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ノア・アーク ― 神々と人が生きる方舟 ―  作者: ヤノチャン
九章 木星宮殿動乱

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晩餐会にて⑥


ー 晩餐会にて⑥ ー


ー 木星宮殿 崩壊した広間


戦場は静まり返っていた。


「あーあ……最悪」


ユーイ・ロンが小さく笑い空を見上げる。


「終わったよ…神軍は流石だね。

やっぱり…私じゃ無理か…」


「ロン…」


タカヤが一歩前に出る。


「ひとつだけ聞きたいんだけど…良いかな?」


「いいよ(タカヤくんになら…何でも答えてあげる」


「なんでお前は、そっちに行った?政府軍で何があった?なぜ俺達に相談してくれなかった?俺はお前の頼みなら何でも…」


「ハハハ!タカヤくんってさ、ほんと……お人好しだね…そーいうとこ好きだよ…」


ゆっくりと言葉を紡ぐ。


「政府軍はね、“上”で全部決まるの、トップが変われば、正義も変わる、今の政府ダヴィンチ派で反パンドラ派」


視線を逸らす。


「だから……こうなっただけ」


「……そっか」


ロンがふと、遠くを見る。


「私もさ…ノアにいれば……違う人生だったのかな」


「まぁいいや」


肩をすくめる。


「軍人ってのはさ」


銃を持ち上げる。


「上に従う仕事だからね…」


タカヤが問う。


「……俺を殺すのか」


「ハハハ!殺せると思う?」


「私はね,決死の覚悟でここに来たの…あなたの指の一本でも落とせたらダヴィンチ様は喜んでくれるのかなって」


「…あぁ…そーか」


タカヤは見た事の無いような優しい笑顔でわらいかける。


「そういや実技ではいつもお前が一番だったな。」


「……今の私じゃ敵わないよ」


「じゃあ、行くよ」


タカヤは構える。


(さよなら……ロンちゃん)


ロンも銃を構える。


「うん、来な…」


(さよなら……タカヤくん)


指が引き金にかかる。 バンッ!!


ロンの体が、わずかに揺れる。


タカヤの一撃は心臓をひと突き…刀が深く突き刺さっていた。


ロンの銃弾は、わずかに逸れていた。


「……あ、れ…」


ロンが、小さく呟く。


力が抜け崩れ落ちるロンを咄嗟にタカヤが支える。


「……ロン」


「…やっぱり強いね…神帝って、技も心も…」


「タカヤ…大好きだよ…」


タカヤは優しい笑顔で返す。


「副司令…こちら神帝タカヤ

神格再編機関……ユーイ・ロンは…討伐した。

我々の勝利は目前だ…」


「…神帝…よくやった、ありがとう。」


タカヤは何も言わずロンの体を抱きしめる。


その頬には珍しく涙が伝っていた。


瓦礫を踏みしめる音が静かに響く。


タカヤは廊下をゆっくりと歩いていた。


「……ヒメナさん、ユーイ・ロンは……死にました」


ヒメナは目を閉じる。


「…タカヤくんが?」


「うん…」


「…ごめんね、こんな事…させて」


ヒメナはタカヤの頭を撫でロンの顔を見る。


「でも…これが戦争だからね…

あーあ…こんな時代に出会わなければよかった」


ヒメナはゆっくりと首を振る。


「……違うよ、こんな時代だからこそ

…出会えたのかも、皮肉なもんやけど」


ヒメナはしゃがみ込みロンの頬にそっと触れる。


「…ええ顔して寝とるな

さっきまで、私の命狙っとったくせに」


ピピピー


「こちらノア、戦術解析部隊、協力者の身元を特定しました。

木星王家皇位継承順位二位モク・ゼルヴァイン王子」


「…えっ」


モックの声がかすれる。


「お兄……様……?」


その場の空気が凍りつく…


「…な、なに…あの愚息めが!!」


木星王モク・ゼノスのその顔からは先ほどまでの優しさは消え怒りに染まっていた。


「…まさか…ここまでとはな、

だから奴に王の座はやれんのじゃ…」


「ヒメナ殿…状況は全て理解した。これは内乱だな…」


ゼノスは無線を持つ。


「全木星軍部隊に告ぐ!直ちにゼルヴァインを確保しろ…生死は問わん…我が愚息よ…無線越しに聞いておるのであろう?遺書でも書いておれ…」


「……パパ……」


ゼノスは一瞬娘を見る。


「王として命じる…裏切りは許さぬぞ…

首を洗って待っておれ…愛する息子よ…」


(続)



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