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TS星の魔法少女  作者: ゆん
第一章 星の魔法少女になった日
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第二話 魔法少女の姿で幼馴染に会いました。むかっとしたのでお仕置きしました。

この数日間、葵は母と姉に連れ回されていた。


「葵ちゃん、これ似合うよ!」

「こっちの色違いもいいわねえ」

「下着はこっちの方がかわいいわよ」

「あ、このヘアアクセかわいい!」


(もう疲れた……)


心の中で何度ため息をついたかわからない。女の子として生きていくためには様々な物が必要らしく服に靴に下着にアクセサリーにと、あちらこちらの店を巡らされた。


「葵、ため息つかないの」

「……疲れた」

「もう、これくらいで疲れてたら女の子はやっていけないよ?」


(女の子って大変なんだな……)


男だった頃は服なんて適当に選んでいた。サイズさえ合えばなんでもよかったし、そもそも選択肢も少なかった。だが女の子の服は種類が多すぎる。スカート一つとっても丈の長さや形や素材が違うだけで何十種類もあるのだ。


「まあ今日はこれくらいにしといてあげるね」

「……ん」

「明日も行くけどね!」

「……むぅ。」


(まだ、続くのか……)


そんなわけで、ようやく自分の時間ができたのは日が暮れる頃だった。


*  *  *


探索者協会の魔法訓練場は、夕方になっても活気にあふれている。

ダンジョンから戻ってきたプロが復習をしていたり、新しい連携を試したり、

あるいは新しく手に入れたスキルを試したりしているのだろう。


「ここが……」


葵は入り口で小さく息を呑んだ。


(思ったより大きい)


スキルで補強された頑丈な壁に囲まれたその施設は、野球場ほどの広さがある。複数の訓練エリアに分かれておりそれぞれで探索者たちが思い思いに技を磨いていた。


「こんばんは。本日は訓練場のご利用ですか?」

「ん」

「ありがとうございます。ではこちらのプレートをお持ちください」


受付の女性から貸与された認識票を首から下げて、葵は訓練場へと足を踏み入れた。


(ドキドキする……)


夜の瞑想で自分の内側に語りかけることで、なんとなく能力は把握している。でも実践は別だ。頭でわかっているのと、実際に使えるかどうかはまるで違う。


(これで探索者としてやっていけるかどうかが決まる……)


葵はぎゅっと小さな拳を握りしめた。

その時だった。


「おい、見ろよ」

「なんだあの子……」

「すげえかわいい……」


訓練場にいた男たちが一斉にざわつき始める。

ここは普段、むさくるしい男しかいない場所である。そこに突然現れた銀髪金眼の美少女。目立たないわけがなかった。


(?)


葵が顔を上げると、周囲の視線がさっと散った。

なんだろうか。やはり自分は何かおかしいのだろうか。

しかしその瞬間、訓練場の空気が変わった気がした。


「フッ!」

「ハアアアッ!」


突然、あちこちで派手な必殺技の練習が始まったのだ。炎が舞い、雷が走り地面が割れる。


(な、なんだ……?)


キョトンとする葵。


「おらああっ! 燃え上がれ俺の拳!」

「切り裂け! 疾風の太刀!」


さっきまでは談笑していた男たちが、一転して真剣な表情で技を披露し始める。


(み、みんな急にどうしたんだろう……?)


葵はポカンとその光景を見つめた。


(Aランク探索者を災害で数多く失い、日本は落ち目と言われていたけど……なかなかやるじやないか)


キラキラと目を輝かせる葵。その無垢な反応が、また男たちを刺戟する。


「見てる見てる!」

「よっし、もう一発!」

「俺のも見てくれ!」


(みんないい人そうだし、私も頑張ろう)


葵はふんす、と気合を入れた。


「ねえ、そこの君」


背後から声をかけられたのは、その時だった。


「?」


振り返ると、そこには同年代くらいの背の高い男子が立っていた。チャラい雰囲気のいかにもナンパ慣れしていそうな軽薄な笑みを浮かべて。


(……ていうか健太か。春休みなのに訓練場にいるとか、相変わらずチャラいくせに真面目なやつ。)


「君、見かけない顔だね。訓練に来たの? よかったら俺が教えてあげよっか?」

「……必要ない。」

「そう言わずにさあ。俺、けっこう強いんだよ? Lv21もあるしユニークスキルは『鋼の肉体』。あ、そうだ。俺が君の攻撃を受けてあげる。遠慮せず、ドンと来てよ。」


(…はぁ。)


如月健太。葵の幼馴染である。葵と同じく武道を嗜んでおり長身で筋質なイケメンのモテモテ野郎だ。普段は真面木で気のいい男だが、女にはだらしなくこうしてたまにナンパしていると聞いていた。


(こいつ、俺だと気づいてないな……)


まあ無理もない。葵はもともと小柄だが、間違いなく男子だった。それが今では銀髪金眼の美少女である。気づけという方が酷だ。


(ユニークスキルの影響で見た目が変わったからな……)


しかし。

葵の心の中で、なにかがムクムクと湧き上がる。


(こいつ、戦闘系ユニークで探索者になるんだよな。俺はお前と組んでもうまく戦えるようになりたいと思って、ドキドキしてたのに。お前はナンパか)


むかっ。


(ちょっと懲らしめてやる)


「……自分より弱い男には興味がない」

「おっ! 強い男が好み? 俺っち強いよ?」

「ん。わたしに勝ったら、デートしてあげる。」


(ふふん、乗ってきた)


葵は小さく笑うと、訓練場の中央に向かって歩き出した。


「え、ちょっ、マジで? やった!」


健太が喜んで後を追う。


「おい見ろよ、健太のやつ」

「うわ、あの美少女に手を出したぞ」

「まあアイツはああいうやつだからな……」

「仕方ないな。問題になりそうならフォローしてやるか。美少女ちゃんを助けないとな。」


周囲の男たちがヒソヒソと話している。どうやら健太のナンパ癖はここでも有名らしい。


「さあ、準備はいい? 怪我はしないようにするから、遠慮なくかかってきて良いよ。」

「……いらない」

「え?」


「手加減、いらない」


葵は静かに告げた。


「いや、それはその・・・。」


(まぁ…こいつ、女子供に手をあげられる奴じゃないからな。訓練なら相手もするけど、いつも怪我はさせないようにしてるし。)


葵はそれ以上何も言わず、ゆっくりと構えを取った。瞬間、その小さな身体から強烈な圧が放たれる。

物心ついた頃から人間国宝・成神誠一郎の教えを受けてきた葵である。その武威は、幼い美少女になっていても強烈だった。


「っ!?」


(さて、どれだけ動けるか、試してみよう)


突然の強烈な武威に、咄嗟に本気の構えを見せる健太に対し、葵は自然とその距離を詰めにかかった。


* * *


「くそっ、まるで葵みたいな女の子だなッ!!!!!」


意識の隙間を縫うように距離を詰める葵に対し、待ちのままでは受けられないと悟った健太が先に仕掛けた。Lv21の身体能力に加え、身体強化のスキルも使っているのだろう。いつもより良い反応速度だ。


(速いな……でも)


葵は落ち着いてその動きを見切っていた。


(まだまだだな。奇襲したのは悪いと思うが、それでも動きが丸見えだ)


体を半歩ずらすだけで、健太の拳は空を切る。


「えっ?」


「……甘い」


「な、なにっ!?」


「もっと来て。」


「くっそ! これならどうだ!」


今度は連続で拳を繰り出す。しかし葵はまるで舞うように、すべての攻勢を躱していく。


(なんだこれ……。マジで葵と闘ってる時みたいな…あいつ外国人の妹とかいないよな?)


健太の顔に焦りの色が浮かぶ。小さいくせに強すぎる幼馴染の影がよぎった。


(当らない。さっきから全部、紙一重でかわされてる。まるで未来が読めてるみたいに……、ていうかこいつの動き、もう完全にあいつだろ。)


その様子を、周囲の男たちが呆然と見つめている。


「おいおい、まじかよ……」

「あのチャラ男、Lv21だぞ。それを……」

「つうか、あの子まったく本気出してないだろ」


「はあっ、はあっ……!」


息を切らす健太。対する葵は汗ひとつかいていない。


「……もう終わり?」


「…なぁ、お前葵だろ?」


「……ん、気づいたか。じゃあ・・・」


葵は初めて、自分から動いた。


「っ!」


気がついた時には、健太は地面に転がっていた。思ったより勢いがついたが、無駄に頑丈なこの男だ。心配はないだろう。


「……だぁー!ちくしょう!お前、お前それはずるいだろ!なんだよ銀髪美少女って!まじ好み!付き合ってください!」


「うるさい死ね反省しろ。」


決着は実にあっさりとしたものだった。間合いを制圧し、相手の力を利用して崩す。幼い頃から何千回も繰り返してきた基本の動きだ。健太との戦績は321戦300勝10敗11分けである。


「はぁ……。なぁ、マジでなんで銀髪美少女?俺の性癖が歪むんだけど?」


「やめて、気持ち悪い。…大体ユニークスキルのせい。」


葵はステータスカードを出して地面に転がる健太に見せた。


「 おお、マジで葵なんだな…。魔法少女?って、なんだ?」


「知らない。私が知りたい。というかそのためにここに来た。」


「あぁ…。まだ使ったことないのか、ソレ。」


「ん。」


葵が差し出したカードを、健太はまじまじと見つめた。


「私は探索者になりたい。でもお金でスキルやステータスを調整する余裕はない。だから、このユニークスキルが戦闘向きか確かめにきた。」


「なるほどな。…邪魔して悪かったな。だがまぁ、今でも間違いなくそこらの戦闘系スキル持ちより強いぜ?もしスキルが使えなくても、お前なら大丈夫じゃねえの。」


「……ん。組む?」


「お前が良いなら大歓迎だぜ。」


幼馴染だからという忖度じゃない純粋な意見。こういうところで健太は嘘をつかない。探索者が実力を見誤れば死に直結するからだ。だから、その評価は素直に嬉しい。


「うわ…。お前ソレ、やめとけよ。」


「?」


「嬉しそうに微笑むの。破壊力が半端じゃねぇ・・・。」


(何言ってんだこいつ。まぁいいか)


信頼できるパーティメンバーもできた。なら次は、今度こそユニークスキルの確認だ。


AIが生成したテキストを一部そのまま適用しています

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