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ノア・アーク ― 神々と人が生きる方舟 ―  作者: ヤノチャン
五章 三極対峙

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断界の見誤り


ー 断界の見誤り ー


ノアで生誕祭が始まっていた頃


桜が舞い、祝福の声が響くその裏で。


太陽系外縁宙域、静寂の星海に、一隻の使節艦が進んでいた。


宙帝軍の紋章を掲げた外交艦。

その後方には護衛戦艦が数隻。


目的はひとつ。


神格再編機関との会談提案。


使節艦の艦橋にて宙帝の使者が静かに言う。


「総督ダヴィンチ神は合理的な男と聞く。

 我々との共闘の可能性はあるだろう…」


太陽系は揺れている。神帝と宙帝が衝突し、

独立勢力も動き始めている。


神格再編機関を取り込めれば、

均衡は大きく変わる。


使節団はダヴィンチの乗る旗艦に無線を入れる。


「こちらは宙帝の使節団である…神格再編機関ダヴィンチ神…我らと同盟を結ばぬか…一緒に太陽系勢力愚かな神々を潰そう…いい返事を待つ。」


返答は、通信ではなかった。


外縁宙域に展開する無数の光。


神格再編機関所属艦隊。


そしてその中心。


宇宙空母ユニコーンの艦橋


総督ダヴィンチ神は無表情で前を見ていた。


副官が進言する。


「総督!宙帝軍より会談の申し入れ」


「拒否する」


静かな声で即答だった。

彼に迷いなど無い…迷うと負ける、それが戦争


だがその目には冷たい光。


「全艦 一斉放射だ、 奴らに反撃の隙を与えるな」


命令が下る。


光が宇宙を埋め尽くす。


使節艦に直撃。


護衛戦艦も次々と爆散。


宙帝側が砲門を開く暇すらない。


"圧倒的な先制攻撃"


使節艦の艦橋で警報が鳴り響く。


「なぜだ……!我々は…!我々はぁー!!」

ブチッ…


言葉は最後まで続かない。


ユニコーンから放たれた高密度斬撃波。


空間を裂き、艦橋を貫く。


宙帝使節団その場で絶命。


外交は成立する前に漆黒の宇宙に消えた。


静まり返る宙域。漂う残骸。


ユニコーン艦橋でダヴィンチは背を向ける。


「宙帝も……宇宙連合も…我らの敵だ」


誰も反論しない。


そこに迷いはなかった。


「神格再編は誰の支配も受けない」


窓の向こうで、最後の爆炎が消える。


ー 宙帝艦にて


「使節艦、並びに護衛戦艦……全滅!」


沈黙。


「……外交を斬ったか、ダヴィンチ」


怒りは爆発しない。

だが空気が凍りつく。


即座に命が下る。


「近傍宙域に駐留中の予備艦隊を向かわせよ」


その艦隊の司令は断界の帝神 ラグナ・ヴァルディス


だが彼自身はその場にいない。


旗艦より、遠隔指揮を執る。


通信回線越しに、冷たい声が響く。


「神格再編機関を潰せ!」


短い命令で感情はない。


宙帝予備艦隊が動き出す…

重厚な戦艦群が外縁宙域へと進む。


探知レーダーに映るのは、

ダヴィンチ艦隊の最終交戦座標。


「報告!目標地点まであと五分!」


「敵反応は?」


「……微弱。残骸かと思われます!」


ラグナの声が届く。


「警戒は怠るな」


艦隊は戦闘陣形を維持したまま進入する。


到達。


だがそこには。


神格再編機関の艦影はない。


あるのは、無数の小惑星帯。


大小様々な岩塊が漂う静かな空間。


「奴らは逃げたか…」


副官が呟く。


その瞬間。


ラグナの声がわずかに低くなる。


「ん?待て…」


遅かった。


小惑星の一つが発光する。


次の瞬間、爆発。


衝撃波が艦列を直撃。


「爆発反応、連鎖します!」


別の小惑星も、また一つ。


内部に仕込まれていた高エネルギー反応炉が次々と起動。


疑似天体地雷。


爆発は連鎖し、小惑星帯全体が巨大な火薬庫と化す。


「回避!回避だ、回避!急げ!」


だが密集陣形を組んでいた宙帝艦隊に逃げ場はない。


岩塊が砕け、弾丸のように艦体を貫く。


主力戦艦が横転。


巡洋艦が爆散。


通信が途絶していく。


遠隔映像越しに、ラグナはそれを見ていた。


表情は変わらない。


だが目は鋭い。


「チッ…罠か」


爆炎が視界を埋め尽くす。


予備艦隊は壊滅的被害。


辛うじて脱出できた艦も、戦力としては機能しない。


静寂が戻る。


漂う残骸。


そこには最初から、神格再編機関の艦隊など存在しなかった。


完全な陽動。


完全な殲滅罠。


ー 遠く離れた場所


宇宙空母ユニコーン艦橋にてダヴィンチは報告を受ける。


「宙帝予備艦隊、壊滅!」


彼はわずかに目を細める。


「そろそろ学習しろよ…帝神…」


窓の向こう、暗黒の宇宙。


「我々には力だけでは勝てないぞ…」


神格再編機関は、すでに次の座標へと移動していた。


「ラグナ…なぜ笑ってるの…?」


星葬の帝神セリシア・ノクスが問う。


「やはり太陽系は宙皇帝エルド様の計画にとって邪魔な存在だ…何としても殲滅しなければ…」


ラグナは不敵な笑み浮かべていた。


(続)






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