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ひと夏の恋  作者: 環流 虹向
7/15
45/188

12:00

「あちぃ、あちぃ、あちぃ!!!」


と言いながら、先頭を走り続けて水色のシャツが青色に変わってしまった愛海。


俺たちは授業の一環で先生たちのオススメスポットを巡るため、班員でサイクリングをしているところ。

それにしても今日は帽子を被っていても、頭皮が焼けるほど暑い。


適度に休憩を取りながら先生たちがオススメスポットに行って、写真を納めて栄美先生に証拠を送る。


すると、毎回ビアジョッキを鳴らしているスタンプと海阪先生のワンショットを送られる。


沙樹は丁寧に保存をしていたが、愛海は愚痴を漏らす。


愛海「絶対、酒呑んでる。あの端のグラス、ワインだろ。」


と、隅っこにギリギリ写っている透明のなにかを指す愛海。


永海「昼時から呑む先生なんかいないよ。おしゃれなパフェグラスかもしれないじゃん。」


悠「…アイス食べたい。」


沙樹「僕も同感。ここら辺でアイスありそうな店探そう。」


と言って、沙樹が近くの店を検索してみんなで10分ほど行ったカフェに入る。


悠「ふぁー…、涼しい…。」


と言って、まだ案内されていないのに近場のテーブル席のソファーに倒れこむ悠。


永海「悠、大丈夫?」


悠「…暑い。もうここで暮らす。」


愛海「俺もここで暮したい。」


と言って、同じテーブル席に倒れ込む愛海。


「いらっしゃい、ま…せ。どうぞ、お好きな席にお座りください。」


と、店員さんが俺たちの様子を見て驚いたのかすぐにキッチンに引っ込んでしまった。


俺たちはコの字になったソファ席に座り、2面を愛海と悠が陣取る。


すると、さっきの店員さんが慌てて5人分の水と氷枕を2つもってきた。


沙樹「ありがとうございます。」


「そこのお二人に良かったら使ってください。皆さんは大丈夫ですか?」


と、心配げに俺たちの体調を気にしてくれる店員さん。

きっと倒れこむ2人を見て驚いてしまったんだろう。


そんな愛海と悠のグラスには丁寧にストローがつけてあり、心遣いの素晴らしさを感じる。


沙樹「お気遣いありがとうございます。」


夏「大丈夫です。ありがとうございます。」


永海「私も大丈夫です。氷枕作って頂きありがとうございます。」


「いえ、今日は今年1番の暑さらしいのでお気をつけください。」


と言って、他のテーブルの片付けを始める店員さん。


永海「優しい人だね。悠、愛海、氷枕作ってもらったから使いな。」


永海は2人に手を伸ばし、それに気づいた愛海がお礼を言いながら氷枕を取って自分の頭と悠の頭の下に敷く。


沙樹「じゃあ、先に選んどくか。」


3人で先に選び、注文するとすぐに出てきたアイスは甘さと冷えが体に染みてとても美味しい。


永海「美味しい過ぎるぅ…。ジャージーさんありがとう。」


アイス1口にとても幸せそうなする永海。


眉毛が飛んでいくんではないかと思うほど、眉毛を上げて笑顔になる。


その様子が夏空の飛行機雲のようで見ているだけで美味しさが伝わってくる。


沙樹「2人も起きて食べなよ。美味しいよー。」


と、沙樹が声をかけると愛海が起き上がり用意されていた水を飲む。


愛海「…っあま。何これ?」


夏「水でしょ?」


愛海「いや、味ある。」


と言って、愛海が俺にグラスを渡してきたので飲んでみるとスポーツドリンクのような味がした。


沙樹「経口補水液ってやつじゃない?」


愛海「なるほどな。助かるわ。」


俺が愛海にグラスを返すと愛海はグビグビ飲みながらメニュー表を見始める。


永海「悠もそろそろ起きなよー。」


永海がテーブルの向こう側にいる悠に声をかけるが返事をしない。


沙樹「え、寝ちゃった?」


みんなで悠を覗き込むと少し苦しそうな顔をして目を瞑っている悠。


その様子を見て1番近くで座ってる愛海が悠の肩を揺するも返答がない。


永海「悠!大丈夫!?」


沙樹「愛海、メニュー表で仰いであげて。夏は店員さんに氷いっぱいもらって体冷やして。永海は少し服を緩めて愛海と一緒に仰いで。」


沙樹はみんなに指示をすると栄美先生へ電話をかけ始める。


俺は店員さんに袋にいれた氷水が入った袋を数個もらって悠の脇や首元を冷やす。


沙樹「20分で栄美先生が来てくれるって。それまで起きなかったら病院って言ってた。」


俺たちは全力で悠の体を冷やしていると数分後、悠の目が覚めて喉の渇きを訴えた。


永海はすぐ悠に飲み物を渡し、悠の様子を伺う。


悠「…あまい。」


俺たちはその言葉で一瞬で緊張が途切れ、安堵のため息をつく。


そんなことをしていると、焦った顔の栄美先生が店に飛び込んできた。


栄美「清泉!生きてるか!」


悠「どうしたんですか…?」


その言葉に栄美先生は足元から崩れて安心する。


何が起きたか分かっていなかった悠はアイスを食べた後、第一を取って栄美先生と先にホテルに帰ることになった。


先生たちが用意してくれた熱中症対策の梅干しや飴をもってしても悠が倒れたので、このサイクリングが終わるまで栄美先生は1時間ごとにみんなの電話に連絡をしていた。


俺たちは早めにサイクリングを終え、部屋に戻った悠と一緒にカードゲームをして遊び、夜の花火に備えて仮眠を取ることにした。





→ アップルパイ

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