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ノア・アーク ― 神々と人が生きる方舟 ―  作者: ヤノチャン
十五章 アルタイル防衛戦

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我々がエース


― 我らがエース ―


― アルタイル近海・海底


『S型次元潜水艦全艦……私の声が聞こえますか?』


ノア管制官の落ち着いた声が水中通信に流れる。


「こちら一号。聞こえている。」


「二号、異常なし。」


「三号、問題ない!」


次々と返答が返ってくる。


十隻全てとの通信を確認した管制官は続けた。


『宙帝大艦隊が惑星アルタイルへの砲撃を開始しました。今より三十秒後、海上に着弾予測。衝撃波に注意してください。』


「了解。」


各艦は静かに返答し海底は再び静寂に包まれる。


…… 三十秒後


ドォォォォンッ!!


海面へ無数の砲撃が着弾した。


爆発の衝撃が海中へ伝わり、海底まで鈍い振動が響く。砂が舞い上がり、小魚の群れが一斉に逃げていく。だが、それだけだった。

海底深くに固定されたノアには届かない。


「ふぅ…。」


艦橋でヒメナが小さく息を吐く。


「居場所が割れとっても、流石にこの深さまでは届かへんな。」


オダイも頷く。


「この程度の砲撃では問題ありませんな!ハハハ!

今のところアンカーにも異常なし。」


ヒメナは椅子へ深くもたれ掛かり

目の前のモニターにはアルタイル港に設置されたライブカメラの映像を見つめていた。


陸上では砲撃を受けながらも防御シールドが都市を守っている。


「アマギさん。」


「はい?」


「カメラのアクセス許可ありがとね。」


アマギは笑顔で答える。


「いえ。当然です。」


少し考えてから冗談交じりに聞く。


「ちなみに…許可が出なかったらどうしていました?」


ヒメナは平然と答えた。


「ん?ハッキングかな。

ノアには優秀なハッカーがおるからね。」


「……。」


アマギは苦笑した。


「ハハ…敵には回したくない国家ですね。」


「今のところは味方やから安心してや。」


ヒメナのその視線はすぐにモニターへ戻った。


空中では宙帝艦隊から小型揚陸艇が次々と切り離され始めている。


「やっと来たな。」


双眼表示へ切り替わる。何十隻もの揚陸艇。

アルタイル上陸作戦が始まろうとしていた。


ヒメナは振り返る。


「ミツルギ砲雷長。」


「はい!」


ミツルギが即座に返事をする。


「敵の船が着水した瞬間。そこが一番の狙い目や。」


ミツルギはモニターを見る。


「着水直後ですか。」


「あぁ。」


「速度も落ちるし隊形もまだ整ってへんからね。

一番無防備や。」


ヒメナは指を一本立てた。


「小さい船は出来るだけ一発で。」


ミツルギは思わず笑う。


「一発ですか。難しい注文ですね。」


ヒメナも笑った。


「さっき三分の一近く使ったんやろ?」


「節約せな、今は私が司令やからね。」


艦橋に笑いが起こる。


「ハハハ……。」


ミツルギも苦笑いした。


「了解致しました。一発必中でいきます。」


その瞬間 「砲雷長!」


観測員が声を上げる。


「敵揚陸艇、多数着水!」


「数……四十八!」


艦橋の空気が一変する。


ミツルギは静かに無線機を取った。


「S型次元潜水艦部隊聞こえるか?」


「全艦聞こえております。」


「攻撃準備や、目標は敵揚陸艇。」


「着水した艇から順番に叩く。」


『了解。』


十隻の潜水艦はゆっくりと進路を変えた。


暗い海底。


岩陰から静かに敵を見上げる黒い艦影。

まるで獲物を待つ深海の捕食者だった。

海面では宙帝揚陸艇部隊が、アルタイルの海岸へ向け進軍を開始する。


その真下で十隻のS型次元潜水艦が、静かに魚雷発射管を開いていた。


ソナー員が静かに報告する。


「敵揚陸艇四十八隻、着水を確認。」


「速度十五ノットで各艇海岸へ向け進行中。」


艦長は魚雷発射員を見る。


「まだだ…。」


焦る必要はない。


敵が十分に近づき、回避できない距離まで引きつける。


― ノア艦橋


ミツルギ砲雷長は戦術モニターを見つめていた。


「全艦、まだ撃つな。引きつけろ。」


『わかっている。少し静かに。』


十隻から同時に返答が返る。


「あぁ…頼んだ!」


ヒメナは腕を組み静かに笑った。


「焦った方が負ける。」


アマギもモニターを見つめる。


― 宙帝揚陸艇部隊


「太陽系のノアはどこだ?」


「噂によると海中に逃げたらしいぞ!

ハハ!腰抜けや!」


「海中からならできることも少ない。

もうすぐ海岸だ!アルタイル軍は少し混乱している!」


兵士達は武器を握りしめ笑っていた。


その時だった。


ー S型次元潜水艦


S型一号艦魚雷員が報告する。


「艦長、全門命中圏内。」


艦長は深く息を吸った。


「さぁ…撃て。」


「一番、二番発射!」


ゴォンッ!!


圧縮空気と共に二本の魚雷が発射される。


「二号艦、発射!」


「三号艦、発射!」


「四号艦!」


十隻全てが魚雷を放った。


二十本近い魚雷は白い航跡を残しながら海面へ向かって一直線に走る。


ー 宙帝揚陸隊


「敵襲!!」


見張り兵が叫ぶ。


「ノアの潜水艦より魚雷発射の通知!海中だ!」


「目視で魚雷を確認!!デコイ急げ!」


「私の専門は陸戦です!やり方が分かりません!」


「水雷でもいい!早よ!」


しかし遅い。


ドォォォォォン!!


先頭の揚陸艇が爆発。


真っ二つに裂け、兵士ごと海へ沈んでいく。


「二番艇轟沈!三番艇炎上!」


爆発は次々と連鎖した。


轟音と共に巨大な水柱が何本も立ち上がる。


「回避!回避しろ!」


揚陸艇は必死に舵を切が密集陣形だった為、避け切れない。


ドガァァァン!!


横腹へ魚雷が命中。


船体は吹き飛び、兵士達が海へ投げ出される。


「ぎゃあぁぁ!助けろ!」


海は一瞬で炎と黒煙に包まれた。


― ノア艦橋


「命中。敵揚陸艇十五隻撃沈!」


「八隻航行不能で残存二十五。」


観測員が淡々と報告する。


ミツルギは満足そうに頷いた。


「いい仕事だ。」


ヒメナも笑う。


「一発でよう沈めたな。」


アマギは呆然としていた。


「……これが。ノアの海戦ですか…」


ウォンが静かに答える。


「これがノア海軍の基本戦術です。巡洋艦も優秀ですが我々のエースは次元潜水艦部隊です。」


― 宙帝大艦隊旗艦 ネヴァ・アビス


「報告!揚陸艇部隊が海中より攻撃を受けています!」


ゼル・アビスは眉一つ動かさない。


「ノアの潜水艦か。」


副官が頷く。


「はい。敵潜水艦と推定。」


ゼルは静かに窓の外を見る。


「…なるほど。ノアは海底か…」


その目には、わずかな興味が宿る。


「ならば。こちらも海ごと焼き払うまでだ。」


帝神ゼル・アビスの静かな一言で、

深淵大艦隊の新たな作戦が動き始めようとしていた。


(続)





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