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小さな妖精スフレ、魔法使いの家でやらかしてます 〜彼といっしょの、ちいさな毎日〜  作者: 久寿 たまや
2期目

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29/30

29. かぼちゃ頭のランタンと、おっきくなっておうちに入れず闇夜を彷徨うあたしのはなし

月も星もない曇り空。今夜はお祭りの夜。でもスフレは留守番だった。あ、寂しいわけじゃないからね!レイジは裏方だし、一緒に回れないから留守宅の守りを買って出ただけなんだから!

レイジも帰ってこないし、そろそろ寝てしまおー、なんて思って、シーツを取りに窓から出て魔法で人化したら、アレ?家の中に戻れない……?仕方なく、レイジを迎えに行こうとする彼女ですが……。



妖精スフレと魔法使いレイジの、少し甘い日常のひとコマ。毎回独立、一話完結の掌編。

※イラストは AI生成(ChatGPT)です。


「レイジまだかなぁ。」



 外は夜。暗い夜。

 月の光は残念ながら雲の裏。


 あたしは窓の縁に腰掛けて、雲の切れ間を待ちながら、黒の景色に時折吹く夜の風を聴いていた。



「ふわぁぁ……。」



 もちろん、家の中だって夜。

 大あくびに背中が反って、翅がぴくぴくっと震える。


 そのまま気分で仰け反り切って、宙に飛ばしたあくびに乗った気分で宙返り。仰向けでふわふわ空中へ。



 レイジは、村のお祭りに出かけてる。


 せっかくだから、あたしも一緒に行こうと思ったんだけど……。



 細まった目を閉じて、地面の向きにハラハラこぼれる髪の中で手を組んで伸びをする。


 レイジは実行役?とか、裏方担当らしくて。それで一緒にお祭り回れないらしい。


 そんなの……、魅力が半減だよねー。

 ……そんな訳で、留守宅の守りを買って出たあたし。



 伸びきった身体が戻るのにあわせて、薄く目を開ける。

 見慣れた大きな天井。寝室の。空は見えないけれど、見慣れた木目模様が迎えてくれて……。


 これはこれで……安心する。



 もちろん誰も居ないからって、遊んで過ごしたわけじゃない。ちゃーんとしっかり仕事はしてる。

 掃除に洗濯、お皿洗いに水汲みに、そして水浴び。さっき戸締りだってしっかり確かめた。


 ……ちょっと違うの混じってるって?


 いいじゃない。綺麗になって、レイジの為にもなるわけだし。



 「ふぁー……。」



 再び出てくる大欠伸。


 そんなこんなで、今日は働いたので、そろそろあたしも店じまいかなぁ。

 レイジの布団でひと足先に寝てしまおー。


 思ってベッドを覗いて、ふと気づく。



 シーツが無い。



 ……そっか。

 朝に洗って、そのまま外に干しっぱなし。


 

「あっちゃー。もう冷たくなってるよ……。」



 くるっと身体を反転させて、瞼は半分以上閉じたまま、空いてる窓からふわーっと外へ。


 庭の物干しを眺めれば。そこにはちゃーんと……忘れられた白い布。

 どこかに飛んでったりはせず、健気に干した時のまま。


 眠い眼をこしこし擦りながら、でっかい布をうんしょと引っ張った。



「……ん、……あれ……?」



 うまく竿から抜けない。

 じゃあ、こっちから引っ張る方が……?


「………………あれー???」



 適当に引っ張ってたら、何故か元の通りの位置に戻ってしまった。


 ……いや、ふざけてるわけじゃないから。


 干す時もそうなんだけど、竿に一枚のデカい布ってちょっとずつ引っ張るとなんでか不思議とこんがらがっちゃうんだってば。


 ぱたぱた翅を動かして、空中をゆらゆらしながら指を軽く頬に当てる。



 地面に落としたら台無しだし。

 暗くて、大きくて端もよく分からないし。

 姿勢は変えないまま、空中で丸をふたつ描くみたいにくるりくるりと回った。



 ……あー。もう。考えても分かんない。

こうなったら得意技。魔法でなんとかしちゃう。



『Bloom Form(開花形態)』



 人化魔法。

 あたしだけの門外不出の独自魔法(オリジナル)。

 ……ほんとだってば。


 制御は、……完璧。眠い中でも頑張った。

 髪が、手が、足がすらっと伸びて、たちまちのうちにあたしはヒトに近い大きさへ。


 けれど、ちょっと位置が高すぎた。

 人化したその直後、翅のなくなったあたしはぽてっと落下し、身体を強かに打ちつける。



「いたたたた……。」



 お尻をさする。そして……。



「へくしゅ……。」



 寒い。

 そっちの方は、なんとも当たり前。

 だって。裸だもの。



 いや、そーだよ。うっかりしてた。

 ヒトになったら妖精の時の服は着られない。

 大きさ的な面でも、ヒト形態では魔法が使えないという面でも。



「うう、さむさむ。」



 シーツを急いで取り込んで、玄関へ。

 ドアを開けようと引っ張った。



 ……あかない。



 なんで……?


 思ってから。

 動かす翅も無いので、手をポンと打つ。

 そっか。あたし窓から出た。



 …………あれ?それってまずくない?



 いやーな予感が背中を登る。ぞわぞわ髪まで逆立つような。

 振り払いきれぬまま、ぴとっと手を壁につけ、触れて歩いて隙間を探し、お家をくるりとひと回り。


 ………………。



 や、やらかしたぁー!!


 一周し終わった玄関で、あたしは小さくなって頭を抱えた。

 よりにもよって、戸締り後。

 窓に一分の隙もなく。2階の窓によじ登れそうな梯子もなく……。

 鍵を持ってるレイジの帰りを待つしかない!?



「はくちっ……!」



 その上、寒い。


 仕方ないから持ってたシーツをすっぽり被る。

 頭だけ出して身体に二重に巻き付ければ、だいぶマシ。



 ずっと夏なら良かったのに。残念ながらもう過ぎ去って、最近ちょっと肌寒かった。

 夜になると、ほんともう一層冬の気配。


 だからこそ……。


 あああ、もう。冷たすぎ。

 大人しく座ってられずにお尻を浮かす。


 そもそも何も履いてないものだから、直に当たる石の床はあまりに耐え難い。

 かと言って、せっかく洗ったシーツを床になんて敷きたくない。


 ぺた、ぺたとその場で足踏み。

 裸足だし、じっとしてると冷たくなるのはそっちも同じ。



 あぅう……。

 やっぱりじっと待ってるなんて無理。村に、レイジに会いに行くしかないみたい。



 交互の片足立ちをしながら、村へと続く道を見る。



 ……とっても暗い。

 庭を抜ける前にすでに景色は闇の中。灯りなしでは、向かえない。


 外出用のランタン……は、玄関扉の中だけど。外にはひとつだけ、置きっ放しの別の灯りがあった。


 かぼちゃを顔の形にくり抜いた飾りランタン。お祭りの灯り。レイジの持って帰ってきた試作品だった。


 明るさ的にやや心許無い光だけど。なんにもないよりずっとマシ。



 手にとって、掲げる。

 へーんな顔。笑ってるような、怒ってるような、困ってるような……。


 三角の目と、ギザギザ歯の彫られた口。みっつの穴から漏れる淡い光。

 中の黄色の灯りは、レイジの魔道具。


 正面を向ければ、歩くのに不足は無いくらいには道を照らしてくれる。



「ま、いっか。よろしくね。」



 かぼちゃの頭をよしよしと撫でてから、抱えて正面を向けて。あたしは夜道を歩き出した。


◇◆◇◆



 ふわり、ふわりと夜風にシーツが靡く。


 ワンピースと言い張るには、手が不自由過ぎるかな。身体がチラ見するから迂闊に腕をあげられない。

 とにかく裾を地面につけないように、時折止まって直しながら、ゆっくり進む。


 村までの道は、暗い草原を抜ける一本道。大きな道と途中で重なって、そしてあとは一直線。



 どんより雲が過ぎ去って、月と星の、空のあかりを期待してたんだけど。

 広い草原に来た筈なのに、景色は真っ暗、黒一色。

 アテは外れの大外れ、残念ながら今夜はずっとこの調子のよう。


 翅で湿りを感じようと背中に力を込めて……、気づいて代わりに鼻をひくつかせる。

 幸い、雨の気配は感じない。鼻に自信はないけれど。



 十歩先は常に闇、寂しい道をひとりだけ。てくてくてくてく歩く。

 頼りは抱えたかぼちゃの淡い光。


 黒に染まっていないのは、被ったシーツの白くらい。

 手のひらすらも感覚頼り。

 あるけど見えない。なんとも不思議な実感で。



 だから、お化け……魔物じゃなくて。幽霊とか不可解な精霊とか。そういうモノが、脳裏に浮かぶ。


 誰かに見られてない?闇に浮かんで何か現れるんじゃ無いか……って想像しちゃう。



 ぞくぞくしてきた背筋。ぶるっと震わすついでに変な思考を追い出した。


 今は、咄嗟に手は出せない。真っ白シーツも纏ってる。万が一にでも転ぶわけにいかないから、足の裏の感覚に集中する。



 抱えたかぼちゃは、踏み出すたびに腕の中でゆらゆら揺れる。

 歩くペースが、だんだん速くなっていく。

 闇の中をふらふら導く、困った顔の淡い光。


挿絵(By みてみん)


◇◆◇◆


 暫く歩いた先だった。道の向こうに見えてきた小さな明るい光。すぐそばにはーー。



 人影だぁ……!



 見つけた光に飛びついて、たたたたっ、と駆け出す。

 翻るシーツ、灯りをうっかり落とさないよう伸ばした腕にしっかり抱えて。


 目指すは、強い灯にぼんやり浮かぶヒトの影。

 動機は、並んで安心したかった。それだけなのだけれど。



 影は見る間に速度を増して、どんどん離れて道の向こうに行っちゃった。



 ……残念。

 ため息をついて、またゆっくりと歩き出す。

 無言で急に走って追いかけたし、脅かしちゃったのかもしれない。



 しばらく行けば、また違うヒトの灯りが見えてきた。

 あれは……、あの灯りはきっと、村の警邏のヒト。



 さっきと違って怖がらせないように。

 最初に、おーいって大きく叫んで、気付かせる。


 そしたら、灯りは振り返って立ち止まった。

 あたしに気づいて、待ってくれてるみたい。


 ランタンを掲げてなにやら合図みたいに振ってくる。だからあたしも片腕をシーツから出して、かぼちゃをよいしょと高く掲げた。

 ぶんぶん、とは揺らすと危ないから、頭の上で上下に振ってみる。


 ーーおっとっと、かぼちゃを落としそうになった。

 重いから、あんまり速く動かすと危ない。

 たたらを踏んで、バランスをとって、ぐらぐら揺れるかぼちゃを持ち直す。



 顔を上げると、何故だか凄い勢いで道の向こうに消えてく光。



 えぇぇー!?



 ……なんで?

 灯りをあんまり高く大きく振り過ぎて、退却かなんかの合図と思われた……?



 不思議で、不可解。

 完全に置いて行かれた気分になって……。


 むーっ、と口を結ぶ。

 そわそわよりは、ざらざらした方の落ち着かなさ。

 衝動的に追いかけたくなるけど……、無理そうだから地面を軽く蹴った。


◇◆◇◆


 暫く行くと、またまた灯りが見えてきた。


 今度は、急がず落ち着いて。明かりのかぼちゃも振ったりもせず。大人しく静かに後ろを歩く。

 ペースを揃えて、少しだけ向こうより早く、じわりと距離を詰めていく。


 あと少し、もう少しで追いつくとなったところで、灯りがこっちを振り向いた。


 硬直。相手がぴたっと止まったから、あたしも足を止めてみる。



 あたしの格好を、そして灯りをじっとみる気配。


 でも……、まだちょっと距離がある。持ってる光の逆光であんまり姿が分からない。

 距離を詰めるとまた逃げられるかも、と思って代わりに口を開く。



「こ、コンバンワ。トッテもイイ……夜です、ね?」



 怪しくない、あやしくない。そう思う程に硬くなり、妙な声を出してしまう。

 おまけに、いい夜と口に出しかけ、真っ暗だしなぁと思ってから声のトーンを下げての最後は躊躇の疑問形。


 相手の疑念の色が、濃くなっていく。


 手を外に出してのリアクション……は、捲れると裸が見えちゃうから出来ない。

 かぼちゃを持つ腕をもぞもぞさせるに留まった。



「えっと、ほらあたし、見ての通りヒト……だから。ご一緒していいですか?」



 わたわたしながら、なんとか怪しまれまいと言葉を繋げたけれど。言い終わるか終わらないかのうちに、踵を返して駆け出してく。



「うわぁあー!!」


「まって……、こらーっ!まてーってばー!!」



 悲鳴の後を追い、かぼちゃの灯りを小脇に抱えて、どたどたと走る。

 逃げるヒト、追いかけるあたし。差はどんどん……


 ーー縮まらない。いやほんと、全然。


 たぶんあたし、走るの遅い。

 あぁ、翅があれば。ひとっ翔びなのに……。

 思って背中に一瞬気を取られたからだろうか。



「わぷっ……!」



 何かにぶつかった。背の高い草の葉が道に突き出てたみたい。


 ばさっと被って、その拍子にカボチャの口から、入ってた灯りが飛び出てしまう。

 それは、一度跳ねて、光が消えて、そのまますぽっと黒い草むらへ。



「あーっ!?」



 あたしの痛恨の叫びが、真っ暗な道にこだました。



◇◆◇◆




「はぁ……?かぼちゃの化け物?」


「何やら草原の道に現れたらしいよ、レイジ。」



 帰ろうとしていた僕に、わざわざ知らせに来てくれたのはルカ。この村の幼馴染の、今は自警団をしている彼だった。


 ルカは、他に人の目がない時は「っす」をあまり言わない。副作用なのか、僕へのさん付けも無くなるが。そういえば、面倒を回避する処世術とか言っていたな。


 彼はメモらしき書き付けを見ながら呟く。



「証言は……色々だな。

 『目と口を光らせて頭から突っ込んできた。』

 『身体から首が取れて浮遊した。』

 『人のふりしたかぼちゃに追っかけ回されたと思ったら突然消えた。』」



「他にもあるが、今んところ脅かされただけだ。実害報告は無し。だが、レイジの家の方面だしな。念のため伝えに来た。今夜は暗いし、馬で送ってやろうか?」


「いや、……歩いて帰るよ。遭遇するならする、でそのうち調べなきゃいけないしな。

 ありがたく気持ちだけ受け取っておく。」



 正直思い浮かぶのは……、翅が4枚も生えた小さな少女の姿。家で待っているはずだが。何故だかお化けだか怪異になってるならそれはそれで回収して帰らないといけない。



 そう思ってルカと別れ、村を出てすぐのことだった。



「レイジ……。」


「うわぁぁっ!?」



 いきなり白っぽいのに横から抱きつかれた。

 思わず叫んでしまってから、気づく。



「スフレか……?」


「なんでみんな逃げるの……?逃がさない、レイジは逃がさないんだから……。」



 耳元で聞こえる囁き。

 泣きそうな声のくせに、ぶつぶつと魔物じみたセリフを呟いているが。


 身体を擦り付けてよじ登ってくる感触は確かに。白い布をすっぽり被ったスフレだった。

 元が妖精の為か、人化しても彼女は軽い。それゆえの身軽さでするすると背中へ登っていく。


 そして近くの地面には、かぼちゃ顔の灯の消えたランタン。



 理由の方は分からないが……。

 服に当たる身体の感触、人化魔法、そして玄関に飾っていた筈のランタン。


 何が起きたのか、は察する。

 家から村まで、暗い中をひとりで歩いてきたんだろう。



「脅かすなよ、スフレ。」


「……びっくりした?今まで聞いたことない声だったものね。」



 振り返る隙間もないほどに近い彼女の顔。

 闇の中でも微かに見える紅い唇の端が上がる。


 息遣いと、髪から香る石鹸の香り。

 ぴたっと身体をひっつけて、肩から見上げてくる彼女はいつもに増して距離感がおかしくなっている。


 こほんと咳払いをしつつ下ろそうとしたが、離されまいとしがみついて抵抗する。

 ぐいぐい押し付けるせいで……、意識の奥まで擽ってくる彼女の感触。



 ザックを下ろし、いつものものを、露天で売ってる棒付きの飴をひとつ、長い瓶から取り出した。



 スフレの動きが止まる。

 棒を回すと、先端に釣られて金色の瞳もくるりと回る。



「あーん。」



 促すと、小さな口は素直に開く。

 なのでその中に、スポッとひとつを放り込んだ。



「大人しくしてくれよ。」


「ふぁあい……。」



 『あまい』なのか、『はあい』なのか。

 満足げな顔。近くで見てる僕まで顔の力が抜ける。



「自分で歩いて欲しいんだけどな。」



 しかし、返ってきたのは寝息。

 絶対寝たふりだろと思いつつも、背負い直す。



「ふ、ふ……ふっ……。」



 耳に当たる吐息。堪えきれなくなって漏れてる声。

 飴の棒は、取ろうと思ったら咥えて抵抗された。



「……まったく。」


「ふふ、お菓子くれなきゃ、イタズラするよ?」


「じゃあ暫く大人しくしてくれるってことだな。」


「甘くしてくれたらね。」



 肩で持ち上げ、顎で撫でるように触れる。震えて、くすくす楽しそうに笑う声。



 地面に置かれたかぼちゃを持ち上げる。

 灯りを切ってるのかと思ったが、中の魔道具自体が無かった。


 見れば被ったシーツの裾が汚れている。きっと途中で落として、探して見つからなかったのだろう。



 こんな暗い夜をその格好で、灯りなしで彷徨ってたなら……。そりゃ出会った瞬間逃げられるし、心細くもなるか。


 肩に乗った頭を撫でてやると、調子に乗って更に擦り寄ってきた。

 頬に当たる、柔らかい金の髪。



 かぼちゃの顔は……、向き合えば実になにやら言いたそうな表情だった。

 明かりもなくされるわ、化け物扱いされるわだから、今夜の一番の被害者かもしれない。



 だから、褒美をやるというわけでは無いが……。

 腰に下げていた僕のランタンの光量を上げ、無くなった灯りの代わりに押し込んだ。


 煌々と光るかぼちゃ、顔の形の影が道の先に現れる。


 目と口からは漏れる溢れんばかりの光。

 嬉しそうというよりは迷惑そうだが。かぼちゃごとうっすら光っているのも相まって、不気味の域は通り越し、どこか可笑しみを感じる姿。



 スフレに手渡すと、気に入ったらしい。頭の上に掲げた。

 思ったよりも遠くまで、しっかり周りを照らす、かぼちゃの顔の光。


挿絵(By みてみん)


 闇夜に浮かぶ、輝くかぼちゃ頭と白いシーツ。


 まぁ、不審だが。不審に間違いはないが。

 浮きすぎて見えすぎて、受ける印象は滑稽の方に上塗りされるだろう。



 ……僕らにとっては、これでちょうどいい。



 明るい、明る過ぎるお化けとなった僕らは、暗い夜道を楽しく、ゆらゆら照らしながら進んでいった。

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