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咎人の詩  作者: 81MONSTER(日本を代表する怪物)ポンコツ犬のタナトス
第十ニ話【傀儡】(後編)

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 初めて抱く感情に、萌は戸惑っていた。


 心の奥底から、込み上げて来る感情に抗えないでいた。堪え切れない苦しみが、胸を焼いている。気付けば頬を、大粒の涙が零れていた。


 自分は鉈梛九に依って、創られた存在。言わば、主の意の儘に動く傀儡だ。


 傀儡に感情は要らない。只、与えられた命に従うだけだ。既に与えられた役目は熟している。刹那の力を、高める事に成功した。後は時期を見て、主達が刹那を浚うだけだ。其の事を考えるだけで、胸が張り裂けそうな程、苦しかった。刹那の顔が、頭から離れなかった。


 どうしてこんなにも、苦しくなるのだろう。自分は傀儡。感情は不要だ。幾度と無く、主からそう命じられていた筈だ。


 其れなのに何時の間にか、刹那と過ごす日々が、心地良いと感じていたのだ。偽りの日々を演じていただけなのに、自分の中で大きな意味を持ってしまっている。何気ない会話が楽しかった。刹那と共に、ずっと居たかった。だけど其れは、もう叶わない。


 ——私達は、ずっと友達だって信じてるわ。


 刹那の言葉を、嬉しいと感じている自分が居る。ずっと、友達で居たかった。


 刹那の事を、裏切ってしまって悲しいと感じている自分がいる。友達として、刹那に誤りたかった。


 傀儡にそんな感情は、不必要だ。どうしようも無く、胸の奥が痛かった。刹那を裏切ってしまった自分が、赦せなかった。


 自分は鉈梛九の意の儘に動く傀儡なのだ。


 感情なんて、要らない。


 友達なんて、要らない。


 なのに、どうしてこんなにも苦しいのだろう。


 萌は訳も解らずに、吐き捨てる様にして、大声で哭いていた。



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