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ノア・アーク ― 神々と人が生きる方舟 ―  作者: ヤノチャン
十七章 第四次宇宙大戦

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デネブ宙域開戦


― デネブ宙域開戦 ―


― 十日後 惑星デネブ宙域・国境宙域


十日間に及ぶ航海は、驚くほど静かなものだった。


敵影なし異常なし通信妨害もなく艦隊は予定通り航路を進み続けた。


そして…


「まもなくデネブ宙域へ進入します。」


艦橋に副艦長ヤマト・ミワの声が響く。

大型スクリーンには、赤く表示された境界線。

その向こうには惑星デネブ宙域である。


艦長オダイ・マサルが静かに頷く。


「進路そのまま。デネブ宙域へ進入。」


三隻の巨大艦はゆっくりと境界線を越えた。

その瞬間だった。ピピピピピッ!!

艦橋中に鋭い警報音が鳴り響く。


「艦長!」


レーダー員が立ち上がる。


「多数の反応を確認!」


大型スクリーンいっぱいに、赤い光点が一斉に現れた。


一、十、五十、百…その数は止まらない。


「二百…三百…。なお増加!」


ヤマトが息を呑む。


「総数、約四百!」


艦橋の空気が一変する。

オダイは即座に命令を下した。


「戦闘配置!無人護衛艦も全艦配置!」


「全艦第一種戦闘配備!」


『第一種戦闘配備!第一種戦闘配備!無人護衛艦配備完了!』


艦内放送がノア全域へ響き渡る。穏やかだったコロニーも一瞬で戦時体制へ移行した。


公園から子どもたちが避難し避難区画は防護シャッターで閉鎖される。兵士たちは持ち場へ駆け出した。

神帝四人も艦橋前方へ歩み出る。


「おぉ…ついに来たか。」


タカヤが静かに呟く。


その時、大型スクリーンへ敵艦隊の映像が映し出される。漆黒の戦艦群。同じ紋章を掲げた巨大艦隊。


先頭艦から通信が入る。


『こちらデネブ宇宙軍。』


低い男の声が響く。


『ここより先はデネブ領域である。侵入者は排除する。』


通信はそこで途切れた。


直後…


「敵艦隊!一斉射撃!」


無数の閃光が宇宙を埋め尽くした。


「迎撃!」


オダイの号令と同時に、ノア前部三連装主砲が火を噴く。無人護衛艦も砲撃を開始する。


轟音と共に三本の巨大な光が敵艦隊を貫く。

ジャスティスも主砲を発射。ベガ艦隊も一斉に砲撃を開始した。静かだった宇宙は一瞬で戦場へと変わる。


「敵右翼艦隊撃破!」


「左翼、なお接近!」


「ミサイル多数!迎撃開始!」


ノアから無数の迎撃ミサイルが放たれ次々と敵ミサイルが宇宙で砕け散る。


タカヤは静かに腕を組みアイズが小さく呟く。


「とりあえず俺たちの出番は無さそうだ。」


その言葉通りだった。


ノア、ジャスティス、ベガ王国旗艦アマノガワ

三星同盟艦隊の火力は圧倒的だった。敵艦は近付く前に撃沈されていく。


「敵旗艦爆沈!第二艦隊壊滅!右翼戦線突破!」


宇宙に次々と火球が生まれる。数百隻あったデネブ艦隊は、わずか数十分で戦力を失っていった。


「敵艦隊!戦闘能力喪失!」


「残存艦、撤退を開始!」


オダイは静かに前を見据える。


「追撃は行わない。逃走艦は放置。」


「了解。」


やがてレーダー員が立ち上がった。


「敵艦反応…消失しました。

デネブ宇宙軍迎撃部隊は撃沈及び数艦撤退。」


艦橋に静かな拍手が起こる。だが誰も浮かれてはいなかった。オダイは正面スクリーンを見つめる。


その先には惑星デネブ。黒い雲に覆われたような不気味な星が、ゆっくりと姿を現していた。


「艦長。」


ヤマトが尋ねる。


「このまま進みますか?」


オダイは首を横へ振った。


「いや。」


「予定通りだ。」


通信士へ視線を向ける。


「全艦へ通達。ここで停止。戦闘による各艦の損傷確認、兵装・機関の総点検を実施する。」


「了解。」


巨大なノアがゆっくりと速度を落とす。

それに続きジャスティス、アマノガワも停止した。


三隻の巨大艦は、惑星デネブを目前に静かに並ぶ。

誰も口を開かなかった。目の前にあるのはこれから乗り込む敵の本拠地。


この戦争は、まだ始まったばかりだった。


(続)



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