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ありあけの月 ──暁──  作者: 香居
三章 保元元年(一一五六)八月~九月

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波紋を広げる秋の除目(二)




 乱の前。

 源のお祖父様は、長の授与をしたい旨の書簡を朝廷に提出なさっていたはずだ。それが受理されたとは聞いていない。そしてこの見計らったような通達。

 向こうの言い分は──


「……『乱に関しての書簡処理に追われ、こちらの書簡を見落としていた』そうだ」


 父上が奥歯をきつく噛み締められた。


 知らぬものは、受理できぬ。

 受理する前に、提出者は討死。

 その提出者は、敵方に寝返った者。


 向こうの──信西殿の言い分は、乱に限ったことで言えば理に適っている。だが私たちは知っている。

 お祖父様が書簡を提出なさったのは、今年の春の除目が終わった直後だったということを。半年以上も見落としているなど、あり得るはずがない。

 皆も同じ考えに行き着いたのか、表情が険しい。

 その上、解官ならばともかく官位剥奪とは……公式の記録から官歴を抹消される訳ではないが、何と不名誉なことか。

 官位剥奪など、重罪人と同じ扱い──あぁ、そうか。

 信西殿は、お祖父様を……

 我ら源氏の長でいらした威徳な方を〝重罪人〟という中傷で、貶めたのか。


お読みいただきありがとうございます。

またブックマークや評価などにも感謝いたします。

次回更新は、8月29日23:00頃を予定しております。


誤字脱字がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

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