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ノア・アーク ― 神々と人が生きる方舟 ―  作者: ヤノチャン
四章 神格境界

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届いた報せ


ー 届いた報せ ー


海王星宙域。

神々の集いは閉幕したが、神帝達はまだ撤収準備の最中だった。


ノア艦橋。


ヒメナが各地域との通信整理をしている。


その時―


「緊急回線、地の国より!」


オペレーターの声が響く。


シャルルが振り向く。


「繋げ」


ホログラムに映るのは、損壊した人工惑星“地の国”。


煙が上がり、外殻の一部が崩壊、次の瞬間自爆する…


「…これは」


ヒメナの声が低くなる。


通信士が報告する。


「大神官エンマ、背後から刺突を受け重傷。現在は一命を取り留め、集中治療中」


艦橋が凍りつく。


「刺された……?」


キングが眉をひそめる。


続報が入る。


「内部暴動発生。複数の凶悪犯が脱獄」


「脱出艦は外宇宙へワープ。追跡不能」


タカヤの拳がゆっくりと握られる。


「首謀者は」


数秒の沈黙。


「映像送信します」


ホログラムが切り替わる。


一人目。


副官、地の国No.2 ガラン。


無機質な瞳。


そして二人目。


長い黒髪、鋭い視線。


軍学校時代の記録写真。


ユーイ・ロン。


艦橋の空気が止まる。


タカヤの視線が固まる。


「……ユーイ……?」


ヒメナも言葉を失う。


「あの……ユーイ?」


軍学校主席。

常にタカヤと並び、競い合った存在。


「確認済みです」


通信士が淡々と告げる。


「ガランと共に脱出。ダヴィンチ派と合流の可能性大」


アイズが低く言う。


「完全に向こう側だな」


タカヤは何も言わない。


ホログラムの中で、ユーイは冷静な表情をしている。


あの頃と同じ、迷いのない目。


ヒメナが静かにタカヤを見る。


「……知ってた?」


「いや、卒業後、政府軍に入隊したという事までしか…」


短い答え。


だがその声はわずかに重い。


ルシファーが後方から呟く。


「ほう。因縁か」


誰も返さない。


艦橋に沈黙が落ちる。


地の国崩落。

大神官エンマ重傷。

脱獄。

そしてユーイ・ロンの離反。


ヒメナが静かに指示を出す。


「全データ解析。ダヴィンチ派の進路予測を再計算」


タカヤはまだ映像を見つめている。


過去と現在が交差する。


ユーイの最後の言葉が脳裏をよぎる。


――「あなたは選ばない」


タカヤはゆっくりと目を閉じる。


そして開いた。


「神格再編機関を追うか…」


短く。


艦橋の空気が変わる。


ヒメナが即座に応じる。


「座標算出開始」


外宇宙へ続く航路が浮かび上がる。


戦いは、完全に個人的な因縁も帯び始めた。


(続)

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