「仕事場こっちだし、気にしてないよ。一緒に食べよ。」
俺は弁当箱の蓋を開けると2段弁当にお米がぎっしり入っていた。
沙樹「あ…、妹と弁当箱が一緒だから間違えた。」
夏「腹持ち良さそう。いただきます。」
俺は梅干しと高菜が入った混ぜご飯を食べながら沙樹に聞いてみる。
夏「今日はどうしたの ?」
俺は話がしたいとだけで呼び出されたのは初めてでここまで来るのに少し緊張していた。
沙樹「…夏は永海のこと、どう思ってる?」
と、いきなりの質問に驚きご飯を詰まらせる。
俺は慌ててオレンジジュースを飲んで、息を整える。
夏「…どう?」
沙樹「2人とも仲良いからどうなんだろうなって。」
どう…、どう…?どうなんだろう…?
俺の中でもどうなのか、よく分かってない。
と言うより、永海は俺の事をまず友達と思ってくれてるのかも分からない。
俺が回答に時間を取っていると沙樹の口が開いた。
沙樹「…2人が風鈴作ってたのがさ。ちょっと…いや、まあまあ嫉妬した。なんであの時、寝ちゃったんだろうって思った。」
夏「…ごめん。誘えばよかった。」
沙樹「いや、僕がノロマだから。夏が悪いわけじゃないんだ。」
少し嫌な沈黙が訪れる。
沙樹とはこんな空気、1度もなったことがない。
なんか、嫌だな。
莉李と別れる前もこんな空気が何度かあった。
けど俺には何か言葉を出せる勇気はなくて、莉李の言葉をただ待ってるだけだった。
相手からの言葉を待ってるばかりじゃ、また大切と思う人がいなくなってしまうかもしれない。
それは嫌だ。
夏「永海とは…、化粧品の話をしたりするのがとても楽しい子なんだ。」
沙樹「…付き合いたいとか、その…。」
夏「恋愛感情はない、…かも。」
俺は少し答えをためらった。
あのガラス工場の出入り口で見た、永海の笑顔は俺の目を奪った。
けれど、それは莉李を思い出してしまったからであって、出かけたり、電話したり、話しかけてくれたりするけれど永海が好きだと思った訳ではない。
そう、分かっているはずなのに語尾を濁してしまった。
沙樹「…僕、永海のこと好きなんだ。」
と、突然の告白をする沙樹。
俺は自分の考えを整理していたけど一気に吹き飛んでしまった。
沙樹「俺、高校生の時にちょっとトラウマが出来ちゃってそこから女の子好きになれなかったんだけど、永海のこといいなって思ったんだ。」
初めて恋心を分かった瞬間を思い出してるのか、少し照れながら沙樹は永海の好きなところを教えてくれる。
沙樹「いつも教室に来たらクラスみんなに挨拶して、たくさんの人の相談ごとに乗って、その秘密は自分の中にしっかり閉じ込めて言いふらさない。
悠が合宿に遅刻しそうになってクラスの子たちが愚痴を言っても悠のために動いてて…。まとめるのが下手だけど、そういう永海が好きなんだ。」
言っちゃった!と両手で顔を隠し、すごく恥ずかしそうにする沙樹が俺からして可愛くてしょうがない。
夏「そうだったんだ!気づかなくてごめん。」
沙樹「ううん。僕、バレないようにしてたんだけど愛海には去年に気づかれて内緒にしといてもらったたんだ。」
でね、と続けて沙樹は俺にお願いしてきた。
沙樹「僕たちと一緒に夏祭り来てほしいんだ。」
夏「ん?沙樹と永海と俺ってこと?」
俺、すごい邪魔じゃん。
頃合い見計らって2人にしてあげよう。
沙樹「ううん。僕、夏、永海、悠だよ。」
夏「…愛海は?」
沙樹「そう!愛海を最初に誘ったんだけど、僕が行きたい祭り3日間あってその3日とも女の子とデートだって。」
夏「え…、そんなことありなの?」
沙樹「愛海はありだって。手伝えないから夏を誘えって言われた。」
だから俺に教えてくれたのかと納得する。
夏「いいよ。行こう。祭りっていつあるの?」
沙樹「え!?ありがとう…!7月の23、24、25日にある。バイト大丈夫?」
ちょっと待って、と言って俺は携帯のスケジュールを見て行けそうな日を確認する。
夏「25日は空けられる。沙樹たちは大丈夫?」
沙樹「僕は大丈夫。ちょっと2人に聞いてみる。」
と言って、沙樹は携帯を取り出しメッセージを送ると少しして2人ともOKの返信がきた。
夏「合わせてくれてありがとう。夏祭り久しぶりだから楽しみ。」
沙樹「こっちこそありがとうだよ。みんなで楽しもうね。」
ふと気持ちに違和感を感じた俺だったけれど沙樹と永海が恋人になれるよう、応援することにした。
→ 君の好きなとこ




