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トースストの香り
朝トーストを食べる。
むかしトースターでやいた香りを思い出す。
むかし祖母の家でトースターで焼いていた。
祖母は、沢山歩く人だった。
幼いわたしを連れ、気が遠くなるくらい歩いた。
よくあるけたなぁと思う。あの距離。
まだ、路面電車が街には走っていた。
近くの高校もまだ木造だった。
とにかく人が多く、腰の曲が曲がった祖母に連れられ長い時間歩いた。
何の用事で歩いたのか分からないが。
あの頃わたしの両親は、働いていたが、何を思っていたんだろ。
今その街をバスで通る。
建物にそのころの面影はない。
それでも、トーストの香りだけは、あの頃のままだ。




