晩餐会にて⑤
ー 晩餐会にて⑤ ー
ー 数分前 木星宇宙ドック
警報が鳴り響き渡り艦橋の空気が一変する。
「副司令!木星宮殿が襲撃されました!」
「は?えっ…嘘やろ…?」
シャルル・レン副司令は思わず顔を上げる。
「どこの……誰の攻撃だ?ヒメナさん達は無事か?情報はあるのか?」
「統合司令部の生存は不明…
木星からの断片情報……敵は神格再編機関のユーイ・ロン率いる精鋭部隊です。」
「チッ……!タイミング最悪…神帝を呼べ!」
「既に招集済みです!」
「追加情報!木星軍内部にも協力者あり!」
レンの目が細くなる。
「…ほぉ…クーデターか…」
(木星でクーデター…そんな兆候全くなかった…)
艦橋のドアが開く。
「レンさん?どうかした?」
「実はな…ヒメナさん達がいる木星宮殿が襲撃された。実行犯は神格再編機関ユーイ・ロンだ。タカヤ君とウォンさん、ヒメナさんは顔馴染みみたいだな」
「…あぁ…ロン…」
「モックとノノカ……センドウも一緒やったはずやけど連絡は?」
「大神官センドウとは取れた。彼は晩餐会に出席していた貴族達の護衛にまわったらしい。ヒメナさん達とは別行動…他とは…まだ取れない…」
「あぁ……そぉ……」
「あのさ…メイン…ギフト貸してよ!」
「貸してってさぁ…物じゃないんだからね?まぁいいや…早く行くよ!」
「俺はノアに残るよ‥誰かは護らないとね…」
「うん、じゃあアイズ…頼んだよ!司令のことは任せて」
その言葉を言い終わる前に二人はもう走り出していた。
「ちょ、ちょっと待って!!まだ何も指示を――!」
レンは叫ぶ…だがもういない。
「あー…まぁ、いいか、頼んだよ…神帝」
レンはマイクに向かい話始める。
「あ、あー…ノア第三航空隊に告ぐ戦闘機全機、木星へ迎え…神帝のバックアップだ…急げ」
「了解!!」
航空隊員が一斉に動き出す。
窓の外、無数の機体が、木星へと向かう。
(…司令って大変だなぁ…副でよかったよ)
「……死なないでくださいよ、ヒメナさん…」
ー 木星宮殿
「あなたに…殺せるかしら?」
「まぁ…今や敵……やからな
本部からは“生捕り”命令も出てたけど断ってきたよ」
「ふーん…じゃあ…皆まとめて死んで」
(タカヤ君にはわかってほしかった…)
ロンの手が上がる。
「射撃部隊に告ぐ!光速弾道を用意……撃て!」
ドンッ!!!
それは光速…目に見えない弾丸の雨が降り注ぐ。
「ハハハ!」
タカヤが前に出、剣が閃く。
ギィンッ!!ギギギギッ!!
光速の弾道を、斬り刻む。
「今のうちです!!退避を!!」
「メイン、ヒメナが負傷者を抱え、後退。
「ヒメナさん……!」
弱々しい声がする…
「モック…生きててよかった……」
「木星王…お父様は……?」
「無事よ、傷ひとつない、バルサルナと共に退避した、あのエルフ凄いわ!」
モックが安心したように目を閉じる。
「…よかった」
「無理せんでええ…寝とき」
「うん…ありがとね…ヒメナさん…」
ー 前線
「…は?全部…防いだの?光速弾道よ…?光の速さよ…?意味が分からない…」
「…ハハハ…確かに早かったよ。けどこれぐらい防げんと…神帝にはなれんよなぁ」
ピピピー タカヤの端末が鳴る。
(おぉ…第三航空隊が来たか)
「ロン…今の射撃で、スナイパーの位置は全部割れた。君の部隊は優秀だ、だがあと三秒で、皆んな死ぬ。」
「な……」
「三」「二」「一」
ドドォンッッッ!!!!
遠方…六つのビルが同時に爆ぜる。
「こちら第三航空隊作戦成功空母へと帰投する。」
スナイパー部隊は第三航空隊の爆撃により
壊滅した。
「…そんな…バカな」
ロンの声が、初めて揺れる。
「ちなみにさ、君らの船も、もう終わり…」
「……は?」
ー 宇宙空母ノア 木星宇宙ドック
「こちら副司令、シャルル・レンだ、第一砲塔部隊、仕事だ、木星王都外縁、海上、次元輸送用潜水艇を確認」
「……あれを一発で沈めろ」
オペレーターが即答する。
「可能です」
「衛星画像にてロック完了や船底遠距離砲、展開します」
「撃てるか?」
「楽勝です。問題ありません」
レンは短く頷く。
「撃て」
ー 二分後
「ターゲット、爆散確認」
静かな報告だった。
「……ありがとう、よくやった」
ー 木星宮殿
タカヤが笑う。
「ターゲット爆撃成功だってさ」
「……ってことでさ…降参する?」
ロンの指が、わずかに震える。
(続)




