十五歳の選択
ー 十五歳の選択 ー
約十一年前 ー 京都
まだ戦火も、重責も、神帝の称号もないタカヤ、十五歳。
彼はどこにでもいる中学生だった。
成績は中の上。
運動はそこそこ。
目立つタイプでもなく、特別な夢があるわけでもない。
だが一つだけ彼には癖があった。
困っている人を見ると何も考えずに動いてしまう。
憧れはテレビアニメのあのヒーロー…
駅で転んだ老人を支え、迷子を交番に連れて行き、
喧嘩を止めて自分が殴られる。
見返りは求めないし感謝されなくても気にしない。
彼はただただ放っておけい、それだけだった。
ある夜。
夕食後、ぼんやりテレビを見ていた。
流れたCM。
“神軍学校 生徒募集”
宇宙防衛の最前線。
軍人育成機関。
鍛え抜かれた若者たちの姿。
その映像を、タカヤは黙って見ていた。
胸の奥が、少しだけ熱くなる。
理由はわからない。
ただ思った。
「ん?何ここ、いいかも…」
翌日。
進路希望調査票迷いなく書いた"神軍学校"
教室。
同級生が騒ぐ。
「え? タカヤが軍人?」
「無理無理!絶対無理!」
「絶対すぐ死ぬし〜(笑)」
笑い声。
からかい半分、本気半分。
タカヤは肩をすくめる。
「そうかもな…けど俺がお前達を守ってやるよ!」
大きな声で高らかに宣言する。
その目は、少しだけ真っ直ぐだった。
帰り道、夕焼けの中、一人で歩きながら思う。
怖くないわけじゃない。戦うのも、死ぬのも。
だけど…「誰かがやらないと」
特別な才能も、野心もない。ただ、人助けの延長線。
進路を決めた日から。
タカヤの生活は変わった…
遊びも減らし帰宅後すぐ机に向かう。
神軍学校にも当然、入学試験がある。
学力、体力、適性
すべてが基準以上でなければならない。
「絶対に受かってやる!」
その一心だった。彼に特別な才能はない。
だからこそ努力を積み重ねる。
夜遅くまで問題集。
休日も走り込み。
筋トレで腕を震わせながら、
歯を食いしばる。
友人に言われる。
「え、本気なんだ?」
「うん、そだよ!」
もう笑わない。
彼の目は変わっていた。
進路決定より一年後 試験当日。
神軍学校大阪校
大阪湾の人工島に建つ大きな学校…
受験生達は広い試験会場を見て緊張する。
タカヤは深呼吸する。
「やるだけやった!俺なら大丈夫!」
筆記に面接、体力測定、全部全力でやり切った。
数週間後。
合格発表。
掲示板の前に人だかり。
タカヤはゆっくりと目を走らせる。
あ!…あった!
自分の番号。
その横に小さく記された順位。
“第二位”
思わず声が漏れる。
「えっ?えーー!」
「二位?自分が…二位なの?」
胸が熱くなる。
その時、ざわめきが起こる。
「主席、すごくない?」
「満点近いらしいよ」
人垣の向こう。
一人の少女。
ユーイ・ロン。
小柄で、どこか可愛らしい雰囲気。
だがその目は静かで鋭い。
“第一位”
タカヤは少しだけ悔しさを感じる。
でも同時に思う。
「へー…すごいな」
少女は周囲に囲まれながらも、
ふとタカヤを見る。
目が合う。
ほんの一瞬。
ユーイは小さく微笑んだ。
その笑顔は柔らかいがどこか底知れない。
タカヤは無意識に背筋を伸ばす。
「絶対に負けない」
それは敵意ではない。
ただの決意。
こうして。
二位の少年と、主席の少女。
未来の軍人候補たちの物語が静かに始まった。
(続)
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公開情報
・神軍学校
軍人養成学校




