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ノア・アーク ― 神々と人が生きる方舟 ―  作者: ヤノチャン
十七章 第四次宇宙大戦

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神殺しの一撃


― 神殺しの一撃 ―


― 惑星デネブ・前線海域


荒れ狂う海では巨大な波がデネブ軍艦の艦体へぶつかり、無数の艦艇が海面を埋め尽くしている。


その戦場の中央では二人の男が荒れ狂う海面スレスレを駆けていた。炎を纏った神帝マック・ファイヤ。そして金色の義手を構えた創造神レオナルド・ダヴィンチ。


二人が激突するたび、海面が大きく盛り上がる。


「ファイヤ!」


ダヴィンチが義手を振り抜く。


「まだ終わらんぞ!」


「終わるのはお前だ!」


ファイヤが身体を捻る。


その瞬間、全身から凄まじい炎が噴き上がった。


「バーナー!!」


左手を前へ突き出す。


ゴォォォォォォッ!!


巨大な火炎が一直線に噴き出しダヴィンチは再び横へ飛び退く。炎は海面を焼きながら数百メートル先まで走り巨大な水蒸気を発生させる。


「まだだ!」


ファイヤは一気に距離を詰めた。


拳に炎を集中させる。


「これでどうだ!」


ドォン!!炎を纏った拳がダヴィンチの義手へ叩き込まれる。二人の間から衝撃波が発生し、海面が円形に吹き飛んだ。


「ぐっ……!」


ダヴィンチが後方へ弾き飛ばされファイヤも反動で後退する。二人の距離が大きく開いたその瞬間……


― 宇宙空母ノア・艦橋


「今や!!」


統合司令キドウ・ヒメナが叫んだ。艦橋の空気が一瞬で張り詰める。


「ゴッド・スレイヤー改!!」


「発射許可!」


兵装管制官が叫ぶ。


「発射します!!」


― 宇宙空母ノア・甲板兵器試験区画


巨大な発射装置が一斉に起動した。


ノアの甲板前方、新兵器の試験に使用される巨大な区画にヘリオス・アーセナル社の技術者により取付調整された対神殲滅兵器"ゴッド・スレイヤー改"が創造神を睨みつける。


「目標、創造神ダヴィンチ!」


「照準固定!座標、完全一致!」


「発射準備完了!」


「発射!!」


ズドォォォォォォン!!


巨大な弾体が轟音とともに飛び出し空気を引き裂き海面すれすれを高速で飛翔する。


その弾頭にはカガミ博士が発見し研究した神殺しの粒子“カガミ粒子”が封じ込められている。

かつてダヴィンチの右腕を奪った兵器、その改良型だった。


― デネブ海上


ダヴィンチからファイヤの姿が見えない…

神帝ファイヤはとうに回避行動に移っていた。


「…ん?どこだ…」


ダヴィンチが振り返ると海の向こうから迫ってく高速の弾体…


「この感じは…ゴッド・スレイヤー……!」


一瞬ダヴィンチの表情が変わった。


「また…あれか!」


直後ダヴィンチは全身の力を使って横へ跳んだ。


ドォォォォォォン!!


弾体はダヴィンチのすぐ横を通過し紙一重でダヴィンチを捉え損ねる。


「……!」


離れた味方艦に避難したファイヤも目を見開いた。


「あいつ!避けやがった!?」


弾体はそのまま飛翔を続ける。


その先にはデネブ軍港、そして、その奥に広がる巨大都市。さらにその中心には、惑星デネブの国家中枢。

巨大な議事堂がそびえ立っていた。


「まずい!」


誰かが叫んだ。


しかし止まらない。


ズドォォォォォォォォォン!!議事堂を直撃した。


巨大な爆発が連続して発生した。議事堂が崩壊し軍港が吹き飛ぶ。戦艦が空中へ投げ出され、街の建物が一瞬で消えていく。巨大な衝撃波が都市全体を飲み込んだ。


そして戦場が、止まった。


デネブ軍も、神格再編機関も、三星同盟軍も誰も動かない…いや、動けないんだ。ただ遠くで燃え上がる都市を呆然と見つめていた。


「……。」


ファイヤも言葉を失っている。ダヴィンチも、同じだった。


「……。」


やがて爆発によって巻き上げられた土埃が、ゆっくりと晴れていく。視界が少しずつ開ける。


そして誰もが息を呑んだ。そこにあったはずの巨大都市、デネブ最大級の軍港、その全てが消えていた。


跡地に残っていたのは巨大な湖。かつて都市だった場所が、巨大な窪地へと変わり、その底には海水と雨水が流れ込んでいる。巨大な湖が生まれていた。


「……都市が……。」


デネブ兵が呟く。


「消えた……。」


別の兵士も震える声を漏らす。


誰もが理解した。


これが神殺しの兵器"ゴッド・スレイヤー改"


敵味方を問わずその威力を目の前で見せつけた。


ファイヤはノアの方向を見る。


「これが最新型のゴッドスレイヤー…」


ダヴィンチも遠くのノアを睨みそして自らの金色の義手を握り締める。


「……なるほど。」


その声には、怒りが滲んでいた。


「改良したか。」


― 宇宙空母ノア・艦橋


誰も言葉を発しなかった。巨大スクリーンには、かつて大都市だった場所に生まれた湖が映し出されている。


ヒメナはしばらく黙っていた。


そして…


「ちくしょう避けられた…急げ!…第二射!」


兵装管制官が振り返る。


「え?あっ…はい…」


「第二射の準備や!次は外すな!」


ヒメナは命じる。


「ゴッド・スレイヤー改再装填急げ!」


「了解!」


兵士たちが一斉に動き始める。


「弾体搬入!カガミ粒子封入状態、正常!」


「発射装置、冷却開始!第二射準備へ移行!」


ノア甲板の巨大兵器試験区画では一度目の発射で熱を持った発射装置が再び動き始める。


ヒメナは正面スクリーンを見つめた。


その視線の先には敵戦艦に立つダヴィンチ。


「神帝出撃!神帝ファイヤと共にダヴィンチ討伐にまわれ!」


ヒメナは四人の神帝に命令を下しそれを聞いた神帝達はゆっくりと立ち上がり艦橋を後にした。


― 宇宙空母ノア・甲板兵器試験区画


ヘリオス・アーセナル社のノア支部長、ヘリオス家三女"リリア・ヘリオス"は双眼鏡で消失したデネブ都市を見つめていた。


「あらら…まさか都市が消失するとは…後悔はしていない…これが貴方達が望んだ戦争よ…」


そう呟き双眼鏡を机に置き椅子に深く腰掛けた。


「リリア様!二射目の準備完了致しました!」


「あら、随分と早かったね…」


「改良型は連続運転が可能ですからね。しかしあの威力は想定外…ですね…」


「あぁ…そうだったわね…ヒメナに連絡しなさい…」


「御意!」


戦場の静けさの中第二射目が放たれようとしていた。


(続)








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