22:00
午後の授業が終わってから俺はずっとモヤモヤしている。
午後の授業では鉛筆だけで自分の喜怒哀楽を表現してみると言う俺にとって難しいお題だった。
時間は3時間で4つ書き終えることと言って海阪先生の知り合いは釣りをやりに川に行ってしまった。
俺はなんとか書き終えて匿名に並ばれる1人4つ描いた絵をクラスメイト全員分見たけど、その中に悠と思われる絵を見つけた。
その見つけたきっかけの絵は一見クッションのように見えた柴犬の腹。
誇張されてはいたけど、可愛いと言っていたブドウのホクロをしっかりつけていたからこそ見つけてしまった。
そんな悠の『哀』を見ると、1人の女性の裸体を上から他の女性らしき華奢な手が顔と左胸を潰し、下から男性らしいごつい手が股を潰し腰に絡み付いているような絵で他3つの絵とは絵柄が違っていて、本当に1人の人が描いたのかと疑うほど。
その表現は『怒』なのではないかと思うほど、乱雑に濃く描かれていて少しの間足を止めて見てしまった。
俺はその絵のことが気になって悠に聞いてみたいと思ったが、匿名なので断言は出来ない。
…いや、あのもちこのホクロが悠と教えてくれたけれど、俺の聞く勇気がないだけなんだ。
俺は一歩が踏み出せない自分に情けなさを感じながら風呂を上がると沙樹が俺の携帯が何度も鳴ってると教えてくれる。
俺は部屋を出て外で着信履歴を確認するとそれは悠からの電話だった。
俺はそのまま折り返しの電話をしてみることにした。
夏「…あ、もしもし。どうしたの?」
悠『外、行かない?』
夏「え…。もうだいぶ暗いよ?」
悠『お願い。さっきみんなで集まった公園まで散歩したい。』
なんで急にそんなことを言い出すんだろう。
相当暇なんだろうか…?
夏「…永海は?」
悠『寝てる。』
夏「…分かった。懐中電灯持ってきてね。」
悠『うん。』
俺は玄関にあった懐中電灯を借りてホテルの玄関付近にいると、シルクの膝上ネグリジェに1枚薄いカーディガンを羽織っただけの悠がやって来た。
夏「虫刺されそうだけど大丈夫?」
悠「一応虫除けスプレーしてきた。」
俺は明日抜け出した時にみんなと集合する公園に向かいながら、悠に質問してみる。
夏「なんで散歩したくなったの?」
悠「…暇だから。」
悠は少しモゴモゴしながらそう言う。
なんだろう?恥ずかしがってるのかな…?
少し歩いていると、熱気と湿気のせいで汗をじんわりとかいてべたついてきた。
帰ったらまた風呂に入らないと気持ち悪そうだ。
そんなことを考えつつ、悠と少ない会話を交わしていると誰もいない公園に着く。
その公園は1つの自販機が街灯代わりになっていて、その周辺しか明かりは照らされなくてだいぶ不便だ。
俺たちは持ってきた懐中電灯で足元を照らしながら公園のベンチに座る。
夏「なにか飲む?」
悠「オレンジソーダ。」
2人で割り勘して500mlの缶に入ったジュースを飲むけれど、俺は久しぶりに炭酸を飲んだからか刺激で目が潤む。
悠「夏くんは瑠愛くんみたいに出来る?」
と、突然悠は俺に顔を近づけてくる。
俺が少しでも前に出ればキスしてしまいそうな距離だ。
夏「瑠愛くん?」
悠「うん。」
何のことだ?と悠から目線を逸らした瞬間、俺の口に温かいオレンジ味の舌が入ってきて俺の舌と絡めようとしてきたことに驚き、顔を後ろに引く。
夏「…えっ?な、なに?」
悠「え…?瑠愛くんから聞いてないの?」
俺の方が驚くはずなのになんで悠が驚いてるんだ?
夏「何のこと?」
悠「瑠愛くんのちゅーでいっぱい満たしてもらったんだけど…。」
夏「そんなこと聞いてないよ…。」
瑠愛くんが得意な舌プレイをしたらしい。
俺はそんな特異なことは出来ないから、ただ指と舌を這わすことしかできない。
悠「…うぅ、ごめんねっ。」
悠が急に泣きだした。
夏「いいよ。気にしないから泣かないで。」
悠「ずっと…ずっと…、お預けされてるから我慢できなくて…。でも、夏くんクラスメイトだから…、ダメって分かってたの。でもね、部屋には永海いるし、暗い公園に1人は怖いし…」
夏「大丈夫。俺、黙ってるから。」
悠「…全部、黙っててくれる?」
夏「うん。」
悠「…約束だよ?」
涙目の悠が俺の脚の上にまたがり、さっきより深いキスをし始め、俺の指を触れて欲しい所に近づける。
悠「ごめんね…、ごめんね…。」
ずっと泣きじゃくりながら謝る悠を見ていると昔の俺を思い出す。
…そうだよな。
謝ってもお腹は空くし、目の前にあるカビたパンは食べたくなるものだよな。
夏「謝らなくていいよ。」
俺は片手で悠を抱きしめて悠が求めてるものを差し出すと、悠は指と首を強く締めてくる。
悠「…もう、いっ…ぽん。」
夏「だめ。1本だけ。」
悠の吐息が耳にかかり熱い。
だんだんと締め付けが強くなり、甘い声が漏れ体を震わせ始める悠。
夏「いこ。」
悠「…うんっ。」
最後にもう1本滑らした指への締め付けも強くなり、ドクンと波打つと同時に首を締め付けていた腕も今までで1番力強く締め付ける。
しばらく悠の呼吸が整うまで待ち、濡れた2本の指を悠の口に入れる。
悠「…まずい。」
夏「これされたくなかったら、こういうのには俺を誘わないで。」
悠「…うん。分かった。」
悠が俺から降りてぬるくなったオレンジソーダを飲み、最後の1口を俺にくれる。
悠「帰る?」
夏「うん。」
それ以降、俺たちは部屋に戻るまで一言も交わすことはなかった。
→ キラーボール




