双帝激突 断界と星葬
ー 双帝激突 断界と星葬 ー
宙帝旗艦・主甲板。
崩れた艦隊の残骸が宇宙に漂う中
四柱の神が対峙する。
断界の帝神 ラグナ・ヴァルディス
vs
神帝キング
ラグナの足元から、空間に“亀裂”が走る。
それはただの斬撃ではない。
存在そのものを断ち切る力。
「我らの目的達成の為太陽系は断つ」
低く重い声。
キングは黄金の神威を纏い、王剣を抜く。
「そんな事勝手に決めるな、宙帝の目的なんぞ私達は知らない!」
激突。
断界の斬撃が走る。
キングの左肩を裂く。
だがキングは退かない。
「侵略者めっ!」
ラグナの瞳がわずかに揺れる。
「侵略?」
「誤解だな、金星の王…」
「我らは“封鎖”に来ただけだ」
キングが眉をひそめる。
「何を言っている」
ラグナは淡々と続ける。
「太陽系には“危険因子”がある、それを外へ出さぬための断界だ、そなたらは反乱分子は邪魔な存在だ…」
キングの脳裏に一瞬よぎる。
神格再編機関…ダヴィンチ…
だが即座に否定する。
「言い訳にしか聞こえん!」
ラグナは剣を構え直す。
「ならば力で理解させよう…」
再び激突。
空間ごと弾け飛ぶ衝撃波。
キングは押し返すが、ラグナの攻撃は完全に読めない。
星葬の帝神 セリシア・ノクス
vs
神帝ジュウ
別甲板。
蒼紫の雷光が宇宙を裂く。
ジュウが雷槍を放つ。
セリシアは静かに手を振る。
星屑が舞い、雷を“葬る”。
「ハハハ、美しい雷、星はやがて死ぬ」
無数の黒い星片が降り注ぐ。
ジュウが防御結界を展開。
だが圧が重い。
一撃一撃が、質量を持つ“終焉”。
ジュウの装束が裂け、血が滲む。
「…くっ、なんで強さ…」
セリシアは一歩も動かない。
「あなたは強いわ…だが、まだ若い、経験値が違う。」
巨大な星葬陣が展開。
ジュウの足元に闇が広がる。
引き込まれる。
「終わらせましょう、楽に死なせてあげる…」
ジュウが歯を食いしばる。
「終わるのは……そちらだ!」
雷を爆発的に解放。
一瞬押し返す。
だが消耗が激しい。
完全に五分ではない。
わずかに押されている。
キング艦隊、サターン艦隊は壊滅的被害。
宙帝艦隊はなお健在。
キングはラグナと斬り結びながら思う。
(危険因子…)
ジュウは星葬の圧力に耐えながら思う。
(このままでは……)
神帝二柱。
劣勢。
だが、まだ膝はついていない。
太陽系外縁宙域。
砕けた艦体、漂う残骸、途切れ途切れの救難信号。
その信号を受信したのは、ノア型宇宙空母二番艦"グリフィン"
艦橋に立つのは、姉弟の神帝。
神帝ムーン
神帝サン
「こ、これは……ひどい……」
戦場映像を見たムーンは息を呑む。
数百の艦が炎を上げ、キング艦隊は半壊。
サターン艦隊も深刻な損害を受けていた。
サンは拳を握る。
「早く行くぞ…」
断界の帝神
ラグナ・ヴァルディス
星葬の帝神
セリシア・ノクス
キングはラグナと対峙していたが拮抗。
一方、ジュウはセリシアに押されていた。
星を葬る冷たい力が、じわじわと神帝ジュウを削る。
その瞬間。
光が裂ける。
太陽の神帝、降臨
サンがラグナの背後に現れる。
「ハハハ!断界だか何だか知らないが…舐めるな」
キングの横に立つサン。
「助太刀しよう!」
キングは一瞬目を細める。
「遅いぞ、サン君」
しかしその声には、確かな安堵があった。
月の神帝、静かに降りる
ムーンはジュウの前に立つ。
「皇女殿、少し下がりなさい…」
静かな声。
だが、その覇気は凄まじい。
セリシアの星葬が放たれる。
ムーンはそれを正面から受け、月光の結界で包み込む。
「……あなたは悲しい人ね」
月光が一気に収束。
セリシアの胸を貫く。
崩れ落ちる星葬の帝神。
死んではいない。
だが、瀕死。
その光景を見たラグナは、迷わず決断する。
「退く…」
断界の力を解放。
キングとサンをまとめて吹き飛ばす。
ラグナは即座にセリシアの元へ跳躍し、その身体を抱き上げる。
「艦隊、撤退だ!急げ!」
宙帝艦隊は整然と反転。
倍近い戦力差を持ちながら
彼らは引いた。
静まり返る宇宙。
被害報告が上がる。
"キング艦隊
損害:艦艇五百艦
死傷者:約三千人"
"サターン艦隊
損害:艦艇六十艦
死傷者:約一千人"
重い代償…
だが…宙帝艦隊と帝神二柱の侵攻は、止まった。
キングはムーンとサンに向き直る。
「助かった。必ず借りは返す」
ジュウも静かに頭を下げる。
「感謝する、月の神帝」
ムーンは微笑む。
「なんのなんの…当然のことをしただけ」
サンは肩をすくめる。
「次は最初から呼べな」
やがて艦隊は散る。
キング艦隊は金星へ。
サターン艦隊は木星へ。
グリフィンはその場に留まる。
だが、誰もが知っていた。
これは前哨戦に過ぎない。
断界の帝神。
星葬の帝神。
そして――
神格再編機関。
太陽系の戦いは、まだ始まったばかりだった。
(続)




