オモスvsチーホー
「わかった、正々堂々勝負しよう」
「「?」」
「モォォー!!!」
「ミノワさんも楽しそうですね」
闘技場に響き渡る咆哮にカイトたちは状況を理解した。
「さすがはアニキ。オモス、サクヤ」
「「うむ(ええ)」」
返事をするとオモスとサクヤは前に出る。
「二対二、それもホプライトとソーサラーよ。これで満足でしょ」
「……正々堂々……勝負」
まさかの行動に、テンホーとチーホーは驚きを隠せない。
「やるの? やらないの?」
「や、やってやるよ、なあチーホー」
「うん、やってやろうテンホー」
ダメージが残っており、まともに戦えない双子だったが、自分たちが言い出した手前、逃げるわけにもいかず勝負を受けた。
「リーヴお願い」
「了解ですサクヤ」
返事をすると、リーヴはテンホーとチーホーのもとへ歩き出した。
「な、なんだよ」
「や、やる気か」
警戒する二人にリーヴは「危害は加えませんよ」と優しく言い、二人に向って手を翳す。
「ヒール」
なんと、リーヴは敵であるテンホーとチーホーを回復した。これには当人はおろか観衆も驚き、会場が騒めいた。
「な、なんで?」
「わたしたち箕輪家は正々堂々がモットーなの」
ウインクしながら答えるサクヤに、呆れるテンホーだったが心の奥がムズムズした。それはチーホーも同じだ。何かはわからないが、二人ともその感覚が嫌ではなかった。
「ワクワクするねテンホー」
「ワクワクするよチーホー」
二人はオモスとサクヤに笑顔を向けた。
サクヤとテンホー、オモスとチーホーが互いに向かい合う。
「……正々堂々」
「いざ尋常に」
「「「「勝負!」」」」
第二ラウンド、同じ天職どうしのシングルマッチが開始された。
「えい!」
「ふん!」
金属のぶつかる音が響く。
オモスとチーホー、お互い相手の攻撃を盾で防ぐと反撃、を繰り返す。防御に特化したホプライト同士の戦いは、互いに相手の防御をかいくぐることが難しかった。
永遠に続くのかと思われた攻防だったが、時間がたつにつれ二人に差が出始める。
「ふん!」
「くっ!」
チーホーは攻撃を盾で防ぐも、踏みとどまることができず後退し反撃することができなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「……」
肩で息をするチーホー。それに対してオモスは息を切らしてはいない。
体力の差、攻撃を続けるのも体力がいる。ミノワに鍛えられたオモスの体力はチーホーを凌駕していた。
「……終わりか?」
「くっそー」
気力を振り絞りチーホーは突きを繰り出す。
「ふん!」
オモスは突きを盾ではなくメイスで弾くと、体力が減り力の入らないチーホーの手からハルバードが離れ、後方へ飛んでいく。
「「シールドアタック」」
すかさずオモスがシールドアタックで追撃すると、チーホーも咄嗟に同じスキルを繰り出した。
盾と盾が激しくぶつかる、ホプライトとして互いの意地を懸けた絶対に引けない戦い。
「うわぁー」
その戦いに勝ったのはオモスだった。
オモスのパワーに耐えきれずチーホーは吹っ飛んだ。
同じ技でも使用者によって威力は異なる。まして体力切れのチーホーと、体力に余力があるオモスとではその差は歴然である。
基礎体力の差が勝敗を分けたのだ。
「まだだ!」
気力で立ち上がるチーホーだが、両手を膝に前屈みのチーホーは、立っているのがやっとといった様子だった。
チーホーの後には飛ばされた盾が見える。武器も盾も失ったチーホーに、戦う術は残されていない。
それでも立ち上がったのはホプライトとして、いやワーカーの先輩としての意地だった。
「……その気力に敬意を」
オモスはメイスと盾を手放すとチーホーの元へ歩み寄り前屈みのチーホーの体に両腕を回しクラッチすると、一気に持ち上げる。
物凄い力で上下逆さまに持ち上げられたチーホーに抗う術はなく、その力に身を任せるしかなかった。
「ふん!」
オモスはチーホーの体を地面に叩きつける。
『パワーボム』
受け身の取れないチーホーはパワーボムの威力をまともに受けそのまま失神した。
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