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ひと夏の恋  作者: 環流 虹向
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12:00

合宿場所のホテルに着き、荷物を部屋に置いてから班のみんなで昼ご飯のカレーを作ることになった。


俺は沙樹と一緒に5人分の食材を先生たちから受け取り、みんなの元に持っていって野菜を洗い始めていると、一くんが永海に何か話しかけに来ていた。


永海「みんなー、カレーにニンニク入れなくてもいい?」


と、突然永海がそう言った。

一くんはニンニクを貰いに来たのか。


みんなで入れなくていいと言い、一くんは永海からニンニクを貰うと次はお米を一緒に炊いてほしいと頼み、若干永海が呆れ顔をする。


愛海「じゃあ、俺たちの班と一緒に作るか?」


永海「いいじゃん!いろんなの食べられる!」


一「ありかも。じゃあとりあえず米取ってくる。」


と、一くんは自分の班員たちに伝えに行った。


夏「一くん、なに作るって?」


永海「アヒージョもどきとマッシュポテトだって。」


夏「へー。アヒージョって作れるんだ。」


愛海「油とニンニクあったら出来るぞ。」


そんなに簡単に作れるものだとは知らずに1人驚いていると、一くんの班が食材を持ってやってきたので一緒にご飯を作り始めることにした。


俺はカレーを具を煮込む係に任命された。


みんなが切ってくれた野菜をどんどん鍋に入れて煮込んでいい感じになったらルーを入れる。


その隣では愛海と一くんに引けを取らないイケメンの海斗くんがアヒージョもどきを作る。


ニンニクのいい匂いが空っぽの胃を刺激してきて俺は静かに腹を鳴らす。


今日の昼ご飯は豪華だなぁと思っていると、向こうの班で茹でていたじゃがいもを持った永海といつも可愛らしい服装をしている明くんが帰ってきた。


永海「本当に全部のじゃがいもマッシュにしていいの?」


海斗「半分だと少ない気がするけど、永海が入れたいなら入れればいいよ。」


明「俺、丸々1個食べたい。」


永海「えー…、私も。」


夏「好きな分入れなよ。」


2人はトプンと2つ大きなじゃがいもを入れると、満足そうな顔をしてマッシュポテトを作り出す。


将「腹減ったー。」


奏「もう、出来そう?」


と、洗った皿を拭き終わった一くんといつも一緒にいる奏くんと筋肉まんの将くんが帰ってきた。


海斗「カレーはあと少し煮込んだら出来る。こっちはエビ入れてないからまだ。」


奏「エビ多めにな。」


海斗「ミックスだぞ、そんなこと出来るかよ。」


愛海「イカとアサリはカレー行きにすればシュリンプアヒージョになるぞ。」


奏「おおっ!そうしよう!」


シーフードカレーになったカレー鍋の火を止めて、後は余熱で煮込むことにした俺はお米を貰いに元々一くんたちが作業する場所だった作業場に向かう。


すると、お米はとっくに出来ているのかコンロの火は消されてあり、悠と一くんがとても楽しそうに盛り上がっている。


ダーツをしてた時でさえ、そんなに盛り上がらなかったのにな。


俺は2人の会話を邪魔しないよう、食事を食べるテーブルとベンチを手伝いにきてくれた永海と拭いたりして時間を潰し、2人がみんながいる作業場にお米が入った鍋を持っていくのを見て俺たちも戻ることにした。


明「土鍋のお米、初めて食べる!」


将「悠ちゃん、土鍋で炊けるの尊敬。」


悠「ここにいるみんなやってる。」


一「俺も炊いたけど?」


悠がこんなに人に囲まれて話してる所を初めて見たかもと思いながら、取り皿や鍋敷きを用意してみんなでテーブルを囲む。


「「「いただきまーす!」」」


みんなが思い思い食事を取る中、悠はみんなが取り終わるのを待っているのか動こうとしない。


俺は沙樹から貰ったお茶を隣にいる悠のコップに入れる。


悠「ありがとう。」


夏「取らないの?」


悠「にんじんアレルギーなの。」


夏「え?じゃあマッシュポテト取ろうか?」


悠「多分、切った時ににんじんに触れてるからやめとく。」


なんで作る段階で教えてくれなかったんだ…?

こんなとこで気を使う必要ないのに。


夏「え…、お米しか食べれないじゃん。」


悠「土鍋で炊いた白米美味しいよ?」


悠は微笑みながら目の前に置いてある土鍋からお茶碗にお米を盛る。


夏「先生になんか余ってないか聞いてくるよ。」


悠「え、いいよ。」


夏「俺もにんじん嫌い。」


悠「…本当?」


夏「ほんと!」


俺は席を立ち上がり、栄美先生と海阪先生がいるテーブルに向かう。


栄美「おー、彼方どうした?」


夏「清泉(しみず)さんがにんじんアレルギーらしくて、大半の物が食べれないんですが何かありますか?」


海阪「おい。ちゃんとアレルギーシート取ったはずだろ?」


栄美「ちゃんと配った…、あれ?けど…清泉は未提出だったような…。」


海阪「生徒を殺す気か。せっかく推薦したのに見損なった。」


栄美「…すまん。彼方ありがとうな。俺、今から車貸してもらってコンビニ行ってくる。」


と、栄美先生が立ち上がろうとすると海阪先生が自分の保冷バッグから10個入りのはちみつ梅を2パックくれる。


海阪「どうせ班のやつも欲しがるから2つ持ってけ。」


夏「いいんですか?」


海阪「熱中症予防に持ってきたんだ。まだ4つある。」


栄美「恵美さん…。ありがとうございます!」


栄美先生がベンチの上で海阪先生に土下座する。


海阪「晩ご飯からしっかり伝えておけよ。」


栄美「今!伝えてくる!」


栄美先生はそのまま事務所に走り出す。


海阪「昼ご飯はこれしか用意出来なくて申し訳ない。晩ご飯は清泉のおかずを多めにしてもらうように言っておく。」


夏「分かりました。梅干しありがとうございます。」


俺は梅干しを持って帰り、1番に悠に渡すと梅干し自体苦手と言われ断られた。


けれど、貰った梅干しを無駄にすることはできないので俺はお米中心に昼ご飯を食べた。





→ 君という花

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