美しい惑星
ー 美しい惑星 ー
― 艦橋
「艦長…見えました…あの星がアルタイルです。」
観測員の報告に艦橋の視線が一斉に前方モニターへ向く。
そこには青白く輝く巨大な星が映っていた。
周囲には無数の人工衛星と軌道要塞。
そして戦争による光…
だがそれらを含めてもなお美しかった。
オダイ艦長は思わず立ち上がる。
「小さい頃からアルタイルは恒星だと教えられてきた…まさか本当に惑星だったとは……」
誰も口を挟まない。
オダイはただ星を見つめる。
「美しい…」
その言葉に艦橋の誰もが頷いた。
ヒメナも腕を組みながら呟く。
「やっぱり実際に見てみないとね…」
窓の外を見つめる。
「教科書や図鑑だけが真実ではない…か…」
カシャ…
静寂を破ったのはシャッター音だった。
艦橋後方でノア公認記録員ミナト・ローウェルは夢中でカメラを構えていた。
「なんて美しい…!」
ファインダー越しのアルタイルは息を呑むほど綺麗だった。どうやら今日だけで百枚は撮っているらしい。
「また撮ってる……」
タカヤが苦笑する。
「仕事ですから!」
ミナトは即答した。
「歴史的瞬間ですよ!」
その時だった。
ピピピピピ――!!
艦橋に警報が鳴り響き空気が一変した。
観測員が叫ぶ。
「警戒範囲外の宙帝艦が長距離ミサイルを発射!」
モニターが赤く染まる。
「百二十秒後に着弾予測!」
「デコイを出します!」
アーサーが即答する。
「デコイ許可!急げ!」
「了解!」
管制員がボタンを押す。
ノア各所から大量のデコイが射出された。
宇宙空間へ広がる無数のデコイ…
数秒後に宙帝ミサイル群が反応する。
「敵ミサイル進路変更!」
「デコイへ誘導成功!」
モニター上で赤い光点が次々と逸れていく。
「敵ミサイル無力化!」
艦橋から小さな安堵の声が漏れる。
通信士が振り返る。
「こちらミサイル部隊!」
「発射許可を待つ!」
アーサーがモニターを見る。
「敵艦の位置は?」
「宙帝艦三隻確認。ロックオン完了いつでも発射可能。」
アーサーは頷く。
「ハハ、相変わらず早いね!….じゃ、撃て。」
「了解。」
ノア艦内、ミサイル発射管が開く。
ゴォォォッ!!
三発の対艦ミサイルが宇宙へ飛び出した。
一直線に敵艦隊へ向かう。
「敵迎撃開始!」
宙帝艦から迎撃弾幕が放たれる。
一発、二発共に撃墜。
三発目は突破。
「命中。」
宙帝艦の中央部が吹き飛ぶ。
「敵仮称一番艦炎上!」
艦橋が少し沸く。
だが戦闘は続いた。
双方が次々とミサイルを発射する。
数分後ノア側が切り札を投入する。
「神速ミサイル発射準備完了。」
アーサーが笑う。
「ハハ!え?使うの?」
「はい!」
三発のミサイルは宇宙を裂くように飛翔する。
宙帝艦側が迎撃を試みるが間に合わない。
連続爆発。
宙帝艦三隻が光に包まれる。
やがて残ったのは無数の破片だけだった。
観測員が報告する。
「宙帝艦三隻撃沈を確認。」
艦橋の緊張が解ける。
アーサーはポケットから煙草を取り出した。
「結構数使ったね……」
火を付けながら呟く。
「ミサイル在庫管理しっかりね。」
「司令!!」
管制員が叫んだ。
「艦橋は禁煙ですよ!!」
全員の視線が集まる。
アーサーは固まった。
「あ…悪い。」
そそくさと煙草を消す。
「じゃ、行ってくる。」
逃げるように艦橋を後にした。
数秒後艦橋中に笑いが広がる。
ヒメナはため息を吐いた。
「ほんまにあの人は…」
だがその目は前方を見ている。
「じゃ…お邪魔しようか…アルタイルに!」
(続)




