利益の拠点
ー 利益の拠点 ー
立ち話から、数時間。
その情報はコロニー都市"ノア"全域に一気に広まっていた。
ヘリオス・アーセナル社ノア支社。
そして兵器工場建設。
それは“戦う艦”に新たな意味を与える出来事だった。
艦内は活気に満ちていた。
様々な感情が渦巻く中。歓迎ムードは最高潮へと達していた。
ー ノア中央会議室
アーセナル社を交えた正式会議が今まさに始まろうとしていた。
「そんじゃ…始めようか…」
ヒメナの一言で、空気が締まる。
「初めに…工場、支社の規模はどう考える?」
副司令、チョウカ・ナツキが口を開く。
彼女はノア副司令…ミュージアム責任者でありコロニー全体の保全・保安責任者…
「そーね…」
セレネは迷いなく答える。
「だいたい百平米程あれば…」
「…あぁ……東京ドーム二個分ぐらいか。」
ヒメナが即座に換算する。
「兵器工場付きとなると、市街地近くは無理ですね…ノア湖、左舷側に空いてる土地がある。そこならいける、それでいい?何か要望ある?」
「えぇ、あるわ…」
セレネの目が細くなる。
「工場三棟、支社ビル一棟、社員用社宅….ファミリー層向けを二棟とその前に公園。」
「案外子供も多いのよ…ノアの学校に編入は可能かしら?」
「編入は問題ないよ!」
「あと港には物資搬入用の専用バースに社までのモノレール…車両運用が可能なら駐車場も欲しいわね。」
早口だが内容が全てが整理されている為、頭にスッと入ってくる。
「……できるかしら?」
「それなら全て可能よ。」
チョウカは即答する。
「そーね…その規模なら二週間で完工ね。」
「えっ?はや!」
思わず声を上げたのはリリアだった。
「あら…あなた…起きてたのね。」
セレネがちらりと見る。
「ずっと起きてるわよ…
ただ、脳内処理が追いつかなかっただけ…」
「それで?私のポジションは?まさか社長にでもなるのかしら?」
「あなたはノア支社長兼、兵器開発部長よ。」
「……は?」
「今後、アーセナル社の兵器開発拠点はここになる。あなたの仕事は、ほとんど変わらないわ…しっかりよろしくね。」
「あぁ…そういうことね…」
リリアは観念したように頷く。
その時…
「あのぁ…お話中悪いね…こんな感じでどう?」
チョウカが図面の束を差し出す。
「おぉ…」
リリアが目を見開く。
「この図面…今の一瞬で?」
「はい、そうですよ。」
チョウカはさらりと言う。
(マジですか…)
「ハハハ…これは…すごい…完璧ね…
これでお願いします。」
リリアは少し引いていた。
「了解」
チョウカは無線を取る。
「コロニー工事班に告ぐ…あの件よ…
今、図面を送ったんだけどさ…
今からできる?基礎はだいぶんできてるでしょ?」
「お、久しぶりの大仕事ですね。ずっと用意してましたからね!すぐできますよ…」
「了解、よろしくね。」
回線が切れる。
その瞬間ノアの一角で巨大プロジェクトが動き出した。
(続)




