晩餐会にて⑧
ー 晩餐会にて⑧ ー
ー 木星宮殿 謁見の間
「おい……いつまで寝ておる」
低く、重い声。
「この愚息が!!」
その怒号でゼルヴァインは目を覚ました。
視界に入るのは木星王の玉座…
木星王"モク・ゼノス"
ゼルヴァインの体は鎖に繋がれている。
「…ちっ…父上……!違うのです!!
神格再編機関に騙されて……!こんなことになるとは……!」
鎖を鳴らす。
「外してください!!」
ゼノスは、ゆっくりと目を閉じる。
「……はぁ」
深い失望のため息…
「この期に及んで……まだ言い訳か」
王のその瞳に情はない。
「醜い、お前は、もう息子ではない……父と呼ぶな」
「……っ!!」
ゼルヴァインの顔が歪む。
「父上ぇぇぇぇ!!」
「お許しを!!父上ぇぇ!!」
「私はあなたに認めてもらいたかった!
それだけなのです!」
だが、王は動かない。
「早く連れて行け…顔も見たく無い…」
冷たい命令…ゼルヴァインは外に引き摺られていく。
絶望の叫び声が宮殿内に響いた。
ー 数時間後
王より下された判決。それは「星流し」
木星王家管理下の無人衛星"ガニメデ"
そこへ身一つで放逐、帰還の術はない。
事実上の"終身追放"
ゼルヴァイン以外…クーデターに関わった全ての軍人は絞首刑、星流しは父としての最後の情であった。
ー ポイント・ゼロ
「ダヴィンチ様、報告です」
「どうした」
男は振り返らない。
「参謀ユーイ・ロン、戦死」
「キドウ・ヒメナ暗殺作戦は失敗に終わりました」
「……あぁ、そーかい…」
興味なさげに呟く。
「ロンは死んだのか…」
ゆっくりと椅子にもたれる。
「少しはやると思ったが……見当違いだったかな…」
「死因は?」
「神帝タカヤの神器により……心臓部を貫かれ…」
「……そうか…タカヤ君が…かつての仲間を殺せる覚悟があったのか…」
「下がっていいよ、報告ご苦労様」
部下が去る。
(やはり…神帝は一味違う…俺が直接出向いてやるべきか…)
「…いや…まだいい」
目を閉じる。
「時期向こうから来るでしょう…」
ー 木星宇宙ドック 宇宙空母ノア
修復を終えた艦が静かに佇む。
「統合司令、帰還されました!」
声が響く。
乗組員たちが一斉に敬礼。
「はぁ……」
シャルル・レン副司令は息を吐く。
「あぁ…よかった……」
タカヤの腕の中にユーイ・ロンが静かに眠って
「……ロンちゃん……?」
声が震える。
神帝付秘書官ヤマモト・ウォン、彼女はロンと同じ軍学校卒業、一歳上の先輩である。
ウォンは駆け寄り崩れ落ちる。
「なんで…なんでなの……ロンちゃん…?」
誰も何も言えずにその光景を静かに見守るだけ…
タカヤが口を開く。
「…なぁ、ヒメナさん?コロニーの墓地区間
ひと区画…もらっていい?」
返事はいらなかった。
ー 数日後
ロンは埋葬された。
コロニー外縁の墓地区で静かで暖かい場所…
その一角の新しい墓標。
そこは数年ぶりに彼女が帰ってきた"友のいる場所”だった。
「……ただいま」
誰にも聞こえない声…風が、静かに吹いた。
九章・完
十章へと続く…




