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ノア・アーク ― 神々と人が生きる方舟 ―  作者: ヤノチャン
十四章 ボイジャー航路

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新宙域


ー 新宙域  ー


― コロニー中央広場


「ノア、新宙域に到達!」


管制官の高らかな声が響いた。


広場に設置された巨大モニターの前に集まっていた住民達から歓声が沸き起こる。


太陽系人類はまた一つ未知の領域へ足を踏み入れたのだ。


「おっ、ついに超えたのか…」


タカヤは腕を組みながら呟いた。


その隣で元宙帝軍幹部イザナ・グレイブが首を傾げる。


「何かあったの?」


「あぁ。」


タカヤは笑う。


「太陽系の人類で一番遠い場所まで来たんだよ。」


周囲の仲間達も頷く。


誰もが感慨深そうな表情を浮かべていた。


人類はかつて月に到達、火星へ進出し、そして今…


未知の宙域へと辿り着いた。


その歴史の延長線上に自分達がいる。そう考えるだけで胸が熱くなる。


タカヤはふと思い出したようにイザナへ視線を向けた。


「そうだ。」


「ん?」


「イザナは天の川銀河系に詳しいんだろ?」


「ん…まぁ多少はね。」


「次に向かうならどこがいい?ダヴィンチはどこへ向かうと思う?」


その質問にイザナは少し考え込んだ。


しかし次の言葉は予想外だった。


「そうね…ダヴィンチの件は置いといて…

ちなみに君達に言っておきたい事があるの…」


イザナはさらりと言った。


「宙帝の本部があるのは天の川銀河系ではないわ。」


「…は?」


タカヤの表情が固まる。


周囲の空気も一瞬で凍り付いた。


「えっ?今なんて?聞き間違い…ではなさそうか…」


誰もが顔を見合わせる。


するとウォンが身を乗り出した。


「それってどういう事ですか!?」


思わず大声になる。


「落ち着きな…宙帝の本部はね…」


彼女は当然のように言った。


「アンドロメダ銀河系に存在する。」


数秒…誰も言葉を発せなかった。


「アンドロメダ……?」


タカヤが呆然と呟く。


「ほぉ…知らんかったわ…ってどうやって行くんよ…」


モックが顔を引きつらせた。


「私達の技術で辿り着けるのかしら…」


エリオ・ヴァイスも眉をひそめる。


アンドロメダ銀河…天の川銀河の隣に存在する巨大銀河。


誰も想像もできない距離だったがそれを見たイザナは静かに首を横へ振った。


「希望が無い訳じゃないわ。

天の川銀河系中心部には巨大なブラックホールが存在する。その先はアンドロメダ銀河系へ繋がっているのよ。」


「ブラックホールの先…」


イザナは続けた。


「普通に移動したら数百万年かかる。

だから昔の文明は銀河中心部の特異点航路を利用していた。もちろん普通の艦なら一瞬で消滅する。

でもノアがもしブラックホールの重力に耐えられるなら…可能性はある。まぁ今すぐの話じゃないけどね。」


イザナは肩をすくめた。


「まずはアルタイルへ向かいなさい。」


「アルタイル?」


タカヤが反応する。


「アルタイルは大都市よ。

宙帝はアルタイルを支配しようとして

長年戦争を続けてきた。

でも結局支配は叶わなかった。」


イザナは遠い昔を思い出すように目を細める。


「それほど強大な星なのよ。」


タカヤは何かを思い出した。


「アルタイルって…はくちょう座の?」


ウォンが頷く。


「そうですよ。」


「地球では彦星だよね。」


タカヤが言うとイザナは驚いた顔をした。


「彦星を知っているのか?」


「うん。神話的な?童話の方がいいかな?」


「神話?童話?いや、違う…彦星は存在する。

アルタイルの最強の兵士の異名…

現在は八代目彦星が軍を率いている…」


「ハハ…存在するんだ…宇宙は広いな…」


「とりあえず、艦橋に行こう…ヒメナさんに今の事もう一回話してくれないかな?」


「いいわよ…」


タカヤ達は艦橋へと向かい歩き始める。


イザナはどこか得意げな顔をしていた。


(続)







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