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咎人の詩  作者: 81MONSTER(日本を代表する怪物)ポンコツ犬のタナトス
第七話【魔窟】

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「さて、数珠はの奥か……」


 社に入った途端、魔徒以外の気配を感じていた。


 気配は二つった。のどちらも、並の手練てだれではない。今の自分では、手に負える様な相手では無いのは瞬時に理解わかった。


 の内の一つが、此方こちらに接近していた。緊張が全身を駆けめぐる。下手をすれば、瞬きのいとまも無く殺され兼ねない。香流羅は懸命に、生き残る術を探った。全身を伝う冷や汗と、焦りばかりがまとわりく。


「珍しい事もるな。此処ここに、人間の来客がるのか?」


 何時の間にか、もう一つの気配が背後にった。


 振り返り身構える。


「止めておけ。私達に、闘う意志は無い。れに、お前では勝てん」


 魔徒では無い。人でも無い。の気配は、神に近しかった。邪悪なは、全く感じられない。


「お前等は一体、何者だ?」


 警戒を強めながら、攻撃の機会をうかがう。不用意に掛かれば、此方こちらが死ぬ事に成る。


 れだけの手練れが、二人も居る。闘うのは得策では無かった。だが、退く訳にはかない。


あんずるな。私達は、敵ではない。見ての通り私は、半神半人の半端者。其処そこに身を潜ませているのは、私の従者だ。いおり、姿を現せ!」


 女に言われるままに、狐面を付けた小柄な女が姿を現した。全く隙が窺えなかった。


「私の名は舞織神楽まいおみかぐら。一応、今の世に馴染む為に、女子高生とう奴をやっている。此処ここは、一時的に寝床として使っているだけだ」


 邪気や悪意は、全く感じられなかった。


 女の言葉を信じる訳ではなかったが、嘘ではない様だ。の人懐っこい笑顔に、自然と心が緩みそうにる。


「俺はの奥にる物に、用が在る。通らせて貰うぞ」


「別に止めしないが、止めておいた方が身の為だ。の奥には、魔徒がうようよ居る」


 気配から、十や二十ではない事は解っていた。此処ここに来るまでに、随分と体力が消耗している。


 だが、退く気は無い。


「忠告は、無用だ。何が在ろうが、俺は目的を果たさねばらん」


「なら、菴を連れて行け。きっと、役に立つぞ」


 信用は出来ないが、の先の気配から、一人では危険なのは解っていた。


「面を取れ。素顔を見せん奴は、信用ならん!」


れで、満足か?」


 狐面を取ると幼い顔が、あらわになった。


 妹の刹那よりも、幼い。仏頂面でったが、可愛らしい顔をしている。


 僅かだったが、香流羅の警戒が緩んだ。正確には、油断しているのだ。れが、命取りに成る。


「直ぐに警戒を解いては、いかんな……」


 僅かに生まれた隙をいて、菴は小太刀を抜いていた。


 太刀筋が、見えなかった。気付いた時には、喉元に切尖きっさきを突き付けられていた。菴が其の気で振り抜いていれば、首を斬り落とされていただろう。


 ——成る程な。


 自分の弱点は、油断をする所にる様だ。


 神と同じ言葉と刃を向けられて、今の自分では二人に勝てない事を悟る。


「菴、刀を納めよ」


 女に従う菴。主従関係は明白で在った。


「そう言えば、御主の名を聞いて無かったな?」


 微笑を浮かべる女。


 美しい顔をしていた。此方こちら見据みすえる瞳には、けがれの一切が感じられない。


御法院香流羅みほういんかるらだ」


「では、香流羅よ。無事に帰って来る様、まじないを掛けてやろう」


 女が手をかざすと、香流羅の全身を温かい光が包んだ。今の所、二人は自分に味方してくれる様で在った。


 菴を連れて、香流羅は社の奥深くへと消えて行った。



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