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ヤブをつついて竜が出た  作者: HAL


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6/7

6. 君に会うため



「……内容は詳しくここで聞く訳にはいかないけど、その……同意、なのよね?」


「年齢的にはあれですが、イチャラブルートなので同意です」


「まぁ、それならいいわ」


「いくないです!」



 何故か王妃様とキャサリン様の間で上手くまとまった、みたいになってるけど!

 はい!はい!と手を挙げて異議あり、と訴える。

 ランベルトの膝の上で。


 ……二人に可哀想な子を見る目で微笑まれた。



「不埒な真似をしたら頭の輪っかが締まる魔道具とか作れないかしら?」


「母上の世界にはそんな便利な物があったんですねぇ」


「……それって拷問具じゃないか?」



 王妃様と息子達の会話が物騒だった。



「いや、流石に僕もあっち(・・・)の世界の倫理観持ち合わせてるんで、無体な真似はしないよ?」


「そだよね!らんベルト、ふじゅんだからくもにのれなさそうだし!」


「マリエッタ様、多分それ別の話が混ざってると思います」



 あれ?純真じゃないと雲に乗れないとか何とかは別の話?

 まぁ私も三蔵法師じゃないしね…



「そういう訳だ。ルイーゼ、納得してくれたかい?」


「……仕方がありませんわ。陛下、王妃様、くれぐれもランベルト様が暴走しないよう、くれぐれも!しっかりと見張って下さいませね」


「ルイーゼ、貴女もしかして」

 

「原作より早いですが、隣国へ留学したいと思います。私がこの国にいれば辛い事を思い出す方もいますし……キャサリンお姉様の輿入れに付いていく形で、離れようかと」



 キャサリン様は近々隣国の王子と婚約して、そのまま隣国で王子妃教育をされ、落ち着いたら結婚する予定だ。それに合わせて側妃様が下賜という形で初恋の人に嫁ぐ。既に発表済みの事だ。

 ゲームではキャサリン様に婚約者がいるって話はあった。トゥルーエンドはルイーゼはキャサリン様の結婚に合わせて隣国へ留学するラスト。でもそれは今から8年後の話で、こんなに早くない。



「私は母を早く解放してあげたくて、我儘を言って結婚を早めてもらったんです」



 そんなキャサリン様にルイーゼ様は爆弾を投下した。



「何を呑気な事を言ってるんですか。まさか、ゲームの事知らずに良心だけで決めたんです?」


「げーむ??うらにわ?」


「違いますよ。2です。エターナルガーデン2〜約束の木の下であなたと始める物語〜です!」

 


 ここにきてそんな続編とか話広げないでルイーゼ様!!


 ルイーゼ様によると2は隣国が舞台のお話だそうで、ヒロインは当然別にいる。攻略対象も隣国の男性なので直接こちらと関係はないのだが……だがしかし。

 攻略対象の1人がなんと、キャサリン様の婚約者!というか、その時既に結婚してる人だから略奪愛になるわけ。流行りのNTR(ネトラレ)が!

 しかもそのルート、不倫のまま関係を続けるドロっドロなエンドで、一番後味が悪い結末となっているんだそう。前作のランベルトがアレすぎる結末だったからって、そうくる?

 ヒロインがまともな倫理観ある子なら大丈夫じゃない?

 そんな過激派なかなかいなくない?



「甘いですわマリエッタ様。キャサリンお姉様のお相手のビジュは勿論の事、声が……!あの【ピー】様(ご想像にお任せします)ですよ!?声だけで妊娠させられちゃうという、あのお方!!!」


「アハハ、声だけで妊娠されちゃ婚外子だらけで流石に王族マズいでしょ」


「シャァラーーッップ!!フェルナンお兄様はお黙り下さい!!!とにかく、倫理観を裏庭に捨てさせる程のお相手との禁断の恋なんです!キャサリンお姉様の為、ストーリー開始前にライバルを闇に葬り去るべく、わたくし、暗躍するのですわ!」



 鼻息荒く宣言するルイーゼ様。

 いや、流石に王族が隣の国で暗躍したら駄目だろう。



「父上は何でまたそんな面倒くさそうな相手を選んだんだ?」


「ガヴェイン、それは政治的なアレだよ。向こうが王族に竜の血を入れたかったんじゃない?だからそのげーむとかいう話でも、離縁はせず不倫関係が続くんでしょう?あっちはキャサリン姉上との子供が欲しいんだから」


「……それって不倫相手の子は処分対象じゃ……」


「まぁ、頭がお花畑の当人達の知らぬ間に一服盛られるかもだねぇ」


「………決して日陰者にはしない、王太子ではないが、王子は王籍に残ったままの地位でキャサリンは正妃のまま離縁もしない、と、そういう取り決めだった。不幸にしないという保証を国家間で結んだはずだったんだ……まさか、愛人を置かれるとは―――うちの娘を子供を産むだけの孕み腹扱いするとは!どれだけ馬鹿にするつもりだっ!!!」



 どうどう!王様落ち着いて!

 まだその未来は確定してませんから!



「そうですよ!それを阻止する為に、相手をお姉様にべた惚れさせて新ヒロインに付け入る隙を与えない、題して『隣国第二王子メロメロ大作戦♡(はあと)』を開始するのです!!」


「……」



 皆がそのフザケた名前の作戦に真剣になってあれやこれやと討論をしているのを、ランベルトと私のちびっこコンビはぼーっと眺めていた。だって出番無いし。



「そのヒロインをフェル兄上かガヴェ兄上が籠絡する方が手っ取り早い気がするけどね」


「それがいっちゃん、へーわだよねえ」



 隣国の第二王子を薬漬けにして新ヒロインを暗殺する話まで出てきたのでちょっと冷静になってもらい、結局ルイーゼが新ヒロインと接触して好みのタイプを聞き出し、それによってフェルナン様かガヴェイン様のどちらかを短期留学させてハニトラを仕掛ける事に決定した。

 平和的解決で何より。


 そうして半年後、キャサリン様とルイーゼ様は隣国へと旅立ったのだ―――








■□□■■






 ―――十年後―――





 私、マリエッタ15歳。もうすぐ16になるの。


 え?展開が早すぎる??

 仕方ないでしょ。

 あの後のアレヤコレヤを語ると、半分はここでは語れない『(イヤン)な話』になるんだもの!


 ええ、ええ!

 ランベルトは宣言通り、無体な真似はしませんでしたよ。無体な事はね?

 ランベルトも初めは我慢していたのだけど、竜性がほんっと、厄介すぎた。理性が吹っ飛ぶ寸前までいき、並の幼女なら耐えられないコトもされたけど、まぁ中身アラサーの私には、割り切っちゃえばただのラブラブイベント!


 とはいえ、年齢的なものもあるので最後まではいかないよう、我慢しすぎの爆発をさせない為に、日頃から小出しにイチャコラしておりました。

 もうお嫁にイケナイわ…って、まぁ実は既にランベルトに嫁入りした身なんだけど。わはは。


 それというのも今から5年前。

 隣国のルイーゼ様から「ヒロインは聖女の力でランベルトの竜性を抑えて、ランベルトエンドを作り出すつもりよ!」と非常事態宣言が成された。


 また新たなパワーワード来た?

 聖女なんて、そんなよくある異世界転生のあるある大辞典……じゃなかった、異世界あるあるのネタで攻めてくるとは思わなんだ。


 2のヒロインもまた、転生者かぁ…。

 そんで前作のランベルト推しって事?

 

 又もや家族会議が行われ、隣の聖女が何かやらかす前に、と、私とランベルトは先に結婚だけしてしまう形を取った。聖女がランベルトの幸せを願う子であれば大人しく引くだろう、という期待を込めて。私達が結婚したのを知った聖女は、憑き物が落ちたかのように大人しくなったんだそう。

 そもそも新ヒロインはまだ聖女として目覚めていないので、政治的に茶々を入れられない。今は真面目に聖女として覚醒するよう頑張ってるみたいなので様子見だ。

 まぁ、何かやらかしそうな気配を感じたら「私がシメてやりますから!」とルイーゼ様が言ってたし。やっぱりゴリラかな?


 キャサリン様も向こうの第二王子を籠絡するのに大成功?して幸せ絶好調。今では三人のお子様のお母さん。

 攻略ポイントは、キャサリン様の前世にあった。

 そもそも新ヒロインが第二王子と良い仲になったのは彼女の癒しの力が原因。万年抱えていた不調が彼女の力で軽快し、第二王子がヒロインにズブズブハマっていった、という訳。

 で、そもそも第二王子の不調の原因が好き嫌いの激しさからくるものだった事を知ったキャサリン様が、前世『管理栄養士』のスキルを駆使して第二王子(旦那様)の食事改善を行った結果―――見事体調不良は改善され、元気ハツラツ!オロナミ……げふんげふん、まぁその、お元気になられた彼はアッチも(言わせないで)元気になってキャサリン様とラブラブにね。うん。癒しが必要無くなった第二王子は、学園に通う弟に聖女を紹介される事もない。二人の接点は完全に潰され、ヒロインからのネトラレは阻止出来た。

 新ヒロインからガツガツ男漁りしそうな気配はもう無さそうだけど、念の為ね。この世界、よくある強制力っていうのがなさげだけど、万が一に備えておくのだ。

 


「マリィ。ん?またルイーゼからの手紙?」



 ソファーの後ろからランベルトが手元を覗き込む。気配を感じさせずに近付いてくるのは変わりない。

 アサシンスキルでもあるの?



「うん。ルイーゼもそろそろ卒業でしょ?こっちに戻っておいでよ、って猛烈アタック中!」



 ルイーゼにまつわる悪評というか、王弟の真実を国王であるお義父様は前王が亡くなったタイミングで公表した。

 王弟の名誉回復でもあり、ルイーゼ様が悪意に晒されずこの国で暮らしやすいように。あと、今後生まれる王族の血を持つ者が運命と結ばれやすいように。牽制でもある。



「うちの領ならルイーゼも大満足だと思うんだ〜」


「そうだね。向こうの食べ物の再現も、もう問題ない位には広がったんじゃないかな」



 結婚と同時に王籍を抜け、伯爵位をもらって領主になったランベルトは、爵位を息子に譲って引退したうちのお父様とお母様に助力を請いつつ、領地を運営した。まだ学生だったし。


 ちなみにハイド家はエルドアンお兄様が継ぎ、サミュエルお兄様はその補佐として頑張っている。フェルナン様の学友兼護衛をしていたのも、学生の間だけという約束だったから周囲の反感が無かったんだって。

 そうだよね。ハイド家って子爵家だし、王族の側に付くならもっと爵位が上か、将来騎士として側に仕えるような人が付くはずだもんなー。

 フェルナン様はエル兄様にそのまま側仕えになって欲しかったみたいだけど、状況が状況だからと渋々諦めた。でもなんだかんだ遊びに来てるらしい事をサミュ兄様に聞いたので、もしかしてBのL的な展開に発展しちゃうの?!……と、サミュ兄様からの続報をワクワクしながら待っているところ。



「……それにこの子にも早く会わせたいしね」


「うん……」



 そう言ってまだ膨らみもしないお腹を撫でると、その手の上にそっと優しくランベルトの手が重ねられた。


 そう。

 ついに私は身重になってしまったのだ!

 そりゃやる事やってればそうなるだろ、って思われるかもだけど、こんな若くしてそうならざるを得ない理由が私達にはあった。ランベルトの竜性だ。


 強すぎる精力…じゃなく、竜性に困った私は、過去の王族でも竜性に悩まされていた人が居ないかと調べてみたんだけど、そこで代々王妃が書く手記?のようなものを見つけたの。

 何というか、ぶっちゃけR指定の体験記みたいで王妃様は気付かなかったんだけど、私はそれと王族の系譜を照らし合わせて確信した。

 強い竜性を抑える為には、自分と番の血を分けた子供がいればいるほど精神が安定するのだという事を。


 どうも、子沢山の王様の時って国も繁栄してるというか、統治?運営?が上手くいってたみたい。

 逆に強い竜性を持つのに番以外と結婚した王族の人は、性に奔放になるから断種されたりしたみたいなんだけど、そもそも血を分けた存在が増える事で安定する竜性な訳で、それが出来なくなるって事は後はもう想像の通り。

 衰弱したり狂い死にしたって真実は闇の中。

 もっと早く公になっていたら、王弟さんも番さんも、幸せになれたんだろうな。


 なので、ランベルトと私の幸せの為、多少早いけど子供を産むことに決めた。出産のリスクだけど、どうもお義母様の話を聞けば、竜の血のせいか出産は軽いのだという。

 お義母様は前世で出産の経験もあるし、今は5人も産んでる体験者だしね。

 あ、そうそう。

 お義母様は9年前にまた出産してるのよ。凄いよね……。今度こそ、と期待の中生まれたのは女の子。自身では初めての女児出産に、お義母様以上にお義父様がもう可愛がって可愛がって大変なんだ。

 第七王女サラフィーナちゃんの初恋はフェルナン様。成長した今は理想の男性が何故かランベルトに。番に一途な溺愛系が好みなんだそうな。ませてるぅ。



 色々あって、怒涛のように流れていった日々だけど、振り返っても後悔はしていない。

 また同じ時に戻ったとしても、私は棒でヤブをつつくのだろう。


 愛しい〝(あなた)〟に出逢う為に。

 なーんてね。




次はおまけでものすごく短いです。


ハッピーエンドが好きな皆様へ。



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