7:00
集合時間20分前に着くとクラスの半分の人数はすでに集まっていて、俺の班ではあと悠が来たら全員揃うところ。
愛海「くっそー…、やるよ。」
沙樹と永海が大喜びしながら大きいワッフルを愛海から1つ貰い、わけ合いっこをして食べ始めた。
夏「どうしたの?」
沙樹「愛海が悠と夏どっちが早く来るか賭けようって言い出して負けた。」
愛海「こういうのって言い出しっぺが負けるよな。」
永海「夏は時間内にはちゃんと来る子だもん!私は信じてた!」
そんな賭けをしてたのか…。
夏「待ち合わせには遅れちゃだめでしょ。しかもクラスのみんな待たせるって…。」
愛海「でも、まだ悠は来てないぞ。」
そう言われて周りを見渡すと普段学校に遅れ気味の人でもすでに集まってる中、悠の姿はまだ見えない。
沙樹「来ないって言ってた?」
永海「昨日、合宿の準備しながら電話したんだけど…。」
永海の表情が曇り、不安げに携帯を開いて悠にメッセージを送るもすぐに返信は来ない。
栄美「まだ全員揃ってない班あるかー?」
と、栄美先生と海阪先生が点呼を取り始める。
沙樹「すみません、あと1人来てません。」
沙樹1人が手を挙げ、その様子を見た数人のクラスメイトが悠の愚痴を言い始める。
まだ5分あるんだからそんなに罵らなくてもいいだろ…。
永海「…あと3分して返信来なかったら電話してみる。」
永海はその空気が嫌になったのか、悠がいつも使っているという電車の改札口に向かう。
俺もその空気感の居心地の悪さに耐えれなく、沙樹たちに荷物を任せて永海についていくことにした。
永海「悠が来てくれるから花火大会行こうと思ったのに…。」
ボソっとため息交じりに永海が本音を呟く。
夏「そうだったんだ。悠は花火好きなの?」
永海「賑やかな場所にいるのが好きみたい。」
夏「でも、あんまりはしゃいでるイメージないね。」
永海「賑やかな場所の雰囲気が好きで、はしゃぐのはそんなに好きじゃないっぽい。」
夏「…なるほどね。なんとなく分かるかも。」
大人しい印象の悠がいつも俺をハイカラ町に連れ出す理由がなんとなく分かった。
永海「悠って元から学校自体苦手らしくて高校の時少し不登校だったんだって。」
夏「…いじめられたからとか?」
永海「それもあるけど、学校に行く意味を自分なりに見出せないんだって。」
夏「勉強するためじゃないの?」
永海「悠が言うには、勉強は家でもどこでも出来る。学校は固定概念を作り上げる工場みたいで嫌いって言ってた。」
でも、その固定概念があるからこそ社会が成り立ってるはずなんだけどな。
夏「…でも、この専門学校には入ったんだ?」
永海「元々絵を描くのが好きだったからっていうのもあるし、この専門学校って他の学校より特殊じゃん?だから惹かれたんだって。」
夏「なるほどね。悠が思う普通の学校には行きたくないってことか。」
永海「多分。この学校もサボりがちだけど、出席日数はちゃっかり計算してるんだよね。」
夏「やる気なさそうであるんだね。」
永海「うん。将来はフリーのイラストレーターになりたいらしいから、毎日3枚以上絵は描いてるようにしてるって。」
ただ遊び歩いてるように見えて意外とやりたいことに向けてしっかりやってるのか、と感心していると永海の携帯に愛海から電話がかかってくる。
永海「どうしたー?」
と言った瞬間、永海が驚いた声あげて俺の手を引き、みんながいる集合場所に引き返す。
夏「え!悠は!?」
永海「タクシーで来たって!もう集合場所にいるって!」
俺たちは急いでみんなの元に走り、謝りながらバスに乗り込む。
悠「ごめんね。携帯充電するの忘れて電源切れてた。」
永海「来てくれて良かったよ。広い部屋1人は寂しいし。」
悠が俺たちにも申し訳なさそうに謝る中、後ろから海阪先生とデュエットしたいと言う声がバス中に響き渡る。
すると目の前の席に座っている海阪先生が栄美先生に何か指示を出すと、栄美先生はバスの壁に付いているマイクを取り、俺たちクラスメイトがいる方に振り向く。
栄美「俺の美声に勝てたら恵美さんとのデュエット券ゲットだ!」
みんながその言葉に大盛り上がりして歌合戦が始まり、結果は栄美先生の完勝。
海阪先生が歌うことはなかった。
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