波紋を広げる秋の除目(二)
乱の前。
源のお祖父様は、長の授与をしたい旨の書簡を朝廷に提出なさっていたはずだ。それが受理されたとは聞いていない。そしてこの見計らったような通達。
向こうの言い分は──
「……『乱に関しての書簡処理に追われ、こちらの書簡を見落としていた』そうだ」
父上が奥歯をきつく噛み締められた。
知らぬものは、受理できぬ。
受理する前に、提出者は討死。
その提出者は、敵方に寝返った者。
向こうの──信西殿の言い分は、乱に限ったことで言えば理に適っている。だが私たちは知っている。
お祖父様が書簡を提出なさったのは、今年の春の除目が終わった直後だったということを。半年以上も見落としているなど、あり得るはずがない。
皆も同じ考えに行き着いたのか、表情が険しい。
その上、解官ならばともかく官位剥奪とは……公式の記録から官歴を抹消される訳ではないが、何と不名誉なことか。
官位剥奪など、重罪人と同じ扱い──あぁ、そうか。
信西殿は、お祖父様を……
我ら源氏の長でいらした威徳な方を〝重罪人〟という中傷で、貶めたのか。
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