敗者の判断
ー 敗者の判断 ー
地球。聖地ネオ・エリュシオン郊外。
廃工場跡の地下にレオン一家は潜伏していた。
薄暗い部屋に簡易端末が並び、地図が投影されている。
一つだけ空いた椅子。
ゼノン・クライドの席。
沈黙を破ったのは、レオン・ヴァルクス
「私達はこれからロシアへ向かう…」
低く、迷いのない声。
「その地で神格再編機関と合流の準備をする」
その瞬間。
椅子を蹴る音。
「な、なぜ!?」
カルディア・レイナが立ち上がる。
「なぜなの…クライドは家族よ!敵討ちは!?神帝ファイヤを殺すのよ!」
怒りに震える声。
オルフェ・ダリウスは腕を組み、静かにレオンを見る。
ミラ・ノクティスは無言で頷くが、目は鋭い。
レオンはゆっくりと息を吐いた。
「そんな事分かっているが馬鹿な事を言うな!」
空気が凍る。
「今の私達ではファイヤに勝てない…」
レイナが睨みつける。
「ん?逃げるの?」
レオンは首を振る。
「いや違う…現実を見ろ…」
彼はテーブルに映像を出す。
ゼノンの最期。
一瞬、指先の火柱、回避は不能
「クライドは狙う相手を間違えた」
淡々と。
「手柄が欲しかったんだろう…」
拳を握るレイナ。
「神帝ファイヤは只者ではない」
レオンの目が細くなる。
「馬鹿そうな面をしているが…奴はやばい。戦闘狂だ」
静かな断言。
「圧倒的戦闘センスであの地位にいる」
オルフェが初めて口を開く。
「正面戦闘では不利と言うか、無理か…」
「不利どころじゃない…皆んな即死だよ…」
ミラが小さく問う。
「で、どうするの?」
レオンは地図を拡大する。
ロシア圏、宙警連の直接捜索範囲外だ…
政治的にも微妙な地域。
「ここで態勢を立て直し神格再編機関との合流を模索する…」
「今の戦い方は変えよう…」
レイナは悔しさを押し殺す。
目に涙はない。
ただ、燃える怒り。
「じゃあ……クライドは無駄死に?」
レオンは静かに答える。
「無駄にするかどうかは我々次第だよ」
長い沈黙。
やがて、レイナは拳を下ろす。
「……わかったわ」
完全な納得ではない。
夜明け前。
四人は静かに移動を開始する。
目的地 ロシア圏
六章・完
七章へと続く…
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公開情報
・ロシア圏
宙警連捜索範囲外




