戦の爪痕(八)
「『御身を御護りするに、これほど頼もしいものもありますまい』と、近侍の方は崇徳上皇陛下にお渡しになったとのことです」
「……左様か……」
崇徳上皇陛下の御ためになれば、お祖父様の面目は保たれる。例え公にできぬことであっても、私たちの誇りとして刻まれていく。
『最期まで、気高き武士として在ろうとなさった、我が一族の長』
それは代々語り継いでいく誉れだ。
「そしてこれは……源氏の方々だけの内密な話ですが」
小助が声をひそませた。
「近侍の方を通じて、殿へ文が届いたのです」
──忠実な家臣の尽力に感謝する。哀悼の意をここに記す──
彼女の教養書と異なり、こちらでは天皇という位の方が死に関わることを厭われてはいない。ゆえに崇徳上皇陛下からお悔やみの文を頂戴したことは、多大なる名誉となった。
私たち武士は貴族から捨駒扱いされることが多い。その死を、此度は畏れ多くも最高位の方が悼んでくださった。
御心を賜ったことで、大いなる長を喪った私たちの救いとなった。皆、お祖父様がお心を尽くされたことと頭では理解していても、やはり得心できることではない……という雰囲気だったゆえ。
……そうか。それを含めての称賛だったのか。
私は目元を拭った。
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次回更新は、8月14日23:00頃を予定しております。
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