晩餐会にて③
ー 晩餐会にて③ ー
ー 木星宮殿 外門
「ゼルヴァイン様!門を開放致しました!」
通信が入る。
「ハハハ……早かったな」
モク・ゼルヴァインは満足げに笑う。
「さぁ…行け…」
「ご支援、感謝します」
ユーイ・ロンは静かに言う。
「では、神格再編機関、任務開始…」
偽装を解いた部隊が、一斉に宮殿へ侵入する。
ー 宮殿内 晩餐会会場
優雅な音楽や会場に笑い声、グラスの触れ合う音。
そのすべてがこの一瞬で終わる。
ビビビビビー!
「宮殿門、何者かによって開門!侵入者あり!繰り返す、侵入者あり!」
ざわめきが広がる。
「何事だ…何があった?」
「宮殿には軍隊がいる!大丈夫だ…」
貴族達は楽観的であった。
次の瞬間…ガシャァン!!
大きな音と共に天窓が砕け散る。
ドドドドドドドッ!!
無数の弾丸が、雨のように晩餐会会場に降り注ぐ。
「わぁー!」
「痛い!痛い…助けてくれ!」
「我はまだ死にたくない!」
悲鳴と共に崩れる木星貴族達…
「司令……ご無事ですか!」
ヒメナに即座に駆け寄ったのは、大神官オノダ・ノノカ…
彼女達数名の大神官は今回の護衛に付いていた…
「私は大丈夫……!」
ヒメナは周囲を見渡す。
「それより木星王は!?」
「ご安心を……!」
ノノカが指を指す。
そこには淡く光る結界。
バルサルナが両手を広げ、防御魔法を展開していた。
「ふぅ…魔法なんて久しぶりだよ…」
モク・ゼノスは、言葉を失っていた。
「……あぁ……なんということだ……」
床には倒れた貴族たち、広がる血が池の海のように広がる。
「…貴族達の救助を優先して!」
ヒメナが叫ぶ。
「センドウが対応中です!」
ノノカが即答する。
「そうか!よかった!そんで敵の正体は!?」
「まだ不明ですが、おそらく…」
シュンッ!
空気が裂ける音…
「ヒメナさん、危ない!」
モックが飛び出しヒメナの盾となる。
弾丸がモックを貫き白いドレスが、一瞬で赤に染まる。
「モック!!」
「ハァ…ハァ…痛い…」
血を吐きながら、それでも笑う。
「大丈夫です……致命傷では……」
カタンッ、カタンッ
誰かがこちらに歩いてくる…
「はぁ……今ので死んだと思ったのに」
その声にヒメナの目が見開かれる。
「……久しぶりですね、ヒメナ先輩」
「……ロン……ちゃん……」
「神格再編機関……」
ノノカが剣に手をかける。
パンッ!
ノノカの体が弾かれる。
「ぐっ……!」
左手、右足が同時に撃ち抜かれる。
「大神官……君は邪魔だよ…どいて…
やっぱり……うちのスナイパーは優秀だね」
ヒメナが叫ぶ。
「ロン!!どういうつもり!!」
ロンの目がほんの一瞬だけ揺れる。
「ダヴィンチ様がね…あなたの死を望んだの…私に、殺して来いってさ…」
(ここにタカヤがいなくて良かった…)
銃口が、まっすぐ向く。
「じゃあね…ヒメナさん…死んで…」
パンッ!
ー バチィン!!
弾丸が弾かれる。
バルサルナの防御魔法…
「チッ!クソ…防御魔法は…想定外よ」
ロンは周囲を見渡す。
「神帝モックは瀕死、護衛の大神官も戦闘不能、残るはエルフ一匹…」
「魔法もいつかは潰れる…潰れるまで撃ち続けましょう…」
手を上げる。
「始め!」
ドドドドドドドドドッ!!
弾丸の嵐。
バルサルナの顔が歪む。
「……くっ…私が使えるのは防御魔法のみよ…連続はきつい…何か打開策を!」
弾丸の雨はどんどん激しくなる…
(続)




