晩餐会にて②
ー 晩餐会にて② ー
ー 木星宮殿 大広間
「ヒメナ司令……よく来られた」
穏やかな声が、静かに響く。
玉座の前に立つのは木星王モク・ゼノス。
「モックちゃんも……おかえり」
「ただいま!パパ」
モックは少し照れくさそうに笑う。
「お招きいただきありがとうございます」
キドウ・ヒメナは軽く頭を下げる。
堅苦しさのないその態度に、周囲の貴族がざわめいがゼノスは気にせず優しく微笑む。
「堅くならなくてよい今日はただの晩餐だ」
「パパ?お兄様はどこに?」
モックが首を傾げる。
「さぁな……こんな大事な時にどこへ行ったのか」
ゼノスは肩をすくめる。
「まぁ、気にせず楽しんでいきなさい…」
木星王がバルサルナを見る。
「あっ、あなたが……バルサルナ様ですか…」
「うん、そーだけど…なに?」
「お会いできて光栄でございます。冥王より話は聞いております…“衛の英雄”」
ゼノスは一歩だけ近づき、穏やかに言う。
「どうか、ゆっくりなさってください」
「うん、ありがとね」
バルサルナは素直に笑った。
ー 同時刻 木星宮殿外縁
巨大な影が宇宙から静かに降りてくる…
「貴様がユーイ・ロンか……よろしく」
現れたのは、長身の男。
モク・ゼルヴァイン。
「えぇ……ゼルヴァイン王子」
ロンは微かに笑う。
「いい宇宙を作りましょう」
ゼルヴァインも笑うが目は笑っていない。
「我が部隊はすでに展開済みだ、今回の“護衛任務”は我の管轄、木星王は我の裏切りなど気づいておらん…すんなり受け入れよったわ!」
「だが…宮殿内部は別だ、木星正規軍が固めている、神帝は我が妹一人……護衛も少数、他の神帝は宇宙ドック急いでも二時間は来られん」
「外が味方なだけでも十分よ…」
ロンの目が細くなる。
「……本当にいいの?」
「ハハハ…実行犯は君たちだ、我々は“支援”するだけ…全てが終わった頃には…」
その目に、狂気が宿る。
「木星は、我のものだ」
ロンは何も言わずただ静かに聞いている。
「木星王は殺すな、生け捕りだ…後々、木星の民をまとめるのに使える…」
「あなたは相当な悪ね…」
ロンの表情がわずかに揺れる。
「……了解、わかったわ…」
振り返り宮殿を見据える。
(先輩……)
「…さぁ…始めましょう」
その声にもう迷いは見られなかった…
ゼルヴァインが手を上げる。
「ゼルヴァイン部隊よ…任務開始だ」
「門を制圧、開放せよ」
「了解!!」
無数の影が動き出す。
(続)




