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咎人の詩  作者: 81MONSTER(日本を代表する怪物)ポンコツ犬のタナトス
第七話【魔窟】

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肆



「白鷹戦騎(はくおうせんき)タリムよ、良くぞ参られた」


 【裁きの門】の番人で在(あ)る【嘆(なげ)きのエリザ】が厳(おごそ)かに言った。エリザは天界の神々の眷属(けんぞく)で在(あ)るが、千年前の闘いで粗相(そそう)を起こして、極界(ごくかい)に追いやられた。以来、此処(ここ)で番人としての役目を与えられている。


「羅刹は、漸(ようや)く騎士としての使命が芽生えた様ですね」


「はい。今は在(あ)の子に取って、大切な時期。厳正(げんせい)なる御裁(おさば)きを願い申し上げます」


 羅刹の処遇(しょぐう)は、エリザの気分次第で幾(いく)らでも変える事が出来る。エリザの機嫌を損ねれば、即刻にでも地獄へ逆戻りと謂(い)う事も起こり得る訳で在(あ)る。


 零落(おちぶ)れたとは言え、エリザは神々の眷属(けんぞく)で在(あ)る。其(そ)れだけの権限が、彼女には与えられていた。


「今日は羅刹の事で、貴方を招いた訳では在りません」


「其(そ)れでは、どう言った御用向(ごようむ)きで御座(ござ)いましょうか?」


 エリザの招集は、何時(いつ)だって悪い予感しかしない。大抵はエリザの尻拭いが多い。そして其(そ)の殆どが、碌(ろく)でも無い事ばかりだ。


 きっと今回も、面倒事を仰(おお)せ附(つ)けられるに違いない。


 身構えるタリム。


「邪悪なる魔獣・タタラが、現世に蘇ってしまいました」


「タタラが……そんな、馬鹿な。奴の復活は、未だ千年以上も先の話では、在りませんか?」


 タタラとは、古の時代より多くの人々を苦しめ、数多(あまた)の戦騎騎士を屠(ほふ)って来た魔徒の名だ。


 強大な力を有した魔徒。四百年前に多くの騎士や戦騎の犠牲と引き換えに、漸(ようや)く封印したのだ。其の闘いにタリムも又、参加していた。そして此(こ)の時に、多くの《禍人の血族》が犠牲に成った。


 タタラの強大で巨悪な力は、其(そ)の躯(み)に嫌と言う程に染みている。


「万が一、タタラと相対したら……倒せとは、言いません。人々を安全な場所へと避難させなさい」


 本当にタタラと相対したの為(な)らば、逃げる事すら至極困難(しごくこんなん)な事で在った。


 其れに羅刹の性格を考えれば、逃げる事は絶対にしない。


 面倒事が又、一つ増えてしまった。


「我々は、貴方を失いたくは在りません。良いですね。呉々(くれぐれ)も慎重な行動を御願い致しますよ」


 要するにエリザは、自分の保身を考えているのだ。


 先の大戦で、多くの戦騎を失った。現存する戦騎の数は、千年前の十分の一しかない。魔徒達との闘いに勝ちこそはしたが、エリザの立案した作戦の所為(せい)で、多くの戦騎を失ったのも事実。エリザの立場からしたら、此(こ)れ以上の失態を晒(さら)す訳には往(い)かなかった。何せエリザには、後が無いのだ。


「何(いず)れ天界より、タタラ討伐隊が編成されるでしょう。貴方は其れまで、何としても生き延びなさい。話は以上です」


 エリザは直ぐにではなくて、何れと言った。詰まり未だタタラ復活の報告を、天界にしていないと言う事だ。


 そうでなければ、天界で非常事態が起きているかだ。どちらにしても、タリムにどうこう出来る話ではなかった。


「畏まりました……」


 タリムには、渋々ながらに受け入れる他なかった。



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