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ノア・アーク ― 神々と人が生きる方舟 ―  作者: ヤノチャン
七章 神軍学校

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多宙域連鎖大戦


ー 多宙域連鎖大戦 ー



あの大阪校襲撃事件から半年。


冬が過ぎ、春が来た。ウォンの卒業式。


風は穏やかだった。


校門前でウォンは最後にタカヤの前に立つ。


「あのさ、タカヤくん…」


真っ直ぐな瞳。


あの時、銃口を向けられていた少女とは別人のような強さ。


「ん、やっぱり言うね!あなたは少し危なっかしい所がある…けどそれが魅力よ」


タカヤは照れたように笑う。


ウォンは続ける。


「気がついてると思うけどね、タカヤくんはね…戦闘以外が結構ダメなの…いつかあなたが必要とした時、私はあなたを支えるわ」


その言葉は静かだが重い。


「あ、あと軍生会…後進育成しっかりね」


「はい、任せてください」


ゼンが横から口を挟む。


「先輩の進路は?」


ウォンは一瞬だけ悪戯っぽく笑う。


「フフ…あなたのお姉様のもとよ…まさかのヘッドハンティングよ!ハハハ!」


ゼンの顔が引きつる。


「……ハハハ、まじか」


ヒメナとウォン。


月の巨大宇宙空母。


“あのコンビ”復活。


それは神軍にとって吉兆か、あるいは……


卒業から間もないある日、警報が鳴る。


それは神軍本部からの緊急無線。


校内放送で生徒全員が震える…


「地球潜伏中だった宙帝軍が突然攻撃を開始!」


「太陽系全域で同時多発的に戦闘発生!」


教室が静まり返る。


続報。


「戦線、ヨーロッパ地域壊滅寸前」


「至急、神軍学校三年生徒派遣を要請する!」


沈黙。


誰かが呟く。


「チッ……学徒動員かよ」


冗談ではない。


だが、命令は命令。


三年は即時戦闘準備をし輸送機へ移動。


重い足取りの者もいる、震えている者もいる。


この学校に入った者の宿命だ…


だがタカヤは前を見ていた。


ロンが隣に立つ。


「タカヤ…いよいよね」


「ああ、そーやなぁ」


ゼンが肩を回す。


「これは模擬戦じゃない。本番や、気を抜きゃ即死か…彼女欲しかった…」


「まだ死ぬと決まった訳じゃ…」


輸送機のハッチが閉まる。


轟音と共に離陸 三機の輸送機が飛び立つ。


窓の外に小さくなる大阪校。


タカヤは拳を握る。


(俺達はもう“未来”じゃない…今の戦力か…)


数時間後…無線が入る。


「到着まで十五分」


モニターに映るヨーロッパ戦域。


都市が燃えている。


輸送機が雲を突き抜ける。


ヨーロッパ上空。


街は燃えていた。


戦車の残骸。


崩れた大聖堂。


宙帝軍の黒い装甲兵が市街地を進軍している。


その時宙帝軍のミサイルが前を飛ぶ輸送機に命中し爆散…同期生三十人の命が一瞬にして散る…


「あぁ、これが戦争…俺はなんて場所に足を突っ込んだんだ…」


と嘆き絶望する学生も少なくない…


「輸送機着陸態勢に入る」


ロンが深呼吸、ゼンは無言、タカヤはただ前を見る。


輸送機は無事着陸…無線が入る。


「こちら神軍本部前線司令部」


「戦域総指揮は神帝パンドラ様がとられている!」


神帝パンドラ。


まだ“絶対神”へ覚醒する前、その名は既に戦場で恐れられていた。


映像が切り替わる。


瓦礫の上に立つ一人の女性。


長い髪が爆風に揺れる。


周囲に親衛部隊。


だが本人は最前線。


「南西区画、第二防衛線を後退させよ」


「学生部隊は第三ラインに展開、無理な前進は不要」


声は落ち着いている。恐怖も焦りもない。


ただ状況を“支配”している。


タカヤは息を呑む。


(あれが……神帝…オーラが違う…)


輸送機から降りるとすぐに銃撃。


実弾が掠める…模擬戦とは違う。


当たれば死ぬし当てれば殺す…


ロンが初弾を放ち敵が倒れる。その瞬間、彼女の手が震える。


「……」


ゼンが叫ぶ。


「今は考えるな!!」


タカヤは走り敵陣の横腹へ突入。


動きに迷いがない圧倒的な戦闘センス。


だが敵は多いあっという間に包囲される。


その時、空気が変わった…" ドゥーン"ドゥーン"


感じた事のない重圧…


敵の動きが一瞬止まる。


学生部隊の視線の先…瓦礫の上に神帝パンドラが歩いてくる。


武器を構えていないが近づいた宙帝兵が、

まるで見えない力に弾かれるように吹き飛ぶ。


地面を軋み空気が震える…


パンドラの視線がタカヤを捉える。


一瞬だ…ほんの一瞬。


時が止まったような感覚。


タカヤの背筋が凍る。


(何だこの人……本当に人間なのか?)


パンドラが小さく呟く。


「学生を前に出させるとはな、あってはならぬ事だ…」


次の瞬間。


彼女が一歩踏み出す。


衝撃波で宙帝軍の前列が崩壊。


「敵部隊、撤退開始!現在神軍優勢!」


市街地は壊滅、民間被害甚大、戦争の現実。


タカヤは膝をつく。


息が荒い。(はぁ、はぁ、はぁー、)


パンドラが彼の前に立つ。


見下ろす。


「お前の名前は?」


「あっ、え、えー……タカヤです。」


数秒の沈黙。


「タカヤ……聞いた名だな…

あぁ…ヒメの後輩かな?」


「その戦闘技術は素晴らしいぞ、生き延びろ、そして我のもとへ来なさい…待ってるよ…」


それだけ言い、去っていく。


(ん?これって?まさかのスカウト?神帝様が俺をスカウト?んな訳…ハハ…)


「そーじゃ、まさかのスカウトじゃ…ヒメに話は通しておくよ…」


「なぜ心の声が!」


「私が神帝だからだよ…」


タカヤは苦笑いしその場に立ち尽くす…


(続)



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