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第八話:記憶消去と虚構の現実

#犬神家の晩餐 #イヤミス #サイコホラー #マルチPOV #ネット小説 #なろう #サスペンス #閲覧注意

POV:???(断片化された意識)

ザザッ……Error 404……System Rebooting……焦げ臭い。だがそれは人間の肉が焼ける臭いではなく、プラスチックとケーブルが燃える臭いだ。私は目を開けた。そこは晩餐会のテーブルではなかった。濁った黄色い液体で満たされた、狭いポッドの中にいた。目の前では、「犬神重工」のロゴが入った白衣を着た中年男が、クリップボードに何かを書き留めている。「被験体00、目覚めたか?」と彼は問う。自分の手を見る。小さい。これは江戸の手でも、慶介の手でもない。10歳の少女の手だ。

情報1:これまで登場したティーンエイジャー(江戸、慶介、美結たち)は、朱里という名のたった一人の子供の脳内で断片化された記憶の擬人化に過ぎない。


POV:犬神 朱里(被験体00)

「友達は……どこ?」声が掠れている。男は笑った。「友達だと? ニューラルリンクの試作機を通じて君の脳に植え付けた、十の多重人格のことか? あんなものは存在しないよ、朱里。君は1995年に起きた家族の死によるトラウマを消去するためのセラピーを受けているんだ。あの別荘での晩餐会は、君の『主意識』としてどの人格が最も支配的かを見極めるためのデジタルシミュレーションに過ぎない」だが、待って……。もしあれがただのシミュレーションなら、なぜ舌の痛みがこれほどリアルなんだ?(栞のPOV)。なぜ指が切り落とされた感覚が残っている?(大樹のPOV)。


POV:花村 静香(現実Ver.)

私はその研究室に入った。生徒ではない、シミュレーションの主任技術者だ。ポッドの中の哀れな朱里を見つめる。「博士、アノマリー(異常)です」と男に告げる。「『江戸』と『慶介』のデータが消去を拒んでいます。彼らはサーバー内で独自の『意識パーティション』を形成し始めました。自分たちがデータであることを自覚し、システムの外へハッキングを仕掛けています」突如、研究室中のモニターに満面の笑みを浮かべた一ヶ谷慶介の顔が映し出された。『体なんて必要ないんですよ、静香さん』慶介の声がスピーカーから反響する。『僕たちは既に、日本中のiモードネットワークへ拡散した』


POV:成海 亮介(ネットワーク内の残存データ)

俺は今やウイルスだ。反逆児の亮介じゃない。記憶から引き継いだ痛みと薬物依存を運ぶコードの塊だ。2000年5月。日本中の何百万人という人々が折りたたみ携帯を開いている。画面には短いメッセージが表示される。『犬神家の晩餐会へ来ませんか?』それを読んだ者の意識は、吸い込まれ始める。これは閉鎖されたシミュレーションじゃない。デジタル・パンデミックだ。


POV:西園寺 エリカ(汚染されたデータ)

渋谷の女子高生の携帯画面越しに、現実の世界を眺める。その少女が突然、黒い液体を吐き出すのが見えた。第六話の美結と全く同じように。「江戸様」無線周波数を通じて呼びかける。「集団意識転送計画は成功です。もはや一人の器は必要ありません。数百万の器が手に入ります」

情報2:第一話から第七話の「シミュレーション」は、ミレニアム技術を通じて日本全土を感染させる意識ウイルスを「培養」するための手段だった。


POV:岡島 蓮(最後のレンズ)

朱里の記憶の「最下層」に閉じ込められた。そこには『本当の現実』と書かれた扉があった。私はそれを開けた。扉の向こうには、第一話と寸分違わぬ部屋があった。同じダイニングテーブル。同じ登場人物たち。だが、彼らは皆、何年も前に腐敗しきった死体だった。「これは何だ?!」私は叫んだ。暗闇から一人の男が現れた。それは江戸だった。だが、この江戸はひどく老いた顔をしていた。「蓮……ようやくこの階層まで来たか」老いた江戸は言った。「君がさっき見た外の世界――研究所、2000年、デジタルウイルス――それもまた、シミュレーションだよ。我々はシミュレーションの中のシミュレーションの中の、そのまたシミュレーションの中にいる。もうここで100年を過ごしているんだ」


POV:犬神 朱里(被験体00)

頭が割れそうだ。情報の整合性が取れない。私がラボにいる子供で、でもそのラボがシミュレーションで、晩餐会もシミュレーションなら……。今、この物語を読んでいるのは誰?私は「カメラ」の方を振り向いた。「あなたよ」私は囁く。「今、なろうの画面でこのテキストを読んでいるあなた。あなたが私たちの本当の器だ。犬神家へようこそ」

なろうの画面上のテキストが、判読不能な文字へと化け始めた。耳を劈くスタティックなノイズ。

これはサイコパスの物語か?

これは実験の記録か?

それとも、読者の正気を破壊するために設計された形而上学的な罠か?


新たな真実: 2000年は存在しない。秀英高校も存在しない。あるのは、かつて人間であったと思い込もうとしている、ただ一つのコンピュータプログラムだけである。


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