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ミノタウロスじゃありません!  作者: name


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33/45

作戦

「あははは」

 テンホーは楽しそうに笑った。


「喜ぶには早いぜ!」

 オモスの背後に隠れていたカイトが、オモスの背中を台に高くジャンプする。


 チーホーを跳び越えたカイトはテンホーに標準を合わせる。

 盾役のチーホーよりも、先にテンホーを叩く、これがリーヴの考えた作戦だ。


「ニュートーン!」

「えっ!」

 盾を払い、オモスの体勢を崩すとチーホーはスキルを発動する。


「ニュートーン」は攻撃を自分に引き寄せる盾職のスキルだ。上空のカイトは何かに引っ張られるようにチーホーに向って落下していく。


「シールドアタック」

 落下の勢いを逆手に取ったカウンター攻撃にカイトは吹き飛ばされる。


「カイトー」

「戦闘中だよ」

「ぐわぁ」

 カイトに気を取られたリーヴはテンホーの魔法を避けることができなかった。


「キミで最後だよ」

 チーホーは右手に持つハルバードを振り上げた。

「サンダースパーク」

 身構えるオモスのだったが、テンホーの雷撃は思わるところに落下した。


「……」


 なんと魔法はオモスの目の前に立っているチーホーに、いや、正確にはチーホーの振り上げたハルバードに落下したのだ。


「雷鳴槍斧!」

 そのままハルバードを振り下ろすチーホー。

 攻撃を防ごうと盾を構えるオモス。


「ぐぉぉぉ!!!」


 オモスの体に衝撃が走る。

 斬撃は盾で防いだが、蓄えられた魔法がオモスの体を走り抜け、その衝撃にオモスは膝から崩れ落ちた。


「弱っちいねチーホー」

「楽勝だったねテンホー」

「動かないよチーホー」

「動かないねテンホー」


「「ヘイ!」」


 ピクリともしないカイトたちに勝利を確信した二人はハイタッチを交わし、スキップしながら踊った。


「な~んちゃって」


「え!?」


「チーホー! うわぁー」


 二人が踊っている最中、素早く起き上がったサクヤがストーンバレットを放った。

 サクヤは無事だった。

 テンホーの攻撃はサクヤを掠めはしたが直撃はしていなかったのだ。

 だが、サクヤは直撃を装い気絶したふりをし、密かに魔法の描写をしていた。丁寧に、時間をかけて。

 そして二人が完全に油断した隙をついて魔法を放ったのだ。

 とっさにテンホーを庇ったチーホーだったが、防御するには至らず、まともに攻撃を食らう。

 時間をかけて丁寧に描写された魔法だ、いくら重厚な鎧を着ていようとも直撃すればダメージは避けられずチーホーはその場に倒れた。


「シールドアタック」

「うわぁー」

 チーホーに気を取られたテンホーはオモスの攻撃を食らい吹っ飛ばされた。


「うまくいきましたね」

 リーヴが立ちあがりながらそう言った。


「リーヴ、大丈夫なの?」

 サクヤと違い、チーホーの魔法をまともに受けたリーヴをサクヤは心配した。


「ダメージはありますが、これくらい大丈夫ですよ。そうでしょう?」

 リーヴはチラリとカイトを見た。

「ああ、アニキとの訓練に比べれば、こんなのダメージのうちに入らねえ」

 そう言いながら力強くカイトは立ち上がった。

「うむ」

 カイトの言葉にオモスも力強く頷いた。


 全て作戦だった。

 とはいえ、相手の攻撃に耐えられるという保証はなかった。

 だが、保証はなくとも自信はあった。

 これまでの過酷な訓練に比べれば、ミノワの攻撃と比べれば、速いだけの不完全な魔法など耐えられないはずはなかった。


「うぅ」

「くっそ」

 テンホーとチーホーがヨロヨロと立ち上がる。


「「だましたな!」」

「「クソ、クソ、クソ……」」

 ダメージの見えないないカイトたちに騙されていたと気付いた二人は怒りを露わに、地団太を踏んだ。


「うっ」

「もうやめとけ」

「……勝負はついた」

 ダメージの残る二人を見て、カイトたちは負けを認めるよう促した。


「うるさい、うるさい、うるさい!」

「こっちは二人なのにヒキョーだぞ!」

「そうだそうだ。正々堂々ショーブしろ」

 今更そんなことを言い出す二人に呆れるカイトたちだったが、卑怯と言われ黙ってはいられなかった。


お読みいただきありがとうございます。

次話もご一読いただければ幸いです。

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