アルタイル防衛戦
ー アルタイル防衛戦 ー
― アルタイル陸戦最前線
ゴゴゴゴゴ……
大地が揺れる。
空では防衛システムが展開され、無数の光の壁が宙帝艦隊から降り注ぐ砲撃を受け止めていた。
しかし限界は近い。
地上では宙帝陸戦軍が一斉侵攻を開始。
装甲車両、重機兵、歩兵部隊が波のように押し寄せる。
「左翼防衛線が後退しています!」
「予備戦力を投入しろ!」
「もう予備はありません!」
アルタイル軍司令部では怒号が飛び交う。
最前線では兵士達が必死に銃を撃ち続けていた。
「クソッ!!」
「このままじゃ突破されるぞ!」
誰もが覚悟しかけていたその時だった。
ドォォォォン!!
前線中央で巨大な爆発が発生する。
宙帝兵数十名が空中へ吹き飛んだ。
「なっ!?」
戦場全体が止まる。
土煙の中から現れたのは長槍を担いだ一人の男。
「八代目彦星様だ!!」
誰かが叫ぶ。
その瞬間アルタイル軍の士気が爆発した。
「軍神様だ!八代目が来たぞ!」
「勝てるぞ!!」
歓声が広がる。
彦星は槍を肩に乗せたまま笑った。
「遅くなったな。」
そして前線全体へ響く声で告げる。
「今からは我も前線で戦うぞ。」
歓声がさらに大きくなる。
しかし兵士達の視線は彦星だけではなかった。
その左右に立つ二人。
「ん?」
「彦星様の横にいるの誰だ?」
「見たことないな…」
前線は別の意味でも騒然となる。
タカヤが苦笑した。
「めっちゃ見られてるやん。」
メインも笑う。
「有名人になった気分だね!」
彦星は肩を竦める。
「仕方ない、まだ前線までノア来航の情報は届いていない…」
― 宙帝陸戦司令部
「ババンカ陸軍司令!」
観測員が駆け込んでくる。
「前線に討伐対象、八代目彦星を確認!」
ババンカは不敵に笑う。
「ほぉ…出てきたか。」
急に観測員が悲鳴を上げて倒れ込んだ。
「ど、どうした?」
「報告します!」
声が震える。
「彦星の横に太陽系の神帝二名を確認!」
「…は?」
ババンカの笑顔が消える。
「神帝?」
「確認しました!神帝ヤザキ・タカヤ!
神帝プルート・メインです!」
「どういう事だ!!」
机を叩く。
「なぜ神帝がアルタイルにいる!」
即座に通信機を掴んだ。
「おい!艦隊司令を出せ!!」
『こちら艦隊司令部。』
「急げ!」
『こちら艦隊司令ローズ。』
ババンカは怒鳴った。
「アルタイルに神帝がいるぞ!」
『あぁ、その件か。』
「その件かじゃない!!」
『先日宇宙空母ノアがアルタイルへ入港した。』
「……は?」
『報告が遅れてすまない。対応してくれ。』
ガチャ。
「おい!!」
虚しく怒鳴る。
ババンカは頭を抱えた。
「軍神に神帝二人だと…」
冷や汗が流れる。
「こんな戦力じゃ足らんぞ…」
― 地下通路
ゴゴゴ……
地下にも振動が伝わってくる。
ヒメナ達は港へ向かって歩いていた。
「アマギさん。」
ヒメナが尋ねる。
「アルタイル国民は無事なんか?」
「はい。」
アマギは即答した。
「国民は全員地下シェルターへ避難しています。」
「そっか。」
ヒメナは安心したように頷く。
「ならええ。」
ウォンが周囲を見る。老朽化した壁に崩れかけた配線。
「ここが港へ続く通路ですか。」
「はい。」
アマギは苦笑した。
「旧地下道です。」
「古いなぁ。」
オレサキが天井を見る。
「現在新しい通路を建設中ですが、まだ完成していません。」
ヤマト・ミワが頷く。
「使えるだけ十分ですね。」
アマギは前を向く。
「それでは急ぎましょう。」
ヒメナ達はノアを目指し進み続けた。
― 宇宙空母ノア・艦橋
艦橋中央、統合司令席には別の人物が座っていた。
副司令チョウカ・ナツキ
普段は穏やかな顔でノアミュージアムの責任者をしている彼女の顔も今日は違った。
「統合司令より連絡!急いで帰るとの事です。」
ナツキは軽く伸びをする。
「あぁ…そう…帰るまで私が指揮を取るよ。」
(もう少しゆっくりしてこればいいのに…)
管制官が振り向く。
「副司令!ご指示を!」
「ん〜。」
ナツキはモニターを見る。そこには数百隻規模の宙帝大艦隊。
「どうしましょうか?」
ナツキは数秒考えた。
「そうやなぁ…あの艦隊沈めとこうか。」
艦橋が静まる。
「…え?」
「ヒメさん帰ってくるまで暇やし。」
「よ、よろしいので?」
「いいのいいの。責任は私が取るよ!
今夜は花火大会や!ハハ!」
ナツキは笑う。
「ノア全門解放。」
艦橋の空気が変わる。
「主砲群展開!ミサイルハッチ開放!魚雷管開放!」
巨大なノアの各部が展開されていく。
「副司令。」
砲撃管制官が確認する。
「攻撃許可を。」
ナツキは頬杖をついた。
「準備でき次第撃ちな!」
「了解!!」
警報が鳴り響く。
ノアの全火力が宙帝艦隊へ向けられる。
その頃アルタイル上空の宙帝艦隊司令ローズはまだ知らなかった。
今、自分達が狙われている事を…
宇宙空母ノア就航史上最大規模の砲撃が始まろうとしていた。
(続)




