ギフト"超高速"
ー ギフト"超高速" ー
「ルシファー様!ナイスです!」
神帝 メイン が叫ぶ。
次の瞬間彼女の姿はもう艦橋には無かった。
「ギフト “超高速” を展開します!」
誰よりも早く、宙帝艦隊へと宇宙を一直線に切り裂くように進む。
その速度はもはや誰にも追えない。
ー 宙帝艦隊 旗艦 ー
艦内は完全な混乱に陥っていた。
「何だ!今の攻撃!」
「一気にやられました!大損害です!もーダメです!」
通信士が震えながら報告する。
「報告!第三、第四、第六、第七艦隊撃沈!全滅!もう跡形もありません!」
「第二、第五艦隊半壊!戦闘の続行は不可能!救難信号が出ています!帝神様!早く救助に向かいましょう!」
「第一、八艦隊のみ健在です!」
艦橋が凍りつく、ラグナはモニターを見たまま呟いた。
「クッ…クソ…やられた…」
宇宙に燃え広がる宙帝艦隊。
「な、何だ…あの女は…人間…じゃ…ないようだ…」
拳が震える。
「あぁ…あぁ…我々の…我々の艦隊が!宇宙最強の大艦隊が…燃えている…」
ラグナの思考は完全に止まっていた。
その横で、セリシアが冷静に状況を見ている。
「ラグナ、しっかりしなさい。とりあえず艦隊の立て直しを!…ん?」
モニターを見る。
「ここに何か来るわ…人?」
ガッシャーーン!!
艦橋の分厚い防護ガラスが粉砕された。
宇宙空間から突っ込んできた影。
「な……なに……」
兵士が震える。
「ひっ!人が飛び込んできた……!?」
メインは軽く肩を回した。
「ハハハ!ここが本丸ですね!お邪魔します!」
セリシアが振り向く。
「ラグナ!ここは星葬の帝神 セリシア・ノクス が相手をするわ。今すぐ残った兵士と船と共に一旦引きなさい!」
ラグナは呆然としている。
「な、なぜ…こ…こんな事が…宙帝は…負けてはいけない…」
視線が定まらない。
「あ……あぁ……」
セリシアが怒鳴る。
「こら!ラグナ!ラグナったら!」
艦橋の入口が凍りついた。
「メイン…急ぎすぎだ。」
艦橋を見回す。
「ほぉ…あれが帝神?太陽系で神帝やってますアイズと申します…」
宙帝兵士が叫ぶ。
「撃てぇ!!」
一斉射撃。
アイズが手を軽く振り艦橋全体が氷結。
弾丸は氷の壁に阻まれ、二人には届かない。
アイズは静かに言う。
「帝神よ…君達が…キングさんとジュウさんの艦隊に勝ったのか?」
セリシアは冷たい笑みを浮かべた。
「あぁ。あの二人は弱かった。だが…後から来た月の神帝姉弟は強かったな。」
「ちなみに私はその四人より強いからね。ハハ…」
メインが笑った。
「へぇ。」
ギフト“超高速”を展開
目の前から姿が消えセリシアの背後へ
「ッ!?」
セリシアが振り向く。
だがもう遅い…メインの攻撃が連続で叩き込まれる。
「なに…この子…速すぎる…全く見えない…ギフトを展開する時間も…もらえない…」
絶望がよぎる。
「私は…次の一撃で…死ぬ……」
星葬の帝神 セリシア・ノクス は倒れた、彼女は何もできないままに死んだ…
メインは軽く息を吐く。
「……終わり?」
床の死体を見る。
(帝神って…こんなもんか……)
メインは少しだけ寂しそうだった。
その時、ラグナが正気を取り戻す。
ゆっくりと視線を落とし床に倒れているセリシアの目と視線が合った。
艦橋に静寂が落ちる。
そしてラグナの表情が、ゆっくりと歪んでいく。
(続)




