7:00
肩を揺すられていることに気が付き、目を覚ますとみんな先に起きて部屋の片付けを始めていた。
沙樹たちや栄美先生が二日酔いに悩ませる中、海坂先生は普段のようにテキパキとやることをこなしていく。
昨日の海坂先生はどこにいったのかと俺は混乱していると、起こしてくれた永海の顔が目の前に現れて頭が覚める。
永海「おはよ。水飲んで。」
と、冷えた水を貰った。
俺はお礼を言って足りない水分を補い、深呼吸をする。
酒の飲み過ぎなのか、内蔵全部が重い気がして体を動かす気分になれない。
永海「昼まで自由行動だったけどホテルでゆっくりすることになったよ。」
永海は近くのゴミを片付けながら俺に教えてくたけれど、その笑顔が少し悲しそうに見えてしまった。
夏「…え?永海が行きたいって言ってた風鈴屋さんは?」
永海「今度自分で来るよ。」
永海は笑顔を作り、俺にゴミを拾ってと言う。
店のサイトを調べてどんなデザインのものを作るかあんなに楽しそうに話していたのに、酒のせいでいけないなんてあんまりだ。
夏「永海は頭痛くない?」
永海「平気だよ。」
夏「じゃあ俺と行こうよ。俺も行きたかったんだ。」
永海「いいの…?」
夏「うん。朝ご飯食べ終わったらロビー集合でいい?」
永海「…うん!ありがとう!」
永海はお礼を言うといつもの笑顔に戻り、俺は安心した。
永海にはその笑顔でみんなの笑顔を創り上げてほしい。
その無邪気な笑顔は誰にも真似出来ない、永海の武器でもあるから俺は崩させたくはなかった。
俺たちは部屋の掃除を終え、少し遅めの朝食を取って俺は1人ロビーで待っていると永海が小走りでやってきた。
永海「ごめん!マリコの立ち話に付き合ってたら遅くなった。」
夏「大丈夫だよ。バスの時間も余裕だし。」
2人でバスに乗って8つ先の駅で降り、歩いて30分の山奥にあるガラス工場に向かう。
すると、ガラス工場まであと数十mという所まで来るとたくさんの風鈴の音が聞こえてきて、耳が涼しくなる。
永海「風鈴の柄と言えば?」
夏「んー…、金魚かな。」
俺は莉李と行った金沢のかき氷屋さんで見た風鈴を思い出し、答える。
永海「いいね!金魚描こう!」
永海は風鈴の音色に合った初めて聞く歌を口ずさむ。
その歌は今の俺たちがいるこの場の空気感に似ていて、名前を知りたくなる。
夏「なんの歌?」
永海「ん?これ、今作った。」
夏「…そんなこと出来るの?」
永海「うん。小さい時、これくらいしか遊ぶことなかったんだ。」
と、海が浮かび上がったような空を見ながら笑顔で答える永海。
俺はその感覚がとても懐かしく感じてうだるような暑さでも気分が上がる。
夏「そうなんだ。俺は貼り絵してた。」
永海「いいね!今度教えてよ。」
夏「いいよ。」
すると永海は嬉しそうな顔をして、あと少しのガラス工場まで走り出す。
永海「うわぁー!すごい!夏、早く!」
と、目を輝かせながら工場に釘付けの永海。
その目がプラネタリウムで見た莉李と似ていて、少し胸を締め付けられながら俺は永海の元へ駆け出した。
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