12:00
「班長、点呼!」
と、栄美先生はマイクを使い、大声で後ろまで声を飛ばす。
沙樹「はぁー…い。全員います。」
栄美「間宮、返事を伸ばすな。」
酒に酔っていてもシラフでいる時も沙樹には厳しいらしい。
沙樹は栄美先生の嫌がらせはただの嫉妬と知り、呆れた表情をする。
俺は栄美先生がクラス分用意したお土産の最中が潰れないように大切にカバンにしまいながら、夏休み中にある沙樹のサークル活動が気にかかる。
夏「水泳サークルも栄美先生くるんでしょ?大丈夫?」
沙樹「なるべく海阪先生に近づかないでおこうかな。」
と、沙樹と耳打ちで話していると俺が少し背もたれを倒した椅子の間から誰かの耳が見え、驚くと愛海の顔が出てきた。
愛海「あんなに好きってアピールしても振り向いてくれないのになんで言い続けるんだろうな。」
沙樹「まだ好きだからでしょ?」
愛海「…女はたくさんいるじゃん。俺、妹だけでも4人いるぞ。」
夏「海阪先生がいいから言い続けるんだよ。」
愛海「…そっか。」
愛海は難しそうな顔をして、自分の背もたれに体を預けてイヤフォンで音楽を聴きながら寝る体勢に入った。
沙樹「愛海は彼女作らなくても女の子が寄ってくるからね。」
夏「モテ男くんの思考は不思議だね。」
俺はカバンを抱えたまま、少しの間眠ろうとすると沙樹が俺を呼んだ。
夏「…ん?どうしたの?」
沙樹「カバン、上に置こうか?」
と、沙樹が自分の上にある荷物置きを指す。
夏「大丈夫。割れ物入ってるから持っとく。」
沙樹「割れ物?」
夏「午前中、永海と風鈴屋に行ってたんだ。」
沙樹「あ…、そうなんだ。永海には悪いことしたなと思ってたから良かったよ。」
そう言って、沙樹は俺の風鈴を見たいと頼んできたので落とさないように丁寧に出し、風鈴を見せる。
沙樹「このデザインいいな。」
夏「この赤いレースみたいな金魚は永海が描いて、水色の波紋で描いた金魚は俺。」
俺は優雅にヒレを踊らせている2匹の金魚が描かれた風鈴を割れないようにそっと箱にしまい、カバンに入れた。
沙樹「僕も行きたかったけど、寝ちゃったからなぁ。」
夏「誘えばよかったね。ごめん。」
沙樹「大丈夫。飾ったら写真撮って送ってほしい。」
沙樹はこのデザインをとても気に入ってくれたらしい。
夏「分かった。晴れた日に撮って送るね。」
沙樹「ありがとう。」
「夏!」
と、自分の席を二日酔い気味の愛海と悠に譲り、通路の簡易席に座っている永海が俺に声をかけてきた。
永海「見て!私たちの載ってる。」
と言って、通路側の沙樹に携帯を取ってもらい一緒にその投稿を見ると、さっき行ったガラス工場のお姉さんに撮ってもらった俺たちの風鈴の写真が投稿されていた。
夏「嬉しいね。」
永海「だねー!あとでお礼送っておく!」
夏「よろしく。」
俺はお姉さんが撮った写真をスクリーンショットしてバスのTVで流れてる映画を見ながらいつのまにか眠ってしまった。
その映画は列車が宇宙を駆けていくシーンがたくさんあり、名前を知らない映画だってけれどお気に入りの映画になった。
→ バイマイメロディー




