遥かなる旅人
ー 遥かなる旅人 ー
― アルタイル宙域
「宇宙空母ノア、アルタイルセンターポートに入港致します。」
「こちらアルタイル港管理センター、
了解、貴艦の入港歓迎する。
微速のままゆっくりと入れ…」
ノアはゆっくりと入港する。
ノアの窓からは地上の様子が肉眼で確認できた。
アルタイル港周辺では凄い数の人々が集まっていた。
軍人や商人に子供達…
皆それぞれ空を見上げていた。
子供達は手を振り、
中にはカメラを構える者もいた。
「着いたね…アルタイル…」
タカヤが小声で呟く。
「着きましたね…上陸が今から楽しみです。」
ウォンも少し笑顔になる。
(おぉ…ウォンが笑顔なんて珍しい…)
「タカヤ様?どうかなさいましたか?」
「いや、何にも…」
ー コロニー
コロニーの住民達は皆展望デッキやモニターの前に集まり歴史的入港を見守る。
「神帝様!アルタイルについたね!」
「だね!ハハハ!」
神帝メインは子供達に囲まれてご満悦の様子だった。
ピピピー
メインのデバイスにメッセージが届く。
「あっ!呼ばれたわ!じゃ行くね!」
「お姉ちゃんもう行くの?」
「うん!また遊ぼうね!」
そう言い残しメインは艦橋に向かうのであった。
ー 入港後
ノアは無事入港し一日の待機期間に入っていた。
緊急時でない限り初めての入港時には
待機期間が存在する。
その間に病原菌の検査などを行うのだ…
病原菌検査、大気成分確認、生態系調査にその他諸々…
検査は無事クリア、アルタイルの輸送機が外交官と護衛を連れて第二滑走路に降り立った。
輸送機から一人の女性が降りてくる。
アルタイル政府外務部事務次官"アマギ・セレナ"
凛とした美しさのある女性だった。
統合司令キドウ・ヒメナが直々にお出迎えに行く。
「ヒメナさん私だけでよかったんですよ?」
ノア外務司令オレサキが呟く。
「オレサキ君一人やとちょいと不安やったんや!」
ヒメナは爆笑しながら歩いていたがすぐに真剣な顔に戻る。
「こんにちは、私は宇宙空母ノアの統合司令、移動国家ノアの国家元首、キドウ・ヒメナと申します。」
「お初にお目にかかります。アルタイル政府外務部事務次官アマギ・セレナと申します。」
二人は笑顔で握手を交わす。
「太陽系人類の皆様…ようこそ惑星アルタイルへ!
話したい事は沢山ありますが…
まず太陽系人類の皆様にお見せしたい物があります。」
(ん?なんや?)
「今すぐにでもご案内したいのですが…
ご都合の程は…?」
「大丈夫ですよ!今すぐに使節団を組みましょう。」
「ありがとうございます。」
ヒメナはデバイスを取り出す。
数分後滑走路には九名の姿があった。
ノアを代表する使節団は錚々たるメンツであった。
メンバーは
統合司令キドウ・ヒメナ
外務司令オレサキ・レンヤ
副艦長ヤマト・ミワ
神帝ヤザキ・タカヤ
神帝プルート・メイン
大神官オノダ・ノノカ
第六巡視艦隊司令キドウ・ゼン
艦内風景媒体記録員ミナト・ローウェル
神帝付き秘書官ヤマモト・ウォン
「アイズとモックは来れんかったの?」
タカヤはヒメナに聞く。
「なんか忙しそうだったから暇そうな二人を選んだんやで…」
「ハハ…なんやそれ…」
「アマギさん…私らの輸送機乗ってみる?」
「えっ…いいんですか?」
「もちろん!案内は頼むで。」
「では喜んで!」
「使節団を乗せた大型輸送ヘリはノアを飛び立つ。」
ー 数分後
輸送ヘリの窓から目的地がはっきりと見えてきた。
「博物館でしょうか?」
ウォンはアマギに聞く。
「はい、そうです。アルタイル歴史博物館です。
あとでゆっくりとご見学ください。」
ヘリは博物館の裏手のヘリポートに着陸する。
目的地はアルタイル歴史博物館…B地区、
一般には公開されていない重要物保管施設…
九人はヘリを降りアマギの後に続く。
「ここです。」
目の前には機関銃を持った警備員とその奥には厳重な扉が見えた。
「おぉ…凄い厳重に守られているね…」
その言葉の後に鋼鉄でできた大きな扉が開き始める。
ギギギギギ……
冷たい保管庫の空気が流れ出した。
ノア使節団の面々は自然と足を止める。
その中央にスポットライトに照らされ静かに眠る一機の探査機。
「あ、あの探査機って…」
「もしかして…ボイジャー!」
側面に薄っすらと残る文字。
VOYAGER
「ボイジャー…」
誰かが呟いた。
地球を飛び立ち、誰よりも遠くへ旅した探査機。
人類最初の旅人その機体が今アルタイルで静かに眠っていた。
アマギは振り返る。
「ようこそ太陽系の皆様。」
その声はどこか誇らしげだった。
「我々アルタイル人は何百年前から…何代も昔から…
皆様が来る日を待っていました。」
誰も言葉を発せない。
遥か昔、人類が宇宙へ放った小さな探査機は
太陽系人類とアルタイル人類を繋ぐ最初の架け橋となっていた。
「それでは行きましょうか…八代目彦星に会いに…」
(続)
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公開情報
・アマギ・セレナ 二十九歳 女性
アルタイル政府外務部事務次官
・アルタイル歴史博物館
惑星アルタイル最大の博物館




