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そんなに好きなら、もうその世界に転生してしまいなさい。  作者: 葉山麻代


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10/18

10 マンゴーサゴ

「これなんですか?」

「夏向きデザートよ。マンゴーサゴって名前よ」


 木曜日のお弁当を並べている時、知らないものがあるなあと思ったら、本当に知らないものだったらしい。名前を聞いたことすらない。色と名前で、マンゴーの何かであるとは分かるけど、とりあえず液体っぽい。 夏向き?


「それ、旨いぞ」


 社長も好きなデザートらしい。


「とっても簡単だから、明後日の仕込みを手伝ったら食べさせてあげるわよ」

「はい。お手伝いします!」


 社長の奥さんが、フィリピン人の友人から習ったデザートで、東南アジアや香港でも食べられているそうだ。



 一昨日(おととい)約束したので、土曜日は早く出勤した。


「はい、レシピ」


 社長の奥さんから、ポンと、ノートを渡された。


 ━━━━━━━━━━━━━━

 マンゴー       8個

 小粒タピオカ    1200g

 ココナッツミルク  200ml

 砂糖         20g

 ━━━━━━━━━━━━━━


「本当は、タピオカじゃなくて、サゴって名前の、サゴヤシからとれるデンプンで作った粒々なんだけど、日本では手に入らないのよね。だから、似た感じの小粒のタピオカを使います」

「はい」


 食感的には、タピオカの方がモチモチしていて、サゴの方があっさりしているらしい。機会があったら、それも食べてみたいな。


「タピオカを戻します。乾燥タピオカ400gで、戻ると1200g出来上がります。3倍と覚えてください。既に茹でて戻したタピオカがここにあります」


 ボールに入った茹でてあり冷えているタピオカを出してきた。午前中に茹でてしまったみたいだ。


「マンゴーは3枚におろし、4個はミキサーでピューレにして、残り4個は果肉を5mm角くらいに切ります」


 ここが大変なので、手伝って貰いたいらしい。

 マンゴーを3枚下ろしにし、実を削いでいく。種についている実を、スプーンを使ってかきとる。


「ココナッツミルク、砂糖、マンゴーピューレを混ぜ、切ったマンゴー、タピオカを加えて冷蔵庫で冷たく冷やします」


 本当に簡単だった。ボールのまま、冷蔵庫にしまっていた。


「これで、何人前ですか?」

「総量が3000g強だから、20~25人前ってところかしら」


 この後、冷えてから小分けにするらしい。


「マンゴーの良い香りがしますね」

「そうなのよ。ちゃんと香りがする熟れているマンゴーを使っているからね。これ香港だと、更にグレープフルーツの果肉が入るらしいわ」

「へえ。さっぱりしそうですね。あれ? そういえば、これは注文分ですか?」


 今日はお弁当を販売していない。それに、他のパートさんも来なかった。


「今日の限定デザートよ」


 居酒屋メニューの、本日の限定デザートに使うらしい。


「争奪戦になりそうですね」

「先にデザートを食べてから、お酒飲む人までいるのよ」


 無くならないうちに食べるには他に方法がないんだろうね。


「僕は飲めないから良く分からないけど、甘いものもお酒も両方いける人なんですね」

「あ、そうか。未成年だものね。甘いもの好きな酒飲みでも、なかなか先に甘いものは食べないのよ。糖分は、満腹感を覚えちゃうからね」

「そういえば、食物科の先生が、そんなことを言っていました」


 確かに、ご飯の前に甘いお菓子を食べちゃうと、ご飯が食べられなくなるよね。


「そうだ、豆乳どうする? 豆腐でも作る? 豆乳花(トールーファ)でも作る?」


 おからはクッキーにしたけど、豆乳は使わずに冷蔵庫に入っているままらしい。


「とーるーふぁってなんですか?」

「豆乳で作るゼリーみたいなものね。黒蜜ときな粉をかけて食べたりします」


 知らないお菓子だ。ぜひ食べてみたいし作ってみたい。


「それ、作ってみたいです」

「明日も早く来る?」

「はい!」

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