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20秒で読み終わる話あり!  ショートショート集  作者: ameumino


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ため息の給料日

「なんで、お前はできないんだよ!」


オフィスの部長室の中に怒声が響く。


ダン!


部長は椅子に座ったまま右手でデスクを強く叩く。


「申し訳ありません!」


平社員の男は怒鳴る部長の前で立ったまま頭を下げ続けていた。


「お前みたいな役立たず、今まで見たことないぞ!」

「……申し訳ありません」


それから部長の説教は10分続いた。

説教中、平社員の男は「はい」か「申し訳ありません」の2つの言葉しか使わず

頭を下げたままじっとこらえた。


「もう良い!出ていけ!」

「はい、失礼します」


ようやく説教が終わり、平社員の男は部長室から外に出た。

男はがっくし肩を落とす……かに見られたが、誰にも見られてないことを確認してから小さくガッツポーズを取り、

「帰り道が楽しみだ」

とつぶやいた。

ーーー

2126年、「ため息救済措置法」なるものが制定された。

ため息をするたびに救済として1000円支給されるというものだ。国民は皆、体内にICチップが埋め込まれており、それによって回数が計算され、翌月支給される。

なお、意図的にため息を出しても回数には反映されない。ICチップが意図的かどうか判断している。

そのため男は即座にため息をしようとはしない。意図的になるからだ。

なので怒られたことはいったん忘れた上で仕事を続け、帰り道、ふと怒られたことを思い出し、思わずため息をつくことを楽しみにしている。

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