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そんなに好きなら、もうその世界に転生してしまいなさい。  作者: 葉山麻代


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22 梅仕事(梅味噌)

 頼まれた仕事を終わらせたので、僕は山田さんの手元を見ていた。山田さんは、茹で(たこ)の小さめに切ったものと湯がいた小葱とワカメを、味噌のような色の液体で合えていた。


「山田さん、それは何ですか?」

「これは『ぬた』だよ」

「ぬたですか?」


 聞いてもわからなかった。


「ぬたが分からないのか。簡単に説明するなら、酢味噌で合えた、海鮮とワカメと小葱類の和え物を、ぬたって呼ぶかな。これは、タコとワカメと小葱だね」

「酢味噌だったんですね」


 酢味噌なら、知ってる。酢:味噌:砂糖=1:2:1で作る調味料だ。


「まあ、普通は酢味噌なんだけど、ここのは梅味噌だね」

「梅味噌ですか?」


 あれ?最近聞いた気がする。そういえば、社長の奥さんが、梅で作るもの一覧で言っていた。


「もしかして、お店で作った調味料ですか?」

「正解。そのうち作ると思うよ」


 酢味噌とはどう違うのかなあと考えていると、社長がボイルされたホタルイカを小皿にのせて持ってきた。


一抹(いちまつ)君、梅味噌を貰ってこれ食べてみな」

「はい。ありがとうございます」


 小皿が重ねてあってボイルホタルイカが2つのっていたので、1つずつにのせ直し、山田さんに1皿を渡した。

 すると、山田さんが笑いながら受け取り、梅味噌を皿の端にのせてくれた。


 早速食べてみると、酢味噌と似ているけど、ほんのり梅の風味があって、生臭みを消していて、酸っぱすぎないし、酢味噌よりも美味しい!


「これ、美味しいですね!」

「簡単だし、青梅が手に入るなら作ってみると良いよ」

「簡単なんですか?」

「青梅と味噌が同量、糖分が梅の6割。ジッパーバッグで作れば空気も入らないし、溶けてきたらすぐに冷蔵も出来るし、出来上がったら使いやすい容器に移せば良いよ」


 説明を聞く限り、少量から作れそう!


「庭に生っている梅で作ってみます!」


 毎年庭に梅が生っているけど、あまりたくさん実が付かず、何かを作るには足りないと、母から聞いた覚えがある。


「刺身こんにゃくとかにも合うよ」

「楽しみです!」


 酢味噌を使うもの全てに合いそうだ。


 アルバイトが終わり家に帰り、庭側の電気を点けて庭を照らした。

 残念ながら梅の木の方角は照らせず、出入口だけが明るくなった。


 梅の木のそばまで行き、暗がりで梅が見えるか試したけど、葉の影と梅の実の影の区別が付かず、夜収穫は無理そうだった。


光明(みつあき)、何してるの?」

「うわ、ビックリした。母さんお帰りなさい」


 いつのまにか、母が後ろに立っていた。


「ただいま。それで何してるの?」

「少量の青梅で作れる美味しい調味料を教えて貰ったから、梅がどのくらいあるのかと思って見てた」

「そうなのね。明るくなってから収穫すると良いわ」

「うん。そうする」


 翌朝、起きるなり梅を収穫した。結構大きな木なのに、全部で12粒、重さにして310gしかなかった。

 綺麗に水洗いし、ボールに入れて水に浸けた。


 朝ご飯を食べ食器を洗った後、竹串を使って梅のヘタを取り除き、キッチンペーパーで梅の水分をしっかり拭き取った。


「母さん、味噌を310g貰って良い?」

「良いわよ。棚にある新しい方を開けて使って良いわよ」

「ありがとう」


 総量が800gくらいなので、Mサイズのジッパーバッグに、味噌、梅、砂糖、味噌の順で詰め込んだ。


「良し、出来た!」

「それは、何を作ったの?」


 洗濯を終えた母が見に来た。


「梅味噌だよ。使い方は、酢味噌と同じで良いみたい。2週間くらいで使えるって」

「あら、梅味噌って簡単に作れるのね」

「母さん、梅味噌知ってたの?」

「どこかで出されたことがあって、作り方も教えてくれたんだけど、煮たり濾したりで、面倒そうだったのよね」

「へえ。色々作り方があるんだね」


 母は仕事に行き、僕は部屋の掃除をしてから勉強し、昼ご飯を食べ、又勉強し、洗濯物を取り込んでからアルバイトに出掛けた。



「山田さん、早速梅味噌作ってみました」

「反応早いね。梅どのくらいあったの?」

「12粒で310gでした」

「梅味噌にはちょうど良い量だね」

「はい」


 出来上がるのが楽しみだ。

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